
旅客機には各エアラインがそれぞれ自社のマーキング(塗装)を施し、空を飛んでいます。たまにスペシャルマーキング(特別塗装)のように、私たちを楽しませてくれるマーキングが登場する時もありますね。
さてそれではどうして旅客機にマーキングがされるようになったのでしょう。
組み立て中のボーイングB717-200。写真のように機体の部分部分によって素材が異なり、マーキングをしていないとヒコーキはつぎはぎだらけなのです。
理由その1:機体保護のため
旅客機は「空気」があるところを「速い」スピードで飛行しています。たとえば、日本からアメリカへの直行便を考えるとマッハ0.8以上で10時間以上飛び続けることになります。そんな状態の旅客機の機体表面にどんなことが起きていると思いますか?
そう、空気との摩擦が起こるわけです。空気のほかにも大気中の細かいチリ、雨や雹までがヤスリのようになって旅客機の機体表面を削り取っていくのです。また、理科の実験を思い出してください。摩擦が起きると熱が発生します。
もちろん旅客機の設計の段階で、空気との摩擦による磨耗や摩擦熱など金属疲労に耐えうる材料を吟味して開発されますが、それでも何もマーキングされない状態で飛行を続ければ、何年もすると胴体はキズだらけになってしまいます。そして部分的には脆くて危険な部分が生まれてしまうことも考えられるのです。そうした状況をできるだけ防ぐため、「機体の保護材」としてマーキングがされるわけです。
また現在の旅客機にはさまざまなハイテク素材を使用しているので、胴体も部分部分で材質が違ってきます。素材が異なると色みが微妙に異なってきます。すると見た目は……、「つぎはぎ」に見えてしまうんですね、これが。そんなヒコーキなんて嫌ですよね(笑)。
ちなみにアメリカン航空のマーキングは、何も塗装を施していないように見えます。こうした機体の素材色を活かした塗装をベアメタル塗装といいますが、決して機体に塗装をしていないわけではありません。機体表面保護のため透明のポリウレタン系の塗料が皮膜状にコートされています。
理由その2:企業の顔として
「これが我が社の飛行機です」ということをアピールするためには、あの大きい機体にマーキングが塗られているのはかなりのインパクトです。空を飛んでいる飛行機がすぐに「あっ!あの飛行機は○○会社のヒコーキだ」と一目瞭然ってことを考えると、凄い広告効果だと思いませんか。
企業イメージを利用者に積極的にアピールする意味で、マーキング(ここでいうとデザインの意味)に力を入れるエアラインが多いのもうなずけます。通常のマーキングのほかにもスペシャルマーキングなどは、そのアピールの最たるものでしょう。たとえば、全日空のポケモンジェットなどその好例ですね。夏が近づくと全日空のポケモンジェットの季節だな~と思ってしまいますし、空港で見かけたりするとちょっと嬉しくなります。こう思わせてしまうなんて凄いCM効果ですよね。
このようにマーキングは、実用的には機体の保護、イメージ的には企業の顔として塗られているのです。

