空港というのは、出発と到着といった正反対の出来事が毎日起こる場所。そしてその巨大さは、非現実的な不思議な感覚を私たちに与えてくれるものです。そうした感覚にアーティストもインスパイアされるのでしょうか? 空港や旅客機、旅をモチーフとした作品は探すと結構あります。今回は、空港をモチーフにした印象深いジャケットが目印のU2「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」(2000年発売)を見ながらシャルル・ド・ゴール空港(CDG)を紹介しましょう。
(シャルル・ド・ゴール空港で撮影されたU2「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」。モノクロームの印象的なジャケットがカッコイイです。フォトグラファーはU2のみならずさまざまなアーティストの写真を撮影しているアントン・コービン。)
アーティストの心を刺激する!絵になる空港CDG
シャルル・ド・ゴール空港は、オルリー空港と並ぶパリの玄関口のひとつです。フランスの著名な大統領シャルル・ド・ゴールにちなんで名付けられました。正式名称は、Aeroport Roissy-Charles-de-Gaulle(現地ではロワシー空港と呼ばれることが多いようです)。1974年3月8日に開港しましたが、今回紹介しているジャケットの撮影には新しく1998年にオープンしたターミナル2のFホールが使用されています。
シャルル・ド・ゴール空港は3つのターミナルから構成されていて、ターミナル1は主にエールフランス航空以外の長距離国際線が発着、ターミナル2はエールフランス航空と他社国際線、ヨーロッパ内路線が発着、ターミナル9はチャーター便発着と分かれています。ちなみにターミナル2はエールフランス航空の専用ターミナルで、乗り継ぎの利便性はもちろんホテルやパリ市内への鉄道駅もターミナル内にあるなど、非常に便利です。
円筒形ターミナルの中央に張り巡らされた透明チューブが未来的な印象を持つターミナル1のイメージを継承しつつ、ガラス張りの明るく開放的なターミナル2は超機能的にも関わらずデザイン的にもクール!の一言。まさしく芸術の都パリを代表する建築物といっていいのではないでしょうか? デザインを担当したのは、ターミナル1のデザインも担当したポール・アンドリューという建築家です。
さてそれではU2「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」のジャケット写真を見てみましょう。荷物を持ってたたずむメンバー4人の後ろにズラリと並ぶチェックインカウンターからして、写真が撮られた場所はターミナル2Fホールの出発ロビーと思われます。
このアルバムには、“自分たちの信じる未来への旅立ち”、そして“帰るべき家”といったテーマが流れているのですがそういったテーマに空港という場所はぴったりだったのでしょう。
この原稿を書くためにまじまじとジャケットを眺めていたのですが、ちょっと「おや」という部分がありました。左側の標識に「J33-3」と文字が書かれているのですが、FホールなのにJっておかしいな~と思い調べてみました。なんとこれは聖書からの引用が隠されていたそうです。旧約聖書エレミア書の第33章3節で「わたしに呼び求めよ、そうすれば、わたしはあなたに答える。そしてあなたの知らない大きな隠されている事を、あなたに示す」という意味だそうです。う~ん、深い。オリジナルプリントには、出発する飛行機のフライトナンバーが記されていたそうです。
このアルバムは、2000年と2001年のグラミーにおいて最高賞に当たるRecord Of The Yearを2年連続受賞したのを始め計7部門獲得という偉業を達成しました。興味のある方はぜひ聞いてみてください。
ちなみにシャルル・ド・ゴール空港は、某映画のモデルになった人物が住んでいた空港でもあるのですが(トム・ハンクスが主演した映画といえばわかりますよね)、その話はまたの機会にお話しましょう。

「ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND」から先行して発売されたシングル「BEAUTIFUL DAY」。こちらもシャルル・ド・ゴール空港で撮影されたカットが使用されています。ちなみにこの「BEAUTIFUL DAY」のプロモーションビデオもシャルル・ド・ゴール空港で撮影されました。


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