安全で耐久性に優れた、高性能なヒコーキを設計する航空機設計士


『フライトプラン』
ストーリー:最新鋭の旅客機の機内で、女性航空機設計士カイルの6歳の娘が忽然と姿を消した。最愛の娘を必死で捜索するカイル……。だが、乗務員にも乗客にも、娘を見たという者は一人もいない。それだけではない。彼女の痕跡は完全に消し去られ、荷物や航空券はおおろか、搭乗記録すら存在しないのだ。見えざる邪悪な陰謀に立ち向かうため、カイルのたった一人の戦いは始まる。高度1万メートルの密室は今、史上最悪の戦場と化した!
出演:ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、ピーター・サースガード、エリカ・クリステンセン
監督:ロベルト・シュヴェンケ
(C)TOUCHSTONE PICTURES
全国大ヒット公開中

このblogをお読みの方ならすでにご覧になった方も多いかと思いますが、今回はジョディ・フォスター主演の最新作『フライトプラン』(公開中)を紹介しながら、ヒコーキの設計についてお話しましょう。

映画は「最新鋭のジェット旅客機の機内で、その機体を設計した女性航空機設計士カイルの6歳の娘が忽然と姿を消した」ところから始まります。映画の大半は機内でのミステリアスな出来事を描き、機内の隅々までを全てリアルに映し出していきます。我々ヒコーキファン、旅行ファンの見所といえば、ハリウッド映画史上最大級の規模で制作されたという巨大旅客機のセットです。未来的な内装ですが、ラウンジやバーはどこか60年代を彷彿とさせるレトロなデザイン(1970年代の就航当初のジャンボの内装っぽいですね)となっています。

映画オフィシャルページでは、機体の詳細を知ることができる項目が設けられていて、わかりやすく解説されています。それでは映画に登場するアルト航空のE-474型機の概要を紹介しましょう。

●アルト航空E-474機
サイズ:奥行き240フィート、長さ300フィート
収容可能人数:オール2階建てで580人(オールエコノミーで854人)
上層階:コックピット、ファーストクラス席、ファーストクラス・ラウンジ、厨房、エコノミークラス客室(2室)
下層階:ビジネスクラス客室、厨房(2つ)、らせん階段を含むメイン客室

オール2階建てというと、エアバスA380を思い出しますね。共用スペースのラウンジやバーがあるというところもA380の提案内装を思い起こさせます。E-474機はかなり乗ってみたいヒコーキですね。

話を現実に戻しましょう。最近の旅客機の設計では、フェイル・セーフ構造(Fail Safe)を適用した設計、さらによりそれを進めた損傷許容設計が採用されています。フェイル・セーフ構造とは、機体の1つの部分が破壊しても、その破壊が機体構造全体に大きな影響を与えることなく安全に飛行を継続できるようにしたものです。フェイル・セーフ構造には以下の4つの考え方が反映されています。

■リダンダント構造(redundant structure):複数の構造部材で構成し、個々の部材が荷重を分担し、1つの部材が破壊しても他の部材でその部分の荷重を分担できるようにする構造。

■二重構造(double structure):1つの大きな部材の代わりに2個以上の小さな部材を結合して、同等もしくはそれ以上の強度を持たせる構造。たとえば、クラック(ひび割れ)が発生したとしても部材全体に広がらず、その部分の部材だけで食い止められるようにしたもの。

■バックアップ構造(back-up structure):ある部材が壊れても予備的な部材がそれに代わるようにする構造。

■ロード・ドロッピング構造(load dropping structure):構造のどこかが壊れると、その荷重がかからないようにする構造。

また損傷許容設計は、たとえば構造部材や部品に傷は発生しても、部材は部品の耐用性を損なわずに、点検期間内に致命的なものに成長しないようにする設計のことをいいます。こうした機体設計により、よい整備を続けたならば旅客機の寿命は、機体構造の設計目標よりも長く安全に飛ぶことができるようになっています。その大きな要因は、フェイル・セーフ構造を取り入れた構造設計の進歩と優れた整備技術によるものなのです。

今回は映画『フライトプラン』の主人公が航空機設計士という設定から、機体設計についてお話してみました。高度1万メートルの機体の中で繰り広げられるサスペンス・アクションですが、ヒコーキファン、旅行ファンならではの楽しみ方がたくさんある映画です。ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

●フライトプランオフィシャルホームページ
http://www.movies.co.jp/flight-p/


写真は風洞実験を行っているもの。現在では最新のコンピュータ流体解析(CFD)ツールにより、従来と比較しはるかに信頼度の高い仮想実験が可能なため、かつてのように何度も風洞テストを行う必要はなくなっています。実現の見込みのあるデザインに限定し風洞テストを行うようになっています。風洞模型には何百万もの圧力測定用センサーが埋め込まれており、これによって機体の飛行荷重が算出され、空力性能に関する有益な診断が行われます。(Photo/Boeing)

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近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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