
画面は、進入管制(Approach Control)のレーダー画面です。緑色の文字は、ヒコーキの便名や機種、目的地などを表示しています。航空管制官はこの画面を見ながら、的確な指示を各ヒコーキのパイロットに伝えるのです。
道路や標識のない空をヒコーキは、どのようにして安全にかつ円滑に飛行しているのでしょうか。ヒコーキが安全かつ効率よく運航できるようにするための業務として、航空交通業務(air traffic service)というものがあります。これは以下の目的によって実施されています。
1:航空機相互間の衝突防止
2:飛行場走行区内にある障害物と航空機との間の衝突防止
3:航空交通の秩序ある流れの推進と維持
4:安全で効率的な飛行に役立つ助言および情報の提供
5:捜索救難の援助を必要とする航空機について関係機関に対する連絡と協力
これらの目的達成のため航空交通管制(ATC:Air Traffic Control)業務、飛行情報提供業務(FIS:Flight Information Service)、警急業務(Alerting Service)が行われています。今回は、これらのなかの航空交通管制業務についてお話していきましょう。
航空交通管制には、航空路管制・進入管制、ターミナル・レーダー管制、着陸誘導管制、飛行場管制といった業務があります。
航空路管制は、計器飛行方式(IFR:Instrument Flight Rules、計器指示による飛行)により飛行する航空機や有視界飛行方式(VFR:Visual Flight Rules、目視による飛行)であっても特別管制空域や管制圏を飛行する航空機に対し、飛行方位や高度、速度などについて指示を行うものです。航空路を飛行する航空機の監視には、航空路監視レーダー(ARSR:Air Route Surveillance Radar)と二次監視レーダー(SSR:Secondary Surveillance Radar)を使用します。
ARSRは、航空路を十分に見渡せる山頂に設置され、半径約200nm(約370km)以内の航空機を探知して、遠隔地にある管制室の表示モニターに各航空機の現在位置と高度を表示します。現在日本では、北海道の釧路・横津岳、青森県の八戸、宮城県の上品山、新潟県の小木の城、千葉県の山田、神奈川県の箱根、愛知県の三河、和歌山県の三国山、高知県の今の山、島根県の平田、福岡県の三郡山、鹿児島県の加世田、奄美、沖縄県の八重岳、宮古島の計16か所にSSRと併せて設置されています。
SSRは、地上のアンテナから質問信号を出し、航空機のATCトランスポンダー(航空交通管制用自動応答装置。地上のレーダーからくる電波に自分の機体の識別番号や現在高度などの情報を付け加えて送り返すもの)からの応答により航空機の識別をします。これによりレーダーで捉えている各航空機の便名や飛行高度を把握することができます。これを継続して行うことで、航空機の飛行方向、距離を把握できるのです。
進入管制(Approach Control)は、空港周辺で離陸後の航空機の上昇あるいは着陸してくる航空機の降下に対して行う管制で、この業務をレーダーを用いて行うことをターミナル・レーダー管制といいます。
着陸誘導管制(Final Control)は、レーダーにより着陸の誘導を行う業務をいいます。飛行場管制(Aerodrome Control)は、離陸した航空機や着陸する航空機、空港周辺を飛行する航空機、空港内の走行区域内における航空機、人、車両に対して行う管制をいいます。
これらの情報が映し出されたモニターを見ながら、航空機に指示を出す人々を航空管制官(Air Traffic Controller)と呼びます。世界各国では、民間企業が請け負っている場合と公的機関に所属している場合とがありますが、日本の場合は、国家資格者であり、国土交通省航空局(ないしは陸上・海上・航空のいずれかの自衛隊)に所属する国家公務員が行っています。航空管制官は、全国4か所にある航空交通管制部(札幌・東京・福岡・那覇)や、全国の空港に勤務し、空の安全を守ってくれているのです。

