2基のエンジンで洋上運航を可能にしたETOPS

写真はボーイング777-300ER。この機体のETOPS承認テストは2機で38フライト合計267時間をかけて行われました。双発機の長距離運航が可能になったことで、航空会社の機種の選定が劇的に変わってきています。コストパフォーマンスの高い双発機は、航空会社にとっても使い勝手がよく、フリートの数多くを占めるようになっています。(Photo/Boeing)

ETOPS(イートップス)とは、Extended range Twin-engine OPerationSの略号で、双発機の洋上運航での飛行可能範囲を拡大したルールのことをいいます。

双発機は名前の通り2基のエンジンを持つ飛行機ですが、何らかのトラブルでエンジンが1基故障するなどして停止してしまうと、残りの1基のエンジンで最寄りの空港に緊急着陸をしなくてはならなくなります。双発機の運航では、2基のうち1基のエンジンが停止した場合を想定して、60分以内に緊急着陸ができるポイントを含んだ飛行ルートを選ばなければならないというようにICAO(国際民間航空機関:International Civil Aviation Organization)によって定められています。

しかし、この規則はエンジンの信頼性が低かった時代に定められた規則で、ジェットエンジンの信頼性向上に伴い、一定の条件を満たしたエアラインや安全性が実証された組み合わせについては、 最寄り空港から60以内の距離という制限を延長するための方式が確立されました。このような運航をETOPSと呼びます。制限時間に応じて90分ETOPS、120分ETOPS、180分ETOPSがあり、最長では207分まで設定されています。

たとえば 日本アメリカ間を飛行する場合、アラスカからアリューシャン列島、カムチャツカ半島、千島列島を経由すればETOPS認定を得なくても無着陸飛行ができますが、とても大幅な迂回経路となってコストがかかってしまいます。しかしETOPS認定を取得した双発機であれば、3発機以上の飛行機と同様に、より効率的な飛行ルートを使って長時間の洋上飛行を行うことができるようになります。このETOPS認定は、ボーイング737、757、767、777とエアバスA300、A310、A320、A330に与えられています。

ETOPSはまずは1985年にFAA(アメリカ連邦航空局:Federal Aviation Administration)は、セントルイスとフランクフルト間でのボーイング767(トランスワールド航空)に最初の90分間ETOPS認定を与えました。その後120分、180分のETOPSが採用されることになります。207分のETOPSに関しては、ボーイング社とユナイテッド航空の申し立てにより2001年に承認されましたが、これはボーイング777だけに与えられています。この規定は、北太平洋ルートで冬期にダイバートの空港が閉鎖される場合だけに限られています(この207分ETOPSはFAAの承認のみで、JAA(欧州合同耐空証明局:Joint Aviation Authorities)では慎重な立場をとっています)。

ETOPSの承認は、2つのプロセスによります。第一には航空機機体とエンジンの組み合わせで、1基のエンジンを止めて、ETOPS認定時間残りのエンジンで航空機を完全に飛ばせることを証明しなければなりません。これはたとえば180分ETOPSならば、1基のエンジンで3時間飛ぶことができなければならないということを意味します。第二のプロセスは、ETOPSフライトを行うオペレータ(航空会社)は、自国の航空監査機関の基準を満たさなければなりません。これは通常の飛行手順と特別な飛行手順とフライトクルーの手順を満たさなければならないということで、パイロット等フライトクルーは資格を得るためにETOPSの訓練を受けなければなりません。これにより特定の機体とエンジンの組み合わせが監査され、もしETOPSの認定を受けた機体・エンジン・航空会社であっても運航に問題があれば取り消されることもあるのです。

このように双発機のETOPSが認められたことで、当初は3発機以上ではないと飛行できなかったルート(路線)が双発機でも運航できるようになりました。こうした影響により3発機の必要性が少なくなり、MD-11などの3発機の機体は生産が終了する時代を迎えたのです。今後も、経済性の高い双発機の活躍は続きそうです。






トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.tabista.jp/cgi-bin/Mt/mt-tb.cgi/1303

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)


近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

2010年10月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

アーカイブ

最近のコメント

RSSを取得