
1号機の引き渡しが2007年10月と発表されたエアバスA380。この写真は5台ある飛行テスト機のうちの4台が8月30日に地中海の上を編隊飛行したものです。早く世界の空でA380に乗ってみたいものですよね。(Photo/Airbus)
旅客機業界に革命を起こすと期待されているエアバスA380ですが、予定されていた引き渡しから相当遅れて、1号機の引き渡しが2007年10月になると発表されました。新たに発表された計画によると、A380の1号機(シンガポール航空向け)の引き渡しが2007年10月、2008年に13機(シンガポール航空、カンタス航空、エミレーツ航空)、2009年に25機、2010年には当初の計画通り、貨物専用型1号機を含む量産体制が整い45機を引き渡すとしています。
今回の遅延の原因は、胴体の前胴部および後胴部に取り付ける配線作業の複雑さから生じる作業量の予測に誤りがあったためとしています。さらに配線作業が複雑であることに加えて、配線作業を効率化するために利用する「三次元デジタル・モックアップ」の導入が遅れたこと、そして作業員がその使用方法を学ぶ過程にあったことが新たな遅延の主な原因としていて、飛行性能自体の問題ではないとしています。
エアバスA380の最大発注元のエミレーツ航空(43機発注+リースで2機)は、最初の機体を受け取るのが2008年8月となり、当初の引き渡し予定からほぼ2年遅れることに「非常に深刻な問題で、全ての選択肢を検討している」(エミレーツ航空、ティム・クラーク社長)と述べていて、発注をキャンセルする可能性も示唆しています。実はエアバスA380の引き渡しの時期に関しては、今年の6月にも発表されていてそれよりもさらに遅れるとの今回の発表は顧客である航空会社、投資家からの信頼を大きく損なう「エアバスの危機」(イギリス、フィナンシャル・タイムズ)とも指摘される事態となりそうです。
エアバスでは、違約金などで2010年までに計20億ユーロ(約3,000億円)を見込んでいた減益幅が、48億ユーロ(約7,200億円)に拡大するとの見通しを発表し、人員削減や生産体制の見直しを図る「パワー8」計画を立ち上げるとしています。この計画の目的はコストを削減し、新機種をより早く開発することで、開発サイクルを2年短縮し、生産性を20パーセント増加させることができるとしています。さらに2010年に向けて年間支出を少なくとも20億ユーロ(約3,000億円)削減し、50億ユーロ(約7,500億円)の貯蓄総額を捻出する予定です。
ファンとしては早くA380を見たい、乗ってみたいという気持ちはやまやまですが、さまざまな問題をキチンと解決してよりより機体としてデビューしてもらいたいものです。そしてこの遅延によってエアバスのボーイングに対する対抗力がなくなってしまわないように、経営努力で乗り越えていってもらいたいものです。ボーイングも素晴らしい航空機メーカーですが、寡占状態ではファンとしては寂しいですからね。

