皆さんは「ベルリンの壁」を覚えていますか? 第二次世界大戦後の冷戦の象徴として、1961年から東ドイツと西ベルリンを隔てる壁として、東ドイツが建設した壁です。これは第二次世界大戦後にドイツが連合国(米・英・仏・ソ連)に分割統治されることになった際に、ドイツという国の分割統治とは別にベルリンを分割統治したことから築かれたものです。ベルリンは全域が東ドイツの中にあり、西ドイツとは完全に離れています。つまり、東ドイツに囲まれていたベルリン市でしたが国としてのドイツの東西分断とは別に、ベルリン市としても東西に分断されていたのです。このため西ベルリンは西ドイツの“飛び地”となっていたのです。
分割統治開始後間もなく、西側諸国と共産主義国が対立する冷戦に突入し、1948年6月24日から西ベルリンへの陸路が完全に封鎖され食料や燃料が運べなくなるという「ベルリン封鎖」という事件が起こります。今回ご紹介する「テンペルホーフ空港」はこの事件に深い関わりがあるのです。
ソ連側の陸路完全封鎖に対して、アメリカを中心とした西側諸国は空輸作戦を実施することを決定します。これが「Berlin Airlift」作戦(「ベルリン大空輸」または「空の架け橋」作戦)です。この作戦は、C-47スカイトレイン、C-54Eスカイマスター(旅客機でいうとDC-4)、C-74グローブマスターといった輸送機によって、燃料(石炭)、食料、生活用品を西ベルリンまで空輸しようというものでした。西ベルリン市内のテーゲル、ガトウ、テンペルホーフの各空港へ向けて、24時間体制で3分間に1回の過密状態で輸送を行うという空輸作戦は、前代未聞の作戦であったことは間違いありません。3分間に1回も航空機を離着陸させるなんてちょっと考えられませんよね。

“ベルリン大空輸”で使用されたC-54スカイマスター(旅客機でいうとDC-4)。食料などをベルリンに運んだためC-54スカイマスターは、ドイツではRosinenbomber(レーズン爆撃機)と呼ばれていました。
結局この作戦は、1947年6月から1948年9月までの間に27万回以上、輸送量は230万トン、1日あたり5,000トンで大成功となり、1949年5月12日に封鎖は解除されたのでした。その後ベルリンの壁が築かれることとなるのです。
「ベルリン大空輸」作戦の話を長々としてしまいましたが、この作戦の舞台となった「テンペルホーフ空港」が、2008年10月31日に閉鎖される見通しとなってしまったのです。閉鎖延期を求める航空会社が裁判に訴えていたため今年中に閉鎖の予定であったのがのび、この訴えが退けられたため閉鎖が決定してしまいました。

テンペルホール空港のターミナル。石が多用された直線的で重厚なデザインは、当時の新古典主義のデザインと思われます。
テンペルホーフ空港は1923年に開港し、ナチス時代にヒトラーとお抱え建築家のアルベルト・シュペーアが構想したベルリン大改造計画「ゲルマニア」の一環として建築家のエルンスト・ザーゲビールによって1941年にターミナルの整備が行われました。現在使われているターミナルはこの時期のものです。1950年代にはロンドン、パリに次ぐ乗降者数の空港でしたが、市街地に近く騒音問題等により、1960年代後半からはテーゲル空港に主空港の役割を譲っていました。過去10年間赤字が続き、テーゲル空港とともに2011年に完成予定のベルリン・ブランデンブルグ国際空港(現在あるシェーネフェルト国際空港を大幅に拡張して開港予定)が開港されたら閉鎖され、集約される計画となっています。歴史上大変重要な空港の閉鎖はちょっとさびしいものがありますね。

このベルリン大空輸を題材にしたドイツのTV映画がDVD化されています。ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
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第二次世界大戦が終了し、ドイツは戦勝国によって分割統治されることとなった。1948年、西側の西ドイツ統一の計画、それによる通貨改革を非難したソ連首相スターリンは、ベルリンに通ずるあらゆる経路を封鎖した。このベルリン封鎖によって、物資やエネルギーの途絶えたベルリン市民は飢えと寒さに厳しい生活を強いられる結果となった。この危機的状況を救うため、米空軍は、唯一残された空路を使って物資を運ぶ“ベルリン大空輸”を提案した。しかし、それは想像を絶する危険と隣り合わせの難航作戦であった……。


コメント (2)
大変興味深いご説明ありがとうございます。
30年以上前から東独から開発輸入、輸出でベルリンのチャーリーを何度となく通過、89年崩壊後は休暇で東べに滞在
して感無量になってました。数週間前にふとフランクフルトからマンハイムのアウトバーン脇に、AIR LIFTの飛行機が
一機飾ってあるの発見しました。機種が解れば教えて頂き
たいのです。CR-47,CR-54,CR-74?
お願いします。 Nieda
投稿者: yoshihiko nieda | 2008年08月23日 22:05
日時: 2008年08月23日 22:05
Niedaさん
こんにちは。
ご質問の件ですが、
この情報だけだとちょっとわかりかねます。
たとえば尾翼付近にレジ番号が書いてありませんでしたか?
それさえわかれば、機種の特定は簡単なのですが・・・。
ドイツで屋外に展示されている機体でポピュラーなのは、
Rhein-Mainエアベースで展示されている
・C-47Bスカイトレイン(43-49081)
・C-54Eスカイマスター(44-9063)
ドイツ工業博物館から吊り下げられている
・C-47Bスカイトレイン(45-0951/5951)
ベルリンの連合国博物館にある
・HP.67ヘイスティング T5(TG503)
です。
いずれかが該当していると良いのですが。
お役に立てずすいません。
今後とも本ブログをよろしくお願いいたします。
投稿者: 近井コアラ | 2008年08月25日 04:07
日時: 2008年08月25日 04:07