2008年04月28日

デルタとノースウエスト航空、合併合意

デルタ航空(以下DL)とノースウエスト航空(以下NW)は4月14日、合併に合意したと発表しました。DLはNWを株式交換方式で取得し、交換比率は、NWの保有株1株につき、DLの1.25株となります。この合併が実現すれば、乗客輸送量で首位のアメリカン航空を上回り、世界最大の航空会社が誕生することとなります。

新会社の名称は「デルタ航空」となり、DLのCEOであるリチャード・アンダーソン氏が新会社のCEOに就くこととなります。本拠地はDLの現在の本社であるジョージア州アトランタに置き、エグゼクティブ・オフィスはミネアポリス/セントポールに置くと発表しています。

新生「デルタ航空」が誕生すると約800機の旅客機を有し、世界67か国390都市に就航し、年間収入が350億ドル、従業員数は7万5000人の巨大航空会社となります。

2001年9月のアメリカ同時多発テロ以降、航空需要の急減や燃料費の高騰により、アメリカのメガ・キャリアと呼ばれる6社(アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空、コンチネンタル航空、ノースウエスト航空、USエアウェイズ)のうちDLとNWを含む4社が連邦破産法11条に基づく会社再生手続きの適用を申請して破綻していました。DLとNWは2007年に再建手続きを終えてはいましたが、燃料費の高騰が収益を圧迫し、赤字からは抜け出せない状態が続いていたのです。

ただ、合併にはアメリカ司法省が「独占禁止法に触れる」と判断したならば、計画が白紙撤回される可能性もあります。2001年にユナイテッド航空とUSエアウェイズの合併計画も“ノー”ということで白紙撤回された経緯がありますので、承認が得られるかは微妙という指摘もあります。当局の承認を得るための手続きには、6~8カ月が見込まれています。

しかしこの両社、もともと「スカイチーム」で協力関係を築いていますし、DLはアメリカ南部や北東部、大西洋、ラテンアメリカに、NWはアメリカ中西部、カナダ、太平洋線に強みがあり、それぞれの足りない部分を補完しあえる最強の合併となりそうです。

日本線への影響ですが、NWは1947年、日本に最初に乗り入れた外資系の航空会社であり、現在でも日本発着便は週200便以上あります。日本線は基本的にはドル箱路線ですので、大幅に減便されることは当面ないとみてよいでしょう。

アメリカだけではなく現在、全世界的に燃料高であり景気減速の傾向があり、航空会社は厳しい経営環境にさらされています。白紙になりましたがエールフランス・KLMのアリタリア航空買収計画やコンチネンタル航空がユナイテッド航空と交渉を続けているとの報道など、航空会社大再編が起こるかもしれません。日本の航空業界には、航空法で外資の保有比率を3分の1未満に制限する規制があるため外資に吸収・合併ということはなさそうですが、吸収・合併された欧米勢とのコスト競争に勝ち残れるか厳しい状況になりそうです。

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合併を発表したデルタ航空とノースウエスト航空。実現すれば世界最大の航空会社の誕生となります。この両社の合併がアメリカの航空業界の再編機運を高めそうです。合併への承認には6~8カ月かかるとされており、今年中には新生デルタ航空がお目見えするかもしれません。(Photo/Skyteam)

2008年04月22日

日本と台湾の交流を担った日本アジア航空 ラストフライト

32年間にわたり日本と台湾間を結んできた日本アジア航空が3月31日、その役割を終えラストフライトを行い日本航空に統合されました。ラストフライトは3月31日の成田→台北EG209便でJAA塗装のボーイング747-300でした。

日本アジア航空の設立には大変複雑な経緯があることをご存知ですか? 簡単にご紹介しましょう。

1972年、日本と中華人民共和国との間に日中共同声明が発表されたことにより国交が回復しました。そして1974年に両国間に航空協定が締結され、中華人民共和国に乗り入れる日本の航空会社(日本航空)の中華民国(台湾)への乗り入れが禁止となりました。これに激しく反発した台湾は、1974年4月21日、1959年から日本航空により運航されていた日台路線をすべて運航停止としてしまいました(チャイナエアラインの日本乗り入れ中止)。

しかし、日本と台湾の間にはビジネス面での強い結びつきがあり、断交後も交流を続けたいという要求が日台両国間で強くなり、1975年7月に民間ベースで航空路再開のための協定が調印されました。ただ問題として、すでに北京や上海に路線を開設していた日本航空が乗り入れすることはできません。また当時の45・47体制では日本航空以外のエアラインが国際定期便を運航することは困難でした。このような複雑な政治的背景のもとで、日本航空が100%出資し1975年8月8日に誕生したのが、日台路線専門のエアライン「日本アジア航空」だったのでした。

このような政治的背景のもとに台湾線に乗り入れるためにヨーロッパ系の航空会社も、別会社を装った別の名前で乗り入れする航空会社も多かったのです。たとえばブリティッシュ・エアウェイズは“British Asia Airways”、エールフランスは“Air France Asie”、KLMオランダ航空は“KLM Asia”といったように別会社を装って運航していました(これらの塗装を施した機体ですが、機材繰りの関係で日本に飛来したこともありますので、ご覧になった方も多いのでは)。

その後、日台路線以外のアジア路線への進出も実現した日本アジア航空は、成田、関西国際、中部国際空港などから台北や高雄などを結び、2006年までに約3377万人が利用するまでに成長しました。しかし最近の民間の交流機関を通して日台双方が協議のうえ、台湾への日本航空機の直接乗り入れが実現するとともに、その役割を終えることとなったのです。

台湾では「日亜航」という愛称で親しまれていた日本アジア航空。歴史的役割を十分果たし、その歴史に幕を閉じました。今後は日本航空が台湾と日本の架け橋となります。

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日本と台湾の架け橋となり長年両国から親しまれた日本アジア航空。その役割を終え、日本航空がその役割を受け継ぎました。長い間お疲れさまでした!

2008年04月15日

国産ジェットの新たな翼「MRJ」 ローンチ・カスタマーに全日空が名乗り!!

以前にもご紹介したYS-11に続く国産ジェットとして開発が進められている三菱重工の“MRJ”(ミツビシ・リージョナル・ジェット)ですが、全日空が3月27日の取締役会にて導入を決定しました。ひとまず全日空では、オプション10機を含めて計25機の購入を決定しています。初号機契約を結ぶローンチ・カスタマーとして開発計画に参加する予定です。これにより三菱重工では“MRJ”の事業化を決定しました。4月1日よりMRJ事業を担う新会社「三菱航空機株式会社」(仮称)を設立し、MRJの開発を加速するとともに、世界各国のエアラインへの販売活動をより強化するとしています。

全日空では、ボーイング737-500(126人乗り)の代替機として90人乗りのMRJ90を2013年以降に導入し、新千歳、仙台、伊丹、福岡などをベースに地方間を結ぶ路線に就航させる考え。

MRJは、リージョナル・ジェット機としてははじめて主翼・尾翼に複合材を本格的に採用し、最新技術を駆使した新型エンジン(プラット&ホイットニーの「GTF」)の搭載や、最先端の空力設計により、燃料消費量が現行機材に比べ約40%減が見込まれます。全日空がたとえば、15機MRJに入れ替えるだけでも年間約50億円のコスト減となると期待されています。

国産の翼といえばすでに退役したYS-11がありましたが、MRJでも「オールジャパン」の布陣です。開発費約1500億円のうち国が約500億円を負担し、「三菱航空機株式会社」には、トヨタ自動車や三菱商事などが出資する予定で、また富士重工も開発・生産に参加を検討しています(富士重工が参加を決定すれば3大メーカーのもう1つ川崎重工の参加も期待されます)。

全日空が導入を決定したMRJ90のスペックは以下の通りです。
●MRJ90
全長:35.8メートル
全高:10メートル
全幅:30.9メートル
座席数:86~96席
最高速度:マッハ0.82
運用最大高度:39,000フィート
エンジン:PW-GTF
航続距離:1,630キロメートル
就航予定:2013年

小型機の市場は今後拡大が見込まれ、日本航空機開発協会によると、2026年の民間ジェット機の運航予測はMRJクラス(60~99席)が5,426機と2006年度実績の約5倍になるとしており、中国やロシアなど新興国で需要が活性化する見通しです。ただ、すでに小型機での実績があるカナダ・ボンバルディア社、ブラジル・エンブラエル社の2社が現在ほぼ独占しており、この2社の牙城を崩すのは大変な道のりとなりそうです。また、中国では中国航空工業、ロシアではスホーイも小型旅客機を開発していますので、新規参入同士でも受注競争を勝ち抜かなければなりません。

ぜひぜひ、高い燃費性能、技術力の高さをアピールして、海外での受注競争に勝ち抜き、メイド・イン・ジャパンのジェット機の成功を見せていただきたいと思います。今後のMRJの活躍には要注目です!


近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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