国際航空運送協会(以下IATA)は5月31日、紙の航空券の発券を終了し、完全eチケット化への移行を発表しました。IATAの発表によると、6月1日までにすでに発券、購入された有効期限内の航空券がわずかに存在するが、以降は、一切の紙の航空券の発行を行わないとし、eチケットへの完全移行宣言となりました。


「Last Paper Ticket Ceremony」の様子。紙の航空券に大きく“RETIRED(引退)”の文字が書かれていますね。紙をめくっているのはIATAの事務総長兼CEOのジョバンニ・ビジニャーニ氏で「紙の航空券を持っているならば、博物館に寄付すべき時だ」とコメントしました。より便利で効率的な空の旅の時代がはじまったといえるでしょう。(Photo/IATA)
航空券のはじまりは、1920年代に航空会社が独自の決まりで発券していたものを、1930年に旅客、便数の増加からIATAが統一フォーマットを決定しました。その後、1972年に「The IATA Billing and Settlement Plan(BSP) 」が導入され、各旅行会社が発券する航空券のカバーにIATAのロゴが印刷されるようになりました。1983年には磁気ストライプの付いた航空券が導入され、ピークとなる2005年には2億8500万冊を発券しました。
今後利用されるeチケットは1994年に開発され、1997年にIATAが世界的な標準仕様として採用しました。eチケットへの完全移行のためのプロジェクトは、2004年にシンガポールで開催された国際会議において決定されました。この時期は、戦争やテロ、SARSといった国際的な危機や1バレル40ドルまでに高騰した原油価格といった諸事情から、コスト効率や環境への配慮が考慮され、1997年6月よりプロジェクトがスタートすることとなったのです(国際危機も原油も現在でも状況は悪いままですね。残念なことですが)。
IATAによると、紙の航空券には1枚あたり10ドルの費用がかかるのに対して、eチケットはわずか1ドルとコストを大幅に削減できるとしています。現在、IATAのシステムで発券されるチケットの枚数は年間で4億枚にのぼるとされ、完全eチケットになると30億ドル(約3200億円)のコストダウンを毎年図れるとのことです。
2004年6月のプロジェクトスタートにより、2004年5月時点では全世界で19%だったeチケットは、2005年11月には41%、2006年9月には57%、2006年末に72%、2007年8月には84%、2008年4月末時点で95%を記録しています。
IATAによると、北米や欧州、日本などの北東アジアは100%近いが、旧ソ連諸国の69%、アフリカの89%など、技術対応や規制の問題で普及の遅れが目立つ地域もあるとのこと。こうした地域では、少量だが独自に紙の券を発行し続ける航空会社もありそうです。日本の空港の対応状況は、成田、中部、関空、羽田など主要空港は95%以上の航空会社が対応していますが、80~95%以下の対応状況が鹿児島と那覇空港、60~80%が岡山空港となっています。
利用者にとっても紛失時の再発行が簡単に行えるなどメリットがあります。個人的には紙の航空券を発券してもらうと、これから旅に出るんだな~というワクワク感が出てきて紙は紙なりの良さはあると思うのですが、さびしいですがこれも時代の流れなんですよね。

