欧州連合(以下EU)の欧州議会は7月8日、地球温暖化対策のため、EU域内で離発着するすべての航空会社ごとに航空機が排出する二酸化炭素(CO2)量の上限を設定し、排出量取引などを通じた排出削減を義務付ける規制案を賛成多数で承認しました。EU閣僚理事会も承認済みで2012年から施行される予定です(ちなみに2012年までの温暖化対策の枠組みを規定した京都議定書では、国際航空分野の排出は適用外となっています)。この規制案はEU以外の航空会社の路線にも適応されるため、燃料高騰に苦しむ航空会社への影響は大きいものとなるでしょう。
承認された規制策は、航空会社はEUの排出量市場で年間総排出量の15%相当を購入した上でさらに、2012年に各社の排出量を2004~2006年比で3%削減、2013年以降は同5%削減の義務を負うとし、同市場で過不足分を売買するとしています。
航空機からの排気ガスが地球温暖化に与える影響はどんなものがあるのか説明していきましょう。航空機のエンジンから排出される温室効果ガス(Green House Gases。略称:GHG)ですが、主要なものとして二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、水蒸気があげられます。また航空機は、高高度上領域(対流圏上層部、成層圏下部)と地上付近での生活環境の2つに影響を及ぼすという問題があります。特に高度10,000メートルを超える高高度上領域では二酸化炭素よりも窒素酸化物や水蒸気がより強力な温室効果を発揮するといわれています。
もちろん業界も対策を考えており、ボーイングとエアバスはそれぞれ燃費効率を向上させてGHG排出を抑えた機体を開発していますし、化石燃料以外の燃料を用いる航空機の開発も進んでいます。以前本ブログでも紹介しましたがヴァージンアトランティック航空は2月にバイオ燃料を使った試験飛行を実施しましたし、日本航空は2009年3月末までに第二世代バイオ燃料を使った試験飛行を行う予定です。
※とうもろこしや大豆の派生物を使った第一世代のバイオ燃料は、食べ物と燃料が奪い合う状況が起こりつつあります。そうしたことから効率良く持続可能なエネルギーとして食物資源や水資源に悪影響を与えない第二世代のバイオ燃料が開発されています。
またヨーロッパやアメリカでは燃料電池を使う研究も進行中です。2008年4月3日にボーイングは、航空機史上初となる水素燃料電池を搭載した航空機の有人飛行に成功しています(Diamond Aircraft Industries社製2人乗りモーターグライダー「Dimona」を使用しました。燃料電池を大型旅客機の主要動力として使用することは想定していないそうですが、補助電源装置等の2次発電システムに適用できるのではないかとしています)。
航空分野での排出削減をめぐっては国際民間航空機関(ICAO)で約10年前から議論が交わされてきていますが、具体化しておらず、アメリカはそもそも拘束力のある排出規制そのものに否定的であり、EUの排出規制ルールについてEU以外の航空会社の反発もありえそうです。ただ、地球温暖化は全世界規模で待ってくれない問題であり、全世界規模で取り組んでいかなければならない問題です。
旅客機で空の旅を楽しむ私たちもこうした問題を少しでも考える機会を持ちたいものですよね。そして願わくは、地球に優しいECOな旅客機で空の旅を楽しみたいものですね。

