イタリアのナショナル・フラッグ・キャリアであるアリタリア航空は8月29日、取締役会において裁判所に破産宣告を申請し、会社更生手続きに入る決定をしました。今後は不良資産の処理を進める清算会社と、再建を図る新会社とに分割されます。
2008年3月には、エールフランスKLMが買収することで合意しましたが、アリタリア航空の労働組合がリストラ案に反発、同意を得られないなど、交渉が難航していました。さらに、イタリアの「ナショナル・フラッグ・キャリア」の維持にこだわる姿勢もあり、総選挙で当時野党を率いていたベルルスコーニ首相が「外国企業に売り渡すな」と反対キャンペーンを展開し、総選挙で圧勝するなど、国内再建にこだわった形となりました。
アリタリア航空は、非効率な事業運営や労使紛争を繰り返してしまったことにより、1999年から赤字を強いられていて、最近は原油高のために経営が悪化する一方でした。負債は11億ユーロ(約1,700億円)にのぼり、現在では1日の運航で100万ユーロ(約1億5,000万)以上の赤字を出す状態にまでなっているそうです。
再建案ですが、イタリアのアパレル大手ベネトンや大手銀行を中心とした国内企業16社が約15億ユーロ(約2,300億円)を資本注入し、エールフランスKLMも少数株主として参画する(10%から20%の株式譲渡を打診されたと報道されています)とされています。今後は、管財人の下で、社員の4割近い7,000人の人員削減に踏み切り、貨物航空など不採算部門を清算します。そして国内や欧州内の短距離路線を軸とした新会社を設立する予定で、イタリア第2位のエア・ワンと合併させ再生を図る方向で、長距離の国際路線は、エールフランスKLMやルフトハンザ ドイツ航空など欧州のエアラインとの提携を模索するとしています。
気になる日本路線ですが、成田・関空とも現在のところは通常運航をしており、「2008年7月31日の時点で、債権者通知等による差し止め命令、あるいは営業を停止するような供給側の影響もない」とし、顧客と供給側との商業的関係は維持するとして、営業活動を続けながらの再生を行うことを説明しています。ただし日本線はアリタリア航空にとってドル箱路線であることは確かですが、予断は許されません。
日本路線は1962年に就航と日本ではおなじみの航空会社であり、人気の高いイタリアへの直行便を運航する航空会社として、ぜひとも日本路線への運航継続を願うとともに、再建が順調に進むことを祈っています。

アリタリア航空のボーイングB777-200ER。日本路線に使用されている機材です。日本で人気のデスティネーションであるイタリアのローマ、ミラノへ直行できることで、昔から日本人にとってはおなじみの航空会社です。再建策がうまくいくことを願っています。


コメント (1)
9月18日の報道によりますと、
アリタリア航空の買収・支援に名乗りをあげていた
ベネトンなどの企業グループが、
再建計画から撤廃を表明しました。
再建支援の条件としていたアリタリア航空の労組の合意が得られなかったのがその理由です。
人員削減や賃金カットなどの再建策に大して、
9労組のうち同意したのは3労組だけで、
パイロットや客室乗務員などの6労組は応じなかったそうです。
これにより、新たな救済案が提示されない場合は、
企業全体が清算の対象となることは避けられません。
再建計画失敗はこれで3度目となり、
アリタリアの今後がどうなるのか心配です。
投稿者: 近井コアラ | 2008年09月22日 14:36
日時: 2008年09月22日 14:36