バードパトロール 空の安全を守る仕事

1月15日に起きたUSエアウェイズの旅客機がハドソン川に不時着水したニュースは皆さんもご存知でしょう。事故の原因についてはNTSB(National Transportation Safety Board=国家運輸安全委員会)の調査を待ちたいですが、現在判明している原因は“バードストライク”ということです。しかも「ダブル・バードストライク」ということで2基のエンジンが両方ともフレームアウト(エンジン停止)したことが原因であるのが濃厚というものでした。事故にあったUSエアウェイズ1549便は、エアバスA320でしたので2基しかないエンジンの両方が停止したことになり、乗客・乗員のすべてが死者・行方不明者を出さなかったことは称賛に値する出来事だったといえるでしょう。

さて、バードストライクですが、バードは“鳥”でストライクは“衝突する”ですから、鳥と飛行機が衝突するという意味です。そもそも空港は海や川に近いところが多いことから、多くの鳥が餌を求めて集まるため、バードストライクは残念ながら避けて通れません。小型の鳥類であっても、高速で飛行する飛行機にとっては衝突時のエネルギーは大きくなり、ダメージは私たちが考えているよりも大きいものです。

民間旅客機は、このようなバードストライクに対応するために、装備するエンジンに4ポンド(1.8kg)の鳥を吸い込ませるテストを行い、吸い込んでしまった後でも基準を上回る推力を保てることがほぼ必須となっています。ちなみにバードストライクが起こるのはエンジンだけではなく、コクピットにもぶつかることがあります。そのためウィンドシールド(コクピット前面の窓)が多重構造になっているのも、バードストライクに対応するためということも理由の1つです。

自然相手のことであり根本的な対策は難しいのが現状ですが、日本では「バードパトロール」というバードストライクを防ぐために航空保安協会が結成したチームがあります。このパトロールチームは全国の主な空港に配備されていて、鳥たちが滑走路に近づかないために1日に何回もパトロールを行っています。

●バードパトロール実施空港
新千歳空港・函館空港・仙台空港・新潟空港・東京国際空港(羽田)・中部国際空港(セントレア)・大阪国際空港(伊丹)・関西国際空港・広島空港・高松空港・松山空港・高知空港・大分空港・新北九州空港・福岡空港・長崎空港・熊本空港・宮崎空港・那覇空港

バードパトロールチームは、鳥を滑走路付近から逃がすために、通常は散弾銃の空砲や競技用ピストルを使って大きな音を出し、鳥から飛行機を守っています(ほかには花火や鳥の苦しむ鳴き声を録音した「デストレスコール」を発したりしています)。

アメリカでは2007年に7666件、日本では2006年に1233件とバードストライクの発生件数は少なくありません(日本では、けが人が出るような大きな事故につながる事例はありませんので、安心してください。今回のUSエアウェイズの事故は、万に一つの出来事だったといえるでしょう)。自然環境の改善による野鳥の増加と航空交通量の伸びに加えて、旅客機の多くでエンジン数が3・4基から2基に減っているということも、バードストライク発生の増加につながっていると考えられています。旅客機の静音化で鳥が旅客機に近づきやすくなっているということもあげられます。

しかし、日本ではバードパトロールチームの地道なパトロールのおかげで、一部空港では効果が出ているところもあります。もともとは空を飛んでいたのは鳥ですから、うまく共存できる方策を考えていきたいものですよね。鳥にも旅客機にも安全な空を目指して今日もバードパトロールの皆さんは、地道なパトロールを行っています。空の安全を守る仕事には、こんな仕事もあるということを知っていてください。

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コメント (3)

popo:

いつも興味深く拝見させていただいてます。^^

ちょっとお伺いしたいのですが、「バードパトロール実施空港」の中に、成田が入っていないのですが、それはどうしてなのでしょうか?
てっきり成田も実施していると考えていたのですが・・・。
もしご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。

近井コアラ:

popoさん、こんにちは。
いつもご愛読ありがとうございます!

もちろん成田空港でもバードストライク対策は
行われています。
今回は航空保安協会が行っている
バードパトロールチームの紹介だったため
成田空港の事例は紹介しませんでした。
成田空港では、1日4回の滑走路パトロール、
週1回程度の業者による散弾銃による駆除、
鳥のエサとなる虫の発生予防のための
草刈りを実施しています。
草刈りは、かなりの効果があったとされています。

記事では紹介しませんでしたが、
アメリカ空軍では「AHAS (Avian Hazard AdvisorySystem・鳥類の危機に関する勧告システム)」と呼ばれるバードストライク対策システムがあります。
こちらは、アメリカ本土内の飛行計画について
リアルタイムにバードストライクの危険性を調べることができるオンラインシステムです。
危険度が表示されるので、
パイロットたちはこのシステムで調べた結果を考慮して
飛行計画を立てることができるというシステムです。

たくさんの対策方法が立てられていますが、
対自然ということから、なかなか抜本的解決には至らないというのが現状ですね。

そういえば、昨年公開された映画「ハッピーフライト」はバードストライクが鍵となっていましたね。
ご興味のある方は映画をご覧になってもいいかもしれません。

popo:

コアラさん、とても興味深いお返事、ありがとうございました。
成田も実施されていたんですね^^、良かったです。(笑)
アメリカのAHASは凄いですね。勉強になりました。

ハッピーフライトは見ようと思っていてまだ見ていないので、いつか(DVDで?)見ようと思っています。

ありがとうございました☆

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近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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