関空で試行、CDA方式で燃料とCO2削減

国土交通省は、世界的不況で経営が悪化している航空業界への支援策として、関西国際空港発着便の飛行経路や着陸方式を見直すことを発表しました。

飛行経路は7月2日から変更の予定で、具体的には羽田/関空間と成田/関空間の経路を見直す予定。現在、和歌山県日高町の上空を飛んでいた飛行経路を見直し、やや北側の和歌山市上空を飛ぶようにして飛行経路を縮めることで、飛行時間が約5分程度短縮できるといいます。

もう1つの着陸方式ですが、これは“継続降下到着方式”(CDA:Continuous Descent Arrivals)と呼ばれる方式(以下CDA方式)を5月7日から、日本の航空会社の航空機を対象に深夜早朝時間帯(23時~翌7時)にて試行運用します(1日平均5機程度)。環境に優しい方式なので「グリーン・アプローチ」と呼ばれることもあります。
※ArrivalsではなくApproachesとする場合もあります。

CDA方式とは簡単にいいますと、上空で推力を最小限に絞り、グライダーのようになだらかに降下する着陸方式です。日本で通常行われている着陸の方法は、ステップダウン進入と呼ばれ、降下と水平飛行を繰り返しながら、段階的に高度を下げていく方式です(図参照)。

cda.jpg
CDA方式と一般的な着陸方式との違い
CDA方式はエンジン推力を下げて継続的に降下する方法。一般的な着陸方式はエンジン推力を水平飛行時に上げなければならない。

それではCDA方式だとなぜ燃料消費が抑えられるかというと、ステップダウン進入の場合は、途中、水平を維持しなければならないため、エンジンの推力を維持しなければなりません。しかし、CDA方式では降下途中に水平飛行をしなくてもいいので、エンジンをアイドルに近い低出力ですむため、燃料消費を抑えることができるのです。国土交通省では1日5機で実施した場合、燃料は年間で約47万リットル(約1,800万円分)節約できると試算しています。削減できるCO2は約1,160トンで、一般家庭に換算すると約223世帯分の年間排出量に相当するとしています。

また、CDA方式にはさらにメリットがあります。より高高度を飛行することによる安全性の向上と騒音を低減することもできるのです。また、CDA方式では、FMS(Flight Management System:飛行管理システム)のVNAV機能(Vertical NAVigation:高度方向の航法)の利用により、FMSのモニタリングが主となることで、操縦手順が容易となりパイロットの負荷も軽減されるメリットもあります。

こうした試みは世界各地でも導入の検討がされていて、ヨーロッパでは2013年末までにヨーロッパ域内の最大100空港でCDA方式の設定を行い、燃料では年間で15万トン、CO2にして50万トンの削減を目指すと発表しています。

国土交通省は今後、効果を検証しつつ、CDA方式の対象空港を増やしていく方針です。環境に優しく、かつ安全で騒音も少ないという、CDA方式。運用がスムーズにいき、さまざまな空港で実施されることを願っています。

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コメント (4)

ヒコーキ:

CDA方式がいいのは誰にだって判ります。

なぜ通常日本では「ステップダウン進入」が行われているのかの説明がなければ理解出来ませんよ。

近井コアラ:

ヒコーキさん、こんにちは。

貴重なご指摘ありがとうございます。
今回はCDA方式の説明を主としていたために、なぜ日本では「ステップダウン進入」が行われているのかについての説明はしませんでした。

私の見解では日本の空港においてステップダウン進入が行われているのは、過密なトラフィックのために高高度における順序・間隔付けの実施が難しいこと、管制側の意思決定のシステムが確立していないためと考えています。
(もちろんFMSを装備していない在来のB747などや進入経路上に障害物があり、高度を維持しなければならないような物理的にCDA方式が運用できない場合は除きます)

トラフィック過密化でのCDA方式の運用は難しいといわれていましたが、ボーイングが主導して行っている「テイラードアライバル」方式(航空機の状態、交通量、空域、気象状況などを統合的に判断して最適な着陸経路を設定し、グライダーのように滑空して着陸する)の実証実験においては、「空港に個々の課題があるが、非常に複雑な環境でも運用できる」としており、システムが整い、管制・パイロットの運用に対する意思疎通が整えば日本の空港でも運用は可能である思います(すべての空港での運用は不可能だと思いますが)。

今回の関空でのCDA方式の運用実験が成功すれば、日本での運用も広がるかと思います。

蛇足ですが、いくつかの日本の空港にもCDA方式による進入方式は設定されています。
しかし、実施率は低いそうです。
管制側(意思決定システムなど)、パイロット側(FMS利用の訓練など)のCDA方式運用に対する訓練、意識も必要となってくるのでしょうね。

今回は貴重なご意見ありがとうございました。
今後もぜひご意見・ご感想よろしくお願いします。
私ももっともっとわかりやすく、皆さんに楽しんでいただける記事を目指してがんばります。
ありがとうございました。

tomarin:

はじめまして。いつも楽しく拝見致しております。
近井様のとても理解しやすいご丁寧な解説とコメンターの方々の鋭いご質問でいつも勉強させていただいております。

これからもしばしばお邪魔させていただきたいと思います。
以上、応援コメでした!

近井コアラ:

tomarinさん、こんにちは!

応援コメント、本当にありがとうございます!!
みなさんに楽しんでもらえる記事を目指し、
これからもがんばりたいと思います。

tomarinさんもご質問・ご要望等ありましたら、
お気軽にコメント、よろしくお願いします。

今後とも本ブログをご愛顧いただけますよう、よろしくお願いします。

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近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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