さよなら、クラシック・ジャンボ! 非常識を常識に変えてしまった名エアライナー

前回に引き続き日本の航空会社から7月31日で退役となるクラシック・ジャンボについてご紹介します。今回はクラシック・ジャンボの型式について、その型式のエピソード等をまじえてお話していきましょう。

クラシック・ジャンボにはさまざまなバリエーションが存在しますが、主だったものを紹介していきます。
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クラシック・ジャンボの特徴ともいえるコクピットにずらりと並ぶ計器。右側は、航空機関士が操作するアナログ計器。B747-400では、コクピットのアナログ計器はぐっと減り、コンピュータ化され、グラスコクピット化され大型のディスプレイが並びます。クラシック・ジャンボが退役することにより、日本の航空会社で3メンクルーで運航される旅客機はなくなりました。


●ボーイング747-100
開発当初は100型というモデル名はつけられていませんでしたが、性能を向上したB747-200Bの登場により、100型というモデル名がつけられました。1970年1月21日からパンアメリカン航空によってニューヨーク/ロンドン線に就航しました。1970年には、部分的な改修によって最大離陸重量を約333トンに引き上げ、当初このモデルはB747-100Aと称していましたが、新規生産も引き渡し済みの機体もすべてこの改修が行われたため、シリーズ名はB747-100に統一されました。100型の派生型には、主翼・胴体・降着装置などを強化し、最大離陸重量を引き上げたB747-100Bがあります。この100B型は、1979年7月にイラン航空に引き渡されましたが、わずか9機(SR-SUDを除く)しか製造されませんでした。
★スペック
全幅:59.64m 全長:70.66m 全高:19.33m 最大離陸重量:322~333t 最大巡航速度:マッハ0.85 最大航続距離(最大搭載時):8,895km エンジン:JT9D-7F、CF6-45A2、RB211-524B 運航乗員:3名 最大座席数:528席 初飛行:1969年12月
◆特徴的な機体
レジ番号「N7470」は、ボーイング747生産第一号機で生産地を称えて「シティ・オブ・エバレット」の愛称が付けられています。現在は静態保存状態でエンジンは取り外されています。ボーイング767とボーイング777のエンジンを第二エンジン部に付け替えて行う「エンジンテストベッド機」としても使用されました。
レジ番号「JA8103」は、日本航空→日本アジア航空で使用されたあと売却。なんと映画「エアフォースワン」の撮影用機体として使用されました。
レジ番号「JA8170」「JA8176」は、300型のボディに100B型のエンジンを搭載したモデルで、日本航空が発注したのみでわずか2機しか生産されていません。100型が搭載していたエンジン(JT9D-7A)やその他システムを300型のボディに流用しているため、B747-100B/SUDと呼ばれています。


●ボーイング747-200
機体の外形は100型とまったく変わらないものの、機体各部を補強し、翼中央の燃料タンクを大型化して燃料搭載量を増加させ、エンジンの推力を向上させたJT9D-7Wを装備したもので100型と区別して747Bと称されていましたが、のちにB747-200Bと改称されました。1970年に10月に初飛行し、1971年6月には商業運航を開始しました。200B型は、その後に続くクラシック・ジャンボの基本型となった機体です。
★スペック
全幅:59.64m 全長:70.66m 全高:19.33m 最大離陸重量:350~377t 最大巡航速度:マッハ0.85 最大航続距離(最大搭載時):11,397km エンジン:JT9D-7R4G2、CF6-50E、RB211-524D4 運航乗員:3名 最大座席数:528席 初飛行:1970年10月
◆特徴的な機体
レジ番号「JA8180」は、日本航空機材で初のポリッシュドスキン試験機となったフレイター機。
レジ番号「N633US」「N634US」は、エンジン等が輸出規制にかかり、アルジェリア航空に引き渡されなかった2機の幻のジャンボ。1980年にシアトルでアルジェリア航空のニューカラーでロールアウトされましたが、結局引き渡しは行われず、ノースウエスト航空に引き渡されました。


●ボーイング747SR
SRはShort Rangeの略であり、もともと日本の国内線用に開発された機体で、世界でも日本航空と全日空のみが発注しました。外形は100型とほとんど同じで、特徴としては、最大離陸重量を引き下げ、多くの離着陸に耐えるため機体構造の一部を強化し、疲労破壊に備えて200B型と同様の降着装置への変更や、ブレーキの改良などを行っています。1973年9月に初飛行し、1973年10月に商業運航を開始しました。エンジンは2社それぞれ違うものを装備していて、日本航空がプラット&ホイットニーのJT9D-7Aを、全日空がゼネラル・エレクトリックのCF6-45A2を装備しました。
★スペック
全幅:59.64m 全長:70.51m 全高:19.33m 最大離陸重量:259t 最大巡航速度:マッハ0.85 最大航続距離(最大搭載時):3,780km エンジン:JT9D-7A、CF6-45A2 運航乗員:3名 最大座席数:584席 初飛行:1973年9月
◆特徴的な機体
レジ番号「JA8157」は、全日空で最後まで残ったSR型。1982年導入後、国内線用として使用されましたが、1984年に最大離陸重量が引き上げられ、後にエンジンもCF6-50E2に改修され、国際定期便用機材として活躍しました。
レジ番号「JA8158」は、全日空から日本貨物航空へ転籍され、貨物機に改造された世界でも珍しいB747SRF。フレイター機でありながら、窓があるのが特徴でした。
レジ番号「JA8117」は、日本航空で使用後売却され、現在はNASAでスペースシャトル輸送用機(N911NA)として使用されています。


●ボーイング747SP
SPはSpecial Performanceの略です。最大航続距離が1万キロを超えるスペックを持つ最初のジェット旅客機です。胴体がほかのジャンボ・シリーズよりも短く、シルエットが大きく異なります。ジャンボのなかでもかなり異色のモデルと言っていいでしょう。
★スペック
全幅:59.64m 全長:56.31m 全高:19.94m 最大離陸重量:318t 最大巡航速度:マッハ0.85 最大航続距離(最大搭載時):10,656km エンジン:JT9D-7A、RB211-524B2 運航乗員:3名 最大座席数:331席 初飛行:1975年7月
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日本航空のボーイング747-300。日本航空が300型を導入したのは1983年。日本航空は400型もあわせて、通算で世界最多の100機以上ものジャンボを導入した航空会社ですが、ジャンボのバリエーションも世界最多。これは大きな輸送力が必要な国内線、航続距離と輸送力が必要な国際線、この2つの需要にあわせてジャンボ・シリーズを使い分けていたためで、全日空も同様も同様で両社のジャンボ・シリーズは、世界からみてもとても個性的でした。日本の空には世界では非常識といってもいいほど、多様なジャンボが空を飛んでいたのです。


●ボーイング747-300
200B型のアッパーデッキを後方に約7.1m延長したモデル。アッパーデッキが短いタイプと比べ、空気抵抗が減ったこと、さらに燃費のよいエンジンが採用されたことにより、機体の大型化とともに、航続距離の延長、標準巡航速度の向上も実現しています。300型には全旅客型、貨客混在型(コンビ型)、そして日本の国内線に対応した300SRの3モデルが存在しています。300SRは、747SRで採用された短距離路線運航のための技術を盛り込んだ機体で、世界でも日本航空の4機のみでとっても珍しい機体です(その後全て改修を受け、ホノルル線などで活躍していました)。また、一部の航空会社では、100型や200型を改造して300型のような胴体にしたところもありますので注意(これはSUD仕様と呼ばれています)。
★スペック
全幅:59.64m 全長:70.66m 全高:19.33m 最大離陸重量:372~378t 最大巡航速度:マッハ0.85 最大航続距離(最大搭載時):10,463km エンジン:JT9D-7R4G2、CF6-50E、RB211-524B2 運航乗員:3名 最大座席数:563席 初飛行:1982年10月
◆特徴的な機体
レジ番号「JA8183」「JA8184」「JA8186」「JA8187」は、世界で日本航空のみが発注したB747-300SR。


大量輸送時代を牽引したクラシック・ジャンボ。大きさや輸送力、航続距離など、全てが当時では非常識とされていたものが、ジャンボの登場によっていまや空の常識となっています。

初飛行から約40年という月日が経ち、当時の先進的なメカニックもいまやノスタルジーを誘うものとなってしまいました。コクピットに計器がずらりと並び、航空機関士という3人目のコクピット・クルーが乗務していた機体は、日本の空から姿を消します。時代を彩った名機、クラシック・ジャンボ。お疲れさまでした!

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近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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