
合併を発表したブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空。合併が完了すると乗客の輸送規模で世界5位、欧州では2位の規模の巨大航空会社が誕生することになります。合併によるシナジー効果は5年目に4億ユーロ(約530億円)という見通しが立っています。(Photo/British Airways・Iberia)
ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空が、経営統合することで合意し、覚書を交わしました。2010年末までに共同で持ち株会社を設立し、両社が傘下に入るという形態。持ち株の株式はBA株主が55%、イベリア株主が45%となり、会社登記はスペインのマドリードで、運航・財政面での本社はロンドンに置く予定だそうです。新会社の最高経営責任者(CEO)には、ブリティッシュ・エアウェイズのウィリー・ウォルシュCEOが、財務責任者にはイベリア航空のアントニオ・バスケス・ロメロ会長の就任が予定されています。この合併により、乗客の輸送規模で世界5位、欧州2位の航空会社が誕生することになります。
※ちなみにIATAの2008年度定期旅客便輸送実績(輸送人数×距離)のベスト10は、(1)デルタ航空、(2)アメリカン航空、(3)ユナイテッド航空、(4)エールフランス航空、(5)コンチネンタル航空、(6)ルフトハンザ ドイツ航空、(7)サウスウエスト航空、(8)ブリティッシュ・エアウェイズ、(9)エミレーツ航空、(10)カンタス航空。日本の航空会社は日本航空が15位で全日空が20位。
世界的な航空不況により、世界の航空会社では統合という再編が進んでいますが、今回のブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空も再編により生き残りを目指すものです。大型合併といえば、2004年のエールフランス-KLM(エールフランス航空とKLMオランダ航空と経営統合)、2008年のデルタ航空(ノースウエスト航空と合併)、ルフトハンザグループ(2009年9月にオーストリア航空を買収、bmi、ブリュッセル航空の大株主)などがあります。特にヨーロッパでは、ドイツ(ルフトハンザ)・フランス(エールフランス-KLM)・イギリス(ブリティッシュ・エアウェイズ)の3社に統合が進む形になってきています。これらはネットワークの効率的な拡大、サービスの向上、競争力向上、コスト削減を狙ったもの。
ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空は、合計で419機の航空機を保有し、205都市に就航しており、2008年度には年間6200万人の旅客を運んでおり、両社あわせて150億ユーロの収益をあげています。今回の合併により、シナジー効果は5年目に4億ユーロ(約530億円)に達するという見通しがされています。この2社はそれぞれ特徴も違っているので、確かにうまいシナジー効果が見込めそうです。たとえばブリティッシュ・エアウェイズは北米やアジアの路線に強く、イベリア航空は南米路線が強いなどネットワークの効率的な拡大が図れそうです(現在の両社あわせての就航都市205都市のうち、合併後に新規になる都市はブリティッシュ・エアウェイズで59都市、イベリア航空で98都市となることからも重複路線の少なさがみてとれます)。
今後も世界の航空会社の合併や経営統合は進みそうですが、気になるのは、現在さまざまな報道がされている日本航空の再編問題です。デルタ航空、アメリカン航空からの経営支援の話も話題になっていますが、現在のところ政府に支援要請(1000億円強)を出す方針を固めているとの報道があり、これが実現すれば年代内に必要な最低限の資金を確保できる見通しとなり、企業再生支援機構の支援決定を受けるための再建計画策定に集中できることになり、自力再編の道を選択しそうです。
12月上旬にワシントンにて開催される日米航空交渉でオープンスカイ協定(航空会社が自由に路線や便数を設定できる)の締結が合意される見通しが強く、これにより日米路線の勢力図に変化が訪れることは間違いありません。日本航空や全日空も影響があることは間違いなく、今後の動向からは目が離せません。日本航空も全日空もこの荒波を乗り切り、確固たる地位を築いて欲しいものです。

