アメリカ・ワシントンで12月7日から行われていた日米航空協議ですが12月11日、両国の航空会社が基本的に路線や便数などを自由に設定できる航空自由化(オープンスカイ)協定を締結することで実質合意に達しました。今回の協議は事務レベルのもので、正式には両国の閣僚が協定を締結する予定で、2010年10月までに発効する予定です。
今回の協議で基本合意された「オープンスカイ」とは、いったいどのようなものなのか簡単に説明していきましょう。第二次世界大戦後の民間航空制度について、1944年にアメリカ・シカゴで開催された会議において、領空主権の原則を確認するとともに、国際民間航空機関(ICAO)の設立と民間航空に関する枠組みが決められました。これを「国際民間航空条約(シカゴ条約)」といいます。このシカゴ条約では、民間航空会社が定期航空運送を行う際には、関係する国から許可をとることが必要となっていました。1946年にアメリカとイギリスが二国間協定「第一次バーミューダ協定」を結び、それが現在までの日本を含む世界各国が結んだ航空協定のモデルとなりました。
しかし、その後アメリカでの航空規制緩和(1978年航空規制緩和法)、EUの域内での航空自由化などがあり、これまでの二国間の航空協定の規制を撤廃(自由化)することで、自国の空港を広く開放し、人・物の流通を促進し経済効果を高めるとした「オープンスカイ」政策・協定が、推進されることとなったのです。
オープンスカイ政策は、人・物の流通を促進するのに有効ではありますが、自国の航空会社を厳しい国際競争にさらすリスクもあり、日本はこれまで消極的であったといえます(羽田や成田など発着枠に制限のある空港がハブ空港であるということもあります。物理的な問題として自由に路線を開設できない)。しかし、アメリカを始めEU、アジアの各国が相次いでオープンスカイ政策を掲げるなか、今回の日米合意で、日本もついにオープンスカイ政策への舵取りを開始しました。
今回の日米オープンスカイ協定で合意されたことは以下の3項目。
(1)オープンスカイ協定を締結し、日米の航空会社に米国独占禁止法の適用除外(ATI)を与える
(2)2010年10月の羽田再拡張後、日米間で1日最大4便を運航できるようにする
(3)成田空港の発着枠で、米国の占有率を現在の28%から25%への引き下げ
このオープンスカイで大きく影響を受けるのは、航空会社間の提携です。すでに全日空・ユナイテッド航空・コンチネンタル航空のスターアライアンス3社は、日米間の路線を共同で展開する方針を固めています。ATIの認可を受ければ、運航スケジュールや料金、収益などの調整が可能となります。たとえば同じ路線を運航している場合は、出発時間をずらしたり、一部のサービスを共通化することで、効率化をはかり運賃の値下げにつなげることなど可能となります。そして、これが現在日本航空再建支援において火花を散らす、アメリカン航空、デルタ航空の狙いでもあります。アメリカンもデルタも日本のフラッグ・キャリアである日本航空との提携は、大きなメリットとなります。ドル箱路線である日本線でオープンスカイ後に、日本の航空会社と提携しているか、していないかでは、今後の路線展開にも大きな影響があることでしょう。今回の日米オープンスカイ協定には、日本航空の経営再建にも大きな影響を与えることは間違いありません。ATIについては、ユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空の各社が、申請する見通しですので要注目です。
なお、オープンスカイ協定の締結後も、羽田・成田の両空港は発着枠がすでに満杯状態なため、増枠分は政府間の交渉で決定することになりますが、発着枠に余裕がある関西・中部国際空港などには、格安航空会社など新規参入の表明をする航空会社が登場する可能性があります。
私たち利用者にとっては、運賃の値下げやスケジュールの利便性が高まる可能性があり、来年の日米路線はいろいろな変化が見逃せません。

