11月4日のシンガポール発シドニー行きのカンタス航空QF32便のエアバスA380(レジ番号:VH-OQA)で発生した「トレント900」のエンジントラブルですが、11月12日、エンジン製造会社であるロールス・ロイス社がトラブルの原因についての調査結果を公表しました。
カンタス航空のエアバスA380は、シンガポールのチャンギ国際空港を離陸し、シドニーへ向かいましたが、インドネシア西部バタム島上空付近を飛行中、左翼内側の第2エンジンが機能を停止し、一部のカバー部分が落下した後、チャンギ国際空港に戻り緊急着陸をしていました。同機には乗客433人、乗員26人が搭乗していましたが、全員無事でした。事故を起こしたエアバスA380(VH-OQA、シリアルナンバー14)は、カンタス航空に2008年9月19日に引き渡され、これまでに831回計8165時間飛行実績がある機体。
この事故を受け、カンタス航空では保有しているエアバスA380の6機すべての安全点検を行った結果、6機のうち3機のあわせて3基のエンジンでオイル漏れが見つかり、エアバスA380の運航を現在でも停止しています。
※カンタス航空と同じ「トレント900」エンジンを搭載したエアバスA380を運航しているシンガポール航空、ルフトハンザ ドイツ航空でもすべての機体を点検し、運航を再開しています。ただし11月10日に、シンガポール航空では同社の保有する11機のうち3機についてエンジンを予防的措置のため交換すると発表しました。この3機には搭載しているエンジン計3基に油の汚れが付着しているのが見つかったため。ちなみにエールフランス航空、エミレーツ航空はエンジンアライアンス製のエンジン「GP7200」を使用しているので、通常通りの運航を継続しています。
このエンジン破損事故で原因を調査していたロールス・ロイス社では、エンジンのタービン部分の部品に不具合があり油に着火し火災が起きたのが原因だったと発表しました。問題部分の油漏れに引火した火災によって、ジェットエンジンのタービン翼を固定する中圧タービンディスクが外れたと説明しています。不具合は「トレント900」独自のもので他のエンジンには問題がないことも改めて強調しています。
※この他のエンジンには問題がないということをロールス・ロイス社が強調しているのは、今年の8月2日に「通常とは異なる状態でエンジンを動かす開発プログラム」中に発生した「トレント1000」(ボーイング787ドリームライナーに搭載予定のエンジン)の爆発とは無関係であることを示したいためだと思われます。
ロールス・ロイス社のローズ社長は、エンジン検査はまだ終わったわけではないとしながらも、「この部品が原因で油漏れによる火災が発生した」とし、部品を交換することで「エアバスA380を通常通り運航できるようになる」と強調しました。
このトラブルの波紋は大きく、エアバス社では、エアバスA380の来年予定されている納入が遅れる可能性があることを明らかにしていますし、カンタス航空でも未だに運航停止中であり、運航スケジュールや予備機の調整(ブリティッシュ・エアウェイズから航空機を借りること明らかにしています)などで、かなりの損失を被ると見られます。今後もエンジン検査の継続と問題解決には全力を尽くしてもらいたいものです。


コメント (2)
エンジン換装における機数中の該当エンジン数が
間違っています。
どこのHPを翻訳したのかは知り得ませんが・・・
分かり易く 簡潔に伝えたいのは判りますが
情報は正確を基とした方が良いと思います
と、コメントをさせて頂きましたが
トレントシリーズに関しては
10年以上前から構造上の不備を感じていました
三軸は諸刃の剣です。
通常サイクルの点検では間に合いません
摩耗が前提ですので
とにかく 人命が失われなかった事が
せめてもの救いでした。
としか いえませんよね 今回は・・・
投稿者: Boeing | 2010年11月17日 23:57
日時: 2010年11月17日 23:57
Boeingさま
コメントありがとうございます。
ご返信が遅くなり申し訳ありません。
いただいたご指摘ですが、どの部分に関するものでしょうか?
ご存知だと思いますが、エアバス、ロールスロイスとも具体的なエンジン換装数に関してはコメントを発表していません。
今回のエンジン換装数などは各国メディアの情報を基にせざるを得ず、正確な情報をお伝えできなかったかもしれません。
この記事を掲載した後に出てきたニュース情報としては、カンタスとシンガポール航空が3基、ルフトハンザが1基を交換しているとの情報があります。
また12月2日にオーストラリア航空安全局は、エンジン内部の製造過程に欠陥があった可能性があるとして、ロールスロイス社に安全点検を勧告したと発表しました。
同3日には、中間報告を発表し、エンジン内にあるオイル管の接続部分の欠陥によるオイル漏れで火災が発生し、エンジンの破損につながった可能性が高いとの見方を示しました。
同局では、非常に深刻な結果だとの受け止めを示すとともに、今後、1年以内に最終的な報告を出す方針を明らかにしました。
情報をお伝えする側として、「正確な情報を」ということを念頭において記事は作成しているつもりですが、私の情報収集に穴があったり、誤認がある場合もあるかと思います。
今後も誤り等あればぜひともご指摘いただければと思います。
今回はご指摘本当にありがとうございます。
今後とも本ブログをご愛読いただければと思います。
投稿者: 近井コアラ | 2010年12月07日 04:22
日時: 2010年12月07日 04:22