ホンダは2010年12月22日、同社子会社の「ホンダ エアクラフト カンパニー(以下HACI)」が小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」の量産型初号機の初飛行に成功したと発表しました。

初飛行に成功したホンダジェットの量産型初号機(レジ番号:N420HJ)。(Photo/Honda)
量産型初号機(レジ番号:N420HJ)は、米国ノースカロライナ州にあるピードモントトライアッド国際空港から12月20日15時31分(日本時間21日5時31分)に離陸、約50分間飛行し、性能、飛行特性の評価、その他システムの機能試験を行いました。このテストフライトは米連邦航空局(FAA)の型式認定取得に向けたもので、ホンダジェットは今後も必要な認定飛行や地上試験を行う予定です。

エンジンが主翼上面に配置されている独特のフォルムで空港でも目立つこと間違いなし。エンジンもホンダの自社開発というのも現在の旅客機開発ではユニークなところです。今後はセールス面でももっと伸ばしていってほしいものです。日本の空にデビューするのが楽しみです。(Photo/Honda)
本ブログでも何回かホンダジェットに関してはご紹介してきましたが、簡単に再度ご紹介しましょう。ホンダジェットは、ホンダが1986年から着手してきたプロジェクトの一環で、2003年12月には小型ビジネスジェット実験機として試作機(レジ番号:N420HA)が完成し、フライトに成功しました(エンジンはHF118を搭載)。
革新的なのは、エンジンまですべてホンダの自社開発という点です。独自開発のターボファンエンジンHF118から、GE社と業務提携を行い合弁会社のもとでHF120を開発し、今回の量産型初号機はこのHF120エンジンが搭載され、今後量産機にはHF120エンジンが搭載される予定となっています。
外観も特徴的で、エンジンを主翼上面に配置される独特のスタイルで、これは特許も取得した新開発のOTWEM(Over The Wing Engine Mount)で、高速飛行時の造波抵抗の低減に効果があります。主翼も独自開発で、自然層流翼設計を採用し、空気抵抗を大幅に低減させることに成功しています。さらに胴体の先端形状に工夫し、ここでも自然層流を実現していますので、随所に空気抵抗低減の技術が盛り込まれた機体となっています。
価格は1機あたり2008年当時のリリースでは390万米ドルとなっていて、北米企業から100機以上の受注を果たしています(一部報道では現行では450万米ドルとするものもあります)。
ホンダジェットの開発責任者であり、開発・製造・販売を担当するHACIの藤野社長は「今回の量産型初号機の初飛行の成功は、HondaJetの開発、認定における重要なマイルストーンであり、FAAの認定基準を満たす機体の開発が順調に進んでいることを実証しました。性能や飛行特性が非常に優れていることを確認し、Hondaの技術力の高さを実証できたことを大変うれしく思います。今までにない最先端の小型ビジネスジェット機をお客様にお届けできるよう、引き続き努力していきます」と語っています。
今後のタイムスケジュールとしては、2012年のFAAと欧州航空安全局(EASA)の型式認定取得を目指します。顧客への機体引渡しは2012年後半を予定しているとのこと。それにともない、HACI本社(ノースカロライナ州グリーンズボロ市)隣接地に建設中の機体生産工場は2011年前半に完成予定で、2012年の量産開始に向けて準備を進めています。
ホンダの創業者である本田宗一郎氏は、1962年に発行されたホンダ社報にて軽飛行機の開発を宣言していることや、ホンダのオートバイのエンブレムでもあるウィングマークは「いつか空へ羽ばたきたい」という願いを込められたものだということなど、空への憧れをもっていました。いよいよその憧れは、現実となりつつあります。今後のホンダジェットの開発が順調に進むことを見守っていきたいと思います。

