2006年05月03日

今年の連休はゆっくり読書派の方へ ヒコーキ本のススメ

今年のゴールデン・ウイークは曜日もよく9連休という大型連休となっている方もいるのでは? 海外へ旅をされる方も多いようで、成田空港の出発旅客数の予測が約36万3600人、関西国際空港の出発旅客数の予測が16万3800人と、成田は過去最高、関空はテロ以降最高の出国数と予測されています。

しか~し、お休みできる人がいる一方でお休みできない人もいるわけです。暦通りのスケジュールですと今日(5月3日)からお休みという方もいれば、まったくお休みできない人もいるわけです。また、混雑するから家でゆっくりするという人もいるでしょう。

そんな方々へ、旅をしなくても間近でヒコーキを見られなくてもヒコーキ旅をした気分になれ、さらにクスっと笑える本をご紹介します。

●『オールフライトニッポン』
柳家三太楼・柳家三之助 著/風涛社
ヒコーキファンの噺家2人による、「噺のプロと翼のプロがヒコーキのことを本音でしゃべくり倒す」対談集です。飛行機が好きな方にも、そうでない方にも、わかりやすく旅客機のことを知ってもらおうという気持ちがいっぱいあふれている本です。お二方とも本当に飛行機が好きなんだな~とわかります。対談の相手となるのは現役パイロットや整備士ですが、私生活からフライト中のコクピットの会話の話まで、普段めったに垣間見られないツッコんだ話が満載です。本文中に出てくる航空用語には詳細な脚注もあり、安心して読めます。、飛行機を取り巻く人々の気持ちがよくわかる本です。

●『伝説のスッチー』
keiko 著/SB文庫(ソフトバンク クリエイティブ)
かつて客室乗務員だった著者』のkeikoさんが空の上で体験した抱腹絶倒な数々の逸話が、3コマ漫画とエッセーで紹介されています。伝説の先輩スッチーの話、お客様とのウィットに富んだやり取りなど、相当笑えます。文庫化にあたり、単行本『伝説のスッチー+α』に8ページを加筆したものです。スッチーってこんなに楽しい人が多いの?と思えてしまうくらい、爆笑エピソード満載』です。



●『飛行機ノススメ』』
東京写楽 著/文芸社
著者は『全日空の現役パイロット』。パイロットの勤務体制やお給料の話、フライトバックの中身、航空管制といった現役パイロットならではの話から、割引運賃早見表まで多彩な話題が詰まっています。平易な文体かつイラストも満載、また構成も話題ごとに4~6ページ程度と短くコンパクトにまとめられていて、とても読みやすい本です。飛行機の素晴らしさはもちろん、不思議や疑問、見えにくいパイロットのお仕事事情まで垣間見られるエッセイ集』です。







2006年02月16日

安全で耐久性に優れた、高性能なヒコーキを設計する航空機設計士


『フライトプラン』
ストーリー:最新鋭の旅客機の機内で、女性航空機設計士カイルの6歳の娘が忽然と姿を消した。最愛の娘を必死で捜索するカイル……。だが、乗務員にも乗客にも、娘を見たという者は一人もいない。それだけではない。彼女の痕跡は完全に消し去られ、荷物や航空券はおおろか、搭乗記録すら存在しないのだ。見えざる邪悪な陰謀に立ち向かうため、カイルのたった一人の戦いは始まる。高度1万メートルの密室は今、史上最悪の戦場と化した!
出演:ジョディ・フォスター、ショーン・ビーン、ピーター・サースガード、エリカ・クリステンセン
監督:ロベルト・シュヴェンケ
(C)TOUCHSTONE PICTURES
全国大ヒット公開中

このblogをお読みの方ならすでにご覧になった方も多いかと思いますが、今回はジョディ・フォスター主演の最新作『フライトプラン』(公開中)を紹介しながら、ヒコーキの設計についてお話しましょう。

映画は「最新鋭のジェット旅客機の機内で、その機体を設計した女性航空機設計士カイルの6歳の娘が忽然と姿を消した」ところから始まります。映画の大半は機内でのミステリアスな出来事を描き、機内の隅々までを全てリアルに映し出していきます。我々ヒコーキファン、旅行ファンの見所といえば、ハリウッド映画史上最大級の規模で制作されたという巨大旅客機のセットです。未来的な内装ですが、ラウンジやバーはどこか60年代を彷彿とさせるレトロなデザイン(1970年代の就航当初のジャンボの内装っぽいですね)となっています。

映画オフィシャルページでは、機体の詳細を知ることができる項目が設けられていて、わかりやすく解説されています。それでは映画に登場するアルト航空のE-474型機の概要を紹介しましょう。

●アルト航空E-474機
サイズ:奥行き240フィート、長さ300フィート
収容可能人数:オール2階建てで580人(オールエコノミーで854人)
上層階:コックピット、ファーストクラス席、ファーストクラス・ラウンジ、厨房、エコノミークラス客室(2室)
下層階:ビジネスクラス客室、厨房(2つ)、らせん階段を含むメイン客室

オール2階建てというと、エアバスA380を思い出しますね。共用スペースのラウンジやバーがあるというところもA380の提案内装を思い起こさせます。E-474機はかなり乗ってみたいヒコーキですね。

話を現実に戻しましょう。最近の旅客機の設計では、フェイル・セーフ構造(Fail Safe)を適用した設計、さらによりそれを進めた損傷許容設計が採用されています。フェイル・セーフ構造とは、機体の1つの部分が破壊しても、その破壊が機体構造全体に大きな影響を与えることなく安全に飛行を継続できるようにしたものです。フェイル・セーフ構造には以下の4つの考え方が反映されています。

■リダンダント構造(redundant structure):複数の構造部材で構成し、個々の部材が荷重を分担し、1つの部材が破壊しても他の部材でその部分の荷重を分担できるようにする構造。

■二重構造(double structure):1つの大きな部材の代わりに2個以上の小さな部材を結合して、同等もしくはそれ以上の強度を持たせる構造。たとえば、クラック(ひび割れ)が発生したとしても部材全体に広がらず、その部分の部材だけで食い止められるようにしたもの。

■バックアップ構造(back-up structure):ある部材が壊れても予備的な部材がそれに代わるようにする構造。

■ロード・ドロッピング構造(load dropping structure):構造のどこかが壊れると、その荷重がかからないようにする構造。

また損傷許容設計は、たとえば構造部材や部品に傷は発生しても、部材は部品の耐用性を損なわずに、点検期間内に致命的なものに成長しないようにする設計のことをいいます。こうした機体設計により、よい整備を続けたならば旅客機の寿命は、機体構造の設計目標よりも長く安全に飛ぶことができるようになっています。その大きな要因は、フェイル・セーフ構造を取り入れた構造設計の進歩と優れた整備技術によるものなのです。

今回は映画『フライトプラン』の主人公が航空機設計士という設定から、機体設計についてお話してみました。高度1万メートルの機体の中で繰り広げられるサスペンス・アクションですが、ヒコーキファン、旅行ファンならではの楽しみ方がたくさんある映画です。ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

●フライトプランオフィシャルホームページ
http://www.movies.co.jp/flight-p/


写真は風洞実験を行っているもの。現在では最新のコンピュータ流体解析(CFD)ツールにより、従来と比較しはるかに信頼度の高い仮想実験が可能なため、かつてのように何度も風洞テストを行う必要はなくなっています。実現の見込みのあるデザインに限定し風洞テストを行うようになっています。風洞模型には何百万もの圧力測定用センサーが埋め込まれており、これによって機体の飛行荷重が算出され、空力性能に関する有益な診断が行われます。(Photo/Boeing)

2005年12月07日

空港に16年間住み続けた男 「ターミナルマン」

10月12日に更新した「U2のジャケットに使われたシャルル・ド・ゴール空港」の最後で“ちなみにシャルル・ド・ゴール空港は、某映画のモデルになった人物が住んでいた空港でもあるのですが(トム・ハンクスが主演した映画といえばわかりますよね)、その話はまたの機会にお話しましょう。”と予告したお話を今回はしましょう。

ターミナル DTSスペシャル・エディション(2枚組)
発売・販売 角川エンタテインメント
クーデターで事実上祖国が消滅し、パスポートは無効。ターミナルから一歩も動けなくなってしまった主人公が果たさねばならない“約束”とは……。スティーブン・スピルバーグ監督、名優トム・ハンクスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズの豪華共演で贈る人生に一度の感動ドラマ。

このトム・ハンクス主演の映画とは皆さんおわかりかと思いますが「ターミナル」です。スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演のこの映画は、言葉が通じない空港で足止めされた男が、ある約束を果たすために空港ターミナルで生活を始め、周囲の人々と交流を深めていくといった、空港で起こる出会いと別れを描いた感動作。映画ではニューヨークのジョン・F・ケネディ空港(空港はオールセットだそうです。すごい!)が舞台となっていますが、実はトム・ハンクスが演じたビクターという男性のモデルになった男性が住んでいるのはパリのシャルル・ド・ゴール空港なのです。

そのモデルとはシャルル・ド・ゴール空港第一ターミナルに16年間住んでいる“サー・アルフレッド・メヘラン”のことです。イラン近郊で生まれた彼が、なぜ祖国を捨て“ターミナルマン”となってしまったのか、そんな彼の半生を綴った本が「ターミナルマン-空港に16年間住みついた男」として発売されています。

1988年8月8日、サー・アルフレッドはロンドン行きの飛行機に乗る予定でした。しかし、彼はそのフライトに乗ることができず、閉店したバイバイ・バーから譲り受けた赤いベンチで眠り、毎日マクドナルドで食事をし、ファイルボックスに入れた雑誌と自らが綴った長い日記に囲まれて、彼は今日も座っているのです。

彼自身の出生の秘密、身分証明書をめぐるさまざまな出来事、さらには、イランにおける独裁政治、イスラム教の厳格さ、中東の歴史に深くかかわってきたアメリカの本当の顔など、映画では語られることのなかった真実が、本書には綴られています。

映画はハートウォーミングでラストはハッピーエンドが待っていますが、事実は小説(映画)より奇なりとはまさにこのことをいうのでしょう。

この話を読むと空港はドラマティックな場だな~と思います。入国審査を通るまで、空港は国と国をつなぐ不思議な無国籍な空間なんですね。原作と映画、どちらも素晴らしいのでご覧になることをおすすめします!


ターミナルマン-空港に16年間住みついた男
サー・アルフレッド・メヘラン、アンドリュー・ドンキン(著)、最所篤子(訳)/バジリコ
シャルル・ド・ゴール空港第一ターミナルに暮らす男、サー・アルフレッド。彼は閉店したバイバイ・バーから譲り受けた赤いベンチで眠り、毎日マクドナルドで食事をする。ファイルボックスに入れた雑誌と自らが綴った長い日記に囲まれて、彼は今日も座っている。映画「ターミナル」のモデルとなったベストセラーノンフィクション。


近井コアラ

69(ロック)な生まれ(69年生まれ)がちょっと自慢な音楽と旅をこよなく愛する三十路。旧ソ連を皮切りに旅した国は30数カ国。旅は食にこだわりたい食いしん坊だが、高級かどうかは問わない雑食。少しでも旅のスパイスになるような情報を発信していきたいと思ってます!!

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