バリではスーパーマーケットより、やっぱりパサール

 私がここに住むようになった8年前には、村にはスーパーマーケットなんて便利なものはありませんでした。これがどういうことを意味するか、わかりますか?

 たとえば「今日は鶏の唐揚げをつくろう」と思ったとします。そしたら少なくとも朝の8時までには市場の肉売り場へいかなければなりません。で、市場の肉売り場へ行ったら、カットされた「唐揚げ用」の鶏肉がパックにいれて並べられている…わけがなくて、そこには羽をむしられて横たわる一羽まるごとの鶏が並んでいるのです。それをおもむろに指さして「おばちゃん、これ、唐揚げ用に適当にぶった切ってくれる?」と言います。ほぼ原型をとどめた鶏のぶつ切りを持ち帰り、こわごわまだくっついている羽の残骸だのなんだのをきれいに洗って…と料理までの道のりは遠く、野菜を買っても泥がついているし、虫もついています。本当に下ごしらえが大変なのです。


 それに加えて、野菜にしろ肉にしろ生鮮食品を買うのなら、朝早く市場に行かなければいいものは手に入りません。肉売り場は太陽が昇る午前9時頃には店じまいしてしまいますし、野菜売り場もお昼には終わってしまいます。夕方まで営業しているのは観光客の買い物をあてにした果物屋や、みやげ物売り場のおばちゃんたちくらい。


 今から5年ほど前でしょうか。村はずれに大きなスーパーマーケットができて、そこは朝の8時半から夜の10時まで営業していて、お肉もお魚も冷蔵庫にしっかり並んでいて、野菜だって果物だってひとつづつ量り売りしてくれて、仕事が終わったあとに行っても普通にお買い物ができるようになったあの時は、ああ、なんて便利になったの!!といたく感激したのでした。けど村の人たちは、こんなに便利なスーパーマーケットができた今でも、やっぱり早起きして、パサールへ行く人が多いです。スーパーマーケットとパサール、どちらもそれぞれの役割があって、バリではしっかり共存しています。かく言う私も、便利なスーパーも勿論利用するけれど、「これだけはパサールでなくっちゃあ」って買い物もあるんです。

 次回も、この、バリのパサールについてお伝えいたします。


めぐみ
ダンサー、舞台制作の仕事を経て、渡バリ。ホテル勤務のかたわらバリの素材を使った日本家庭料理とバリのおいしい地酒を飲ませる小さなワルン(食堂)を経営。


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コメント (4)

saru:

なかなか読み応えのある内容で関心しました。
しあわせですか====ダー。

めぐみ:

saruさん
ありがとうございます。
しあわせですか、って?
ほほほ、しあわせですことよ。

かなこ:

カラアゲ一つでもそんなに大変だったとは知りませんでした。
続きを早く読みたいです。

めぐみ:

かなこさん
いやいやからあげのみならず野菜についた虫だの泥だのも一苦労。
それに今はスーパーに行けば骨をはずした胸肉とかも売っている…
でもやっぱりパサールのお肉や野菜は新鮮でおいしいんですよね。
これからもご愛読よろしくお願いいたします。

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