おいしいバリ パッ セダン


ウブ殿南のはずれ、プンゴセカン。アルマ美術館のすぐ近くに位置する「パッ セダン」を、今日はご紹介しましょう。

「パッ セダン」のパッというのはインドネシア語で「Bapak」を省略したもので、「お父さん」「おじさん」といったように、目上の男性に対する尊称を表します。「パッ セダン」というのは、ですから「セダンおじさん」といったような意味。ちなみにずっと以前ご紹介したバビグリン(豚の丸焼き)で有名なワルンは「イブ オカ」このイブというのは「Ibu」こちらはインドネシア語でお母さん、おばさん。目上の女性に対する尊称です。なので「イブオカ」というのは「オカおばさん」という意味なのですね。

さて、セダンおじさんのこのお店はナシアヤム鶏肉のナシチャンプルが名物です。

朝早く、7時過ぎにはもう店は開店しています。食事に来た人、お持ち帰りを注文する人で朝から大賑わい。

鶏肉を香辛料と一緒に蒸しあげた鶏の蒸し焼き、野菜のあえもの、煮卵にサンバル、それにつくねのサテがこちらの定番。朝早い時間に行けば、つくねだんごのスープもついています。

こちらのお店でなんといっても人気NO.1なのは、このつくねのサテ。サテというのはインドネシアのピーナツソースの串焼き、もしくは焼き鳥として有名ですが、バリのサテは、素材の肉や魚を細かく細かくたたいてミンチにし、それに香辛料を一緒に練りこんで、串につけて焼く、ただの焼き鳥や串焼きよりもずっとずっと手がかかるものです。儀式やお祝い事があるとバリ人家庭では必ずこのサテを作ります。香辛料とやわらかいミンチのお肉が渾然一体となった複雑でスパイシーな味わい。一度食べたらやみつきになることうけあい。

こんなおいしいサテがついてくるセダンおじさんのナシチャンプル。もうひとつ特筆すべきことは、ここ、セダンおじさんの味付けはあんまり唐辛子を使っていないようなのです。慣れないは舌先が痺れて味覚がなくなってしまう唐辛子ではなくて、セダンおじさんが辛さを出すために使っているのは薫り高い胡椒。ぴりっとした胡椒風味の野菜のあえものなどは、われわれ日本人にもかなりなじみやすい味です。

セダンおじさんの店はアルマ美術館のエントランスを出て右方向50メートルほどいって右側。プンゴセカンの大きなガソリンスタンドのお隣です。おかずがなくなり次第おしまいなのは言うまでもありませんが時々、サテや煮卵が先になくなってしまうこともあります。そうなると残ったおかずだけのナシチャンプルとなりますので、そんなことにならないように、遅くとも、お昼の12時くらいまでには行かれることをおすすめいたします。


ワルンの楽しみ方いろいろ

  

今まで色々な、バリのワルンについてご紹介してきましたが、ワルン、と一言で言っていますが実はワルンにも色々な種類があります。ワルン=食事処、というわけではありません。

もともとワルンというのは、飲み物やタバコ、雑貨などを売る、バリ庶民御用達のよろずやのようなもの。今みたいにスーパーマーケットやコンビニがあちこちになかった時代、町や村の中心の市場まで行くのは一苦労だった地域の人たちにとって、ワルンは必要不可欠のものでした。石鹸1個、洗剤やシャンプー一回分の小袋、インスタントラーメンや卵1個。ワルンへ行けばたいていのものは手に入りました。昔はタバコも1本売りで売っていました。1箱買うだけのお金を持っていないおじいちゃんも、野良仕事のあとワルンの店先に座って、1本のタバコと1杯のコーヒーで、つかの間の息抜きをしていたのですね。そこで売っているインスタントラーメンを「おばちゃん、ちょっとこれ作ってよ」「はいよ、ちょっと待ってな、卵は入れるかい?」なんて感じで簡単な食事ができたりする場合もありますし、料理自慢のお母ちゃんのお手製のサテや煮卵を、店先に並べて簡単な食事ができるようにしていたところもありました。ワルンをやっているのが評判の料理上手だったりした場合、人々が毎日おしかけ、しまいによろずやはどこかへ行ってしまってお食事処のワルンとなったりするわけです。もちろん食事類を提供していない、純粋に雑貨屋としてだけのワルンというものもあります

私がはじめてバリ料理を食べたのもそんなワルンのうちのひとつでした。レストランの料理のように、見た目きれいな色ではない茶色っぽいおかずばっかりのナシチャンプルを見て、正直最初はたじろいだのですが、一口つくねのサテを食べてそんな気持ちは吹っ飛んでしまいました。なんておいしい!それからとりこになりました。ワルンを見ればなにかおいしいものがないか、覗いてみないと気がすまなくなっていたあの頃。

さて、海沿いの村へ行くとワルンの店先でよくこんなものを見かけます。

  

これは「ペペス」。魚のとれる海沿いの村では、たいていのワルンでこれを作って売っています。
暑いバリでは、魚も肉も傷みがとても早いもの。そこでこの魚や肉に腐敗を防ぐ目的の香辛料をたっぷりとミックスし、それをバナナの葉に包んで蒸し焼きにしたもの、それが「ペペス」です。こうすることにより、暑い気候でも、肉や魚の腐敗を防ぎ、持ちをよくすることができるのです。それにたっぷりの香辛料が食欲をそそり、ご飯のおかずにはぴったり。

バリの田舎の村を歩けば必ずあるワルン。次回バリ旅行の際には、けしてガイドブックには載っていないだろうけど、こんな隠れたおいしい味を、あなたも探してみませんか?


めぐみ
96年より渡バリ。バリ人画家と結婚し三人の子供と旦那の家族総勢13人で生活。ホテル勤務のかたわらウブドにてバリの素材を使った日本家庭料理とバリのおいしい地酒を飲ませる小さなワルン(食堂)を経営。


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.tabista.jp/cgi-bin/Mt/mt-tb.cgi/1673

コメント (2)

mao:

めぐみさん、こんにちは。
覚えておいででしょうか。8月にソフィアにお邪魔しましたmaoでございます。
アラックレモンかかえてのお喋り、楽しゅうございました(笑)

パッ・セダン、ここ何年かで小綺麗になりましたよね。
確か以前は看板も無くて、入口左右のチェックのテーブルクロスを目安に行ってたはず。
つくねと煮卵の味は、きっと変わってませんね。
残念ながらつくねスープは未食です。朝早く行かないとダメなのか。
煮卵食べたいな〜。パッ・セダン、ナシアヤム・クデワタ〜ン!

めぐみ:

maoさん
こんにちは。アラックレモンがますますおいしいソフィアです。
とそれはさておき、パッセダン。
小奇麗になった?あれで小綺麗?とはちょっと苦しいものもありますが。
そうですね、オレンジ色の壁が、わかりやすいことは確かかも。
スープはね、朝早くしかありませんね。
それもいつもあるってわけじゃないんですね。
なんか、ある時は、ある。って感じです。ま、そんなモンですね。
煮卵おいしいよね。
今度は、煮卵とアラックレモン?

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

2007年09月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

アーカイブ

最近のコメント

RSSを取得