ニュピ前日の夜には、オゴオゴが行われます。
オゴオゴとは、悪霊をモチーフに作った張子オゴオゴを担いで村を男たちが練り歩く行列です。
このオゴオゴのためには、村単位で何週間も前から、張子の悪霊の人形を作る作業が始まります。創意工夫をつくして作られるオゴオゴは、迫力いっぱい。ニュピの前に夜道を歩いていると、作りかけのオゴオゴが突然ぬっと暗闇の中に立っているのに出会うのは、かなり不気味なものがありますのでどうぞご用心。


オゴオゴの行列に先立って、ニュピ前日の夕方には各家庭でも、悪霊を追い出すちょっとした儀式があります。火をつけた薪を持って家のあちこちに煙を撒きます。そのあとを鍋や鍋の蓋を持ってカンカンカンとにぎやかな音を出して家中を回るのです。煙にいぶられた悪霊を大きな音で脅かして、出て行ってもらう、という、ちょっと楽しい儀式? 夕方になるとあちこちの家々からこのにぎやかな音が聞こえてきます。

日が暮れるといよいよオゴオゴの行列がスタートします。歩行者天国となった道路は見物の人たちでいっぱい。そこへガムラン隊に先導されたオゴオゴがやってきます。巨大な張子のオゴオゴを村の男たちが担ぎ、ガムランのリズムに合わせ、御輿を回転させたりゆすったり。あちこちで爆竹が炸裂し、汗と喚声が飛び交う、熱い熱いパフォーマンスが繰り広げられます。


さて、明けてニュピ当日。この日バリ島はうってかわって静けさに包まれます。この日は一日中外出が禁止され、火を使うことも許されません。観光客とて例外ではなく、この日バリ島へは飛行機の発着もありません。人々は一日家の中で心静かに新年を迎えるのです。ニュピの晩はあかりをつけることも許されませんので、島全体がまっくらな闇となります。この日、バリ島は世界中のどことも違う、バリ島だけの特別な時間の流れの中にあります。
にぎやかに盛り上がるオゴオゴと、静粛にすぎていくニュピ。
バリは新しい年を迎えました。
めぐみ
96年より渡バリ。バリ人画家と結婚し三人の子供と旦那の家族総勢13人で生活。ホテル勤務のかたわらウブドにてバリの素材を使った日本家庭料理とバリのおいしい地酒を飲ませる小さなワルン(食堂)を経営。
