去る9月7日、ウブドで行われたお葬式の様子をお伝えいたします。バリ島のヒンドゥー教では、人の一生は儀礼とともにはじまり儀礼とともに終わる、と言われます。そして数ある儀礼の中でも人間にとって最大のクライマックスとも言えるのが、この火葬儀礼。魂の輪廻転生を信じるバリ島の人たちにとって、葬式というのは人生の中でも最大の一大イベントなのです。



葬儀には大変なお金がかかるので、一般の人たちは、家族に死人がでてもすぐに火葬を行うことができない場合も多くあります。そんな時はとりあえず墓地に仮埋葬し、お金をつくってから、遺体を掘り起こして儀礼を行うことも。村では単独で火葬を行えない人々のために何年かに一度村の合同火葬を行い、費用を折半します。
今回は、ウブドのトゥブサヨという地区の合同火葬にあたっていましたが、8月にウブド王族のおひとりが亡くなられたので、この合同火葬に合わせ盛大な王家の火葬式も一緒に行われることになりました。階級の高い人たちが亡くなった場合は、なるべくすぐに火葬をすることが望ましいとされているのです。
準備は8月からはじまりました。



火葬に使う、遺体を納める牛のはりぼて、遺体を運ぶ巨大なタワーなどが、ウブドの王宮で村の人たちの手によって作られていきました。ウブド王宮には知らせを聞いて、バリ中、インドネシア中、いや世界中から花輪が続々と届けられてきました。そして9月7日、いよいよ葬式当日。

ウブド王宮の前で高僧による祈りが行われます。この祈りが終わるといよいよ巨大な塔と、はりぼてが、火葬を行うお寺まで行列するのですが、そのための準備も大変。

ウブド大通りは、もちろん通行止め。巨大なタワーが電線に引っかかるといけないので、電線はあらかじめ切断しておきます。当然ウブドはこの日は朝から停電。


道端の木も、道路に飛び出している枝はすべて伐採。

警官もいます。

軍隊もいます。
そんな中、とうとうウブド王族の葬儀の行列がはじまりました。


はりぼてと、巨大な塔がウブド王宮を出発し、火葬会場となるトゥブサヤのお寺への行列を開始したのは午後1時を少し回った頃でした。最高に暑い時間です。


ウブド大通りは黒山の人だかり、などという生易しいものではなく。どこからこれだけ集まったのかというほどの大混雑ぶり。


物売りもいます。


屋台も出ています。

踊りもあります。

高見の見物。

雨は降ってません。

火葬の前からすっかりヒートアップしたところを、放水車が水をまいて通ります。


トゥブサヤのお寺で、高い塔のてっぺんから遺体をとりだして、牛のはりぼてに移し替え、はりぼてごと火葬にします。
バリ島の葬式は、魂が天界に帰る晴れがましい儀式。死者を悼む気持ちは同じなれど、日本のように厳かに、しめやかに、ひっそりと行われるものではなく、盛大に、賑々しく、華やかに、行われます。バリ島では、人の一生は、まさにこの火葬儀礼によってクライマックスを迎える、と言ってもいいかもしれません。これはもう、お祭りの光景とまったく同じです。
みなさんももしバリ島を訪れている最中、どこかで火葬儀礼を見かけたら、参加してみてはいかがでしょう。「知らない人の葬式に行くなんて失礼にあたらないか」なんて考えは、ここではまったく無用です。
炎天下の中、儀式は延々と続きます。儀式に対するバリ島の人たちのエネルギーに、まさしく圧倒される、バリ島の火葬儀礼です。
めぐみ
96年より渡バリ。バリ人画家と結婚し三人の子供と旦那の家族総勢13人で生活。ホテル勤務のかたわらウブドにてバリの素材を使った日本家庭料理とバリのおいしい地酒を飲ませる小さなワルン(食堂)を経営。
