
イタリアの猫さまに道案内を頼んで歩く「歴史と見どころ」第2段、今日はまずリグーリアにある避暑地、チンクエテッレのひとつであるリオマジョーレから始まります。ユネスコの世界遺産にも登録されているチンクエテッレをご存知の方も多いかと思います。チンクエテッレはひとつの町の名前ではなく直訳すれば「5つの大地」という意味です。この名前を知っている方でもその5つの村の名前をガイドブックを見ないで全部挙げられる方はかなりのイタリア通か旅のベテランと言えるでしょう。チンクエテッレはジェノヴァから地中海沿岸を南下していくと、まずモンテロッソ・アル・マーレ、そしてヴェルナッツァ、コルニリア、マナローラ、リオマジョーレと続く五つの村とその一帯をさします。ブーツのように細長いイタリア半島を南部、中部、北部と3つに分けるとチンクエッテッレのあるリグーリア地方は北部に入ってしまうのですが、地中海に面した温暖な土地ですから、どちらかと言えば南イタリアのようなイメージがあります。しかし、それは夏のバカンスのシーズンだけでしょうね。どの漁村も19世紀の終わりに鉄道が通るまで船だけが交通手段で、自動車でそれぞれの村に行くことが出来るようになったのも20世紀に入ってだいぶ経ってからでした。まあ、そういう辺鄙なところだからこそ美しい自然と素朴な漁村の生活や文化が生き残れたわけです。
モンテロッソの教会にはイタリアの偉大な詩人、モンターレが眠っていますし、トスカーナのサンジミニャーノの銘酒、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノの葡萄は11世紀頃にサルデーニャのヴェルメンティーノ種がヴェルナッツァに入りそこからサンジミニャーノに着いたのでヴェルナッツァが訛ってヴェルナッチャと呼ばれるようになったという説があります。ワインと言えば、チンクエテッレを代表するデザート・ワイン、シャケットラがあります。また、丘の上にあるコルニリアではローマ時代にはすでに優秀なワインが造られポンペイにも輸出されていた記録があります。東リヴィエラとも呼ばれるこの海岸線には夏になるとイタリアの内外から避暑客がおしよせヴァカンスを楽しみます。1週間から2週間くらい長期に滞在して、こうして海岸にテーブルを置き、のんびりとカード遊びを楽しむなど、時間をゆったりと使うのが欧米流です。旅先ではどちらかというと買い物や食べ物ばかりに時間を費やす日本人もぜひ見習いたい”ほんとうの優雅さ”ですね。

