居酒屋「アイ・プロメッシ・スポージ」


 19世紀の著名なイタリアの作家アレッサンドロ・マンゾーニの長編小説「いいなずけ」という名作がありました。イタリア語では"I promessi sposi"、そしてのこのヴェネツィアの居酒屋の名前はこの小説の題名をヒントにしたというのですが、ちょうどこの店をふたりの共同経営者の若者が始めた頃、どちらも「いいなずけ」の彼女ができたばかりで、この小説の名前もヒントになって生まれたそうです。店の壁には輪になったロープが掛かっています。そして、その下にはヴェネツィア方言で、El xe per i disperai...ghe lo demo gratis sora al vin, ma fin'ora non lo g'ha mai usa nisun. Co i vien qua dentro ghe pasa tutte le malinconie"と書いてあります。簡単に訳せば「絶望せしものたちよ。ここに来たならばもうこんなロープは必要ないさ。ここでワインを楽しめばいっさいの憂いも消えてなくなる」。
 ヴェネツィアは路地の町です。バーカロの多くはそんな路地の奥にあって、この店もまた入り組んだ路地にあり、この町に慣れていないとなかなか出会えないかもしれません。でも、一度来たら、ヴェネツィアに訪れるたびに何度も来たくなるでしょう。一杯のワインのために。なぜなら、それは人生のどんな憂さも晴らしてくれるから。

Ai Promessi Sposi : Calle dell'Oca n.4367 Cannaregio



 アイ・プロメッシ・スポージに行き始めて10年余りになるが、この間に僕が知っているだけでも店長が4回変わってます。初めの写真のカップルは店の名前にもふさわしい感じでよかったのですが、そう長くはいませんでした。彼らは店の名前のとおりに「いいなずけ」だったのですが。今はこのお腹の大きなマルコがやっていますが、彼がオーナーなのです。昔は彼がこの店をやっていて、他にも店を出したり忙しくなったので人に任せたが結局自分が戻ってきたそうです。
 しかし、昔ながらの店の常連にとってはマルコが戻ってきたのを喜んでいるようで、連日、午前中から賑わっています。それもけっこうなお年のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、昔馴染みとワインを飲みながら、すでに酔っ払っているおじいちゃんもいます。そして、「長生きはするもんだなぁ、こんなに楽しいのだから。ここに来ればいつだって青春さぁ」とゴキゲンです。ヴェネツィアの路地にはいつも変わらぬ昔が生きていますね。

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コメント (2)

takemi:

こんにちは。久々に書き込みします。
このブログをみていると、いつも気分はイタリアなんですよねっ!!
職場でさらに読んでいると、どうして私はここにいるのかしら???と
疑問を感じてしまいます。
また行きたい---イタリア!!特にヴェネッイア。
これからも楽しみにしていますよ♪

バーカロしのちゃん:

takemiさん、ヴェネツィアは一年中いつ行ってもいいです。冬の南イタリアはちょっと寂しい感じだけど、冬べネは素敵です。春は春で運河やラグーナの水も温みヴェネト名物の白アスパラガスとソフトシェルクラブなど美食に満喫。、夏は沖の小さな島でのんびりと釣りに読書三昧、ヘミングウェイ気分。秋は周辺のワイナリー巡りでヴェネツィアに戻って来たらバーカリ巡り。今ごろからヴェネツィアはクリスマスとカーニバルという大きな祭りもあって気分も最高!でも、カーニバルの時期はホテルが高くてねぇ・・・10人くらいまとまれば楽しいツアーを企画しますが、いかが?

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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