ワインと食 「イタリアのワイン樽造り」

 イタリアワインは今はフランスに勝るとも劣らない品質と地位を確立したと言えますが、そのワイン造りにかかせないもののひとつに木樽があります。収穫して潰した葡萄を醗酵させるにはセメントのタンクやステンレスのタンク、ガラスと樹脂を合わせたもの、そしてオークや栗の木を使った樽が使用されます。大きな樽は伝統的にスロベニア産のオークがもっとも使われてきました。そして30年ほど前にフランスでよく使われていたバリックという225リットル容量のオークの樽が流行し始めると、どこの造り手もこれを使うようになり、一頃は樽を飲んでいるのか、葡萄を飲んでいるのか分らなくなるほど樽の香りを効かせたものが横行しました。いまだにその香りをワインの香りだと勘違いしている人が多くいますが、ワインは葡萄の香りが第一です。しかし、適度に上質のオークの樽を使用すると、それはまた葡萄の持っている香りや味わいにより広がりと深みを与えることは確かです。要は、「吾足るを知る」転じて「ワイン樽を知る」、そして樽の使い方は過剰にならずに「足る」を知るべしでしょう。この写真はピエモンテで有名な樽造りのGambaという会社で取材したものです。


木樽は形が仕上がると内面を焼いて、表面の雑菌を殺すとともに、焦がすことによって浮き上がってくる木の油性分を引き出したりして、香りの調整をします。この写真はちょうどバリックを焼いているところですが、コークスが燃えている火鉢のような物を真中に置いて、外枠が出来上がった樽を被せて強火の遠火で焦がすのです。樽の焼き加減はそれぞれのワイナリーから指定があるようですが、概ね30分前後で、ステーキのようにミディアム・ローストだそうです。

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コメント (3)

tera:

 この写真の大きな樽を見ているうちに、樽に住んでいた哲学者がいたことを思い出しました。子供の時に絵本で見た絵ではちょうどこのくらいの樽だったからです。今も、こんな大きな樽が本当につくられているなんて!
 名前を忘れていましたが、調べたところ、ギリシャの哲学者でディオゲネスという人でした。アレクサンダー大王が、「そなたが望むものを何でもやろう。遠慮なく申せ。」と言った時に、「そこをどいてくれ。お前のせいで影になって寒い。」と答えた人です。他にもいろいろと逸話があるようで、興味が広がっています。
 こういう人ばっかりでは、世の中は成り立たないでしょうけれども、ディオゲネスのような人がいたと思うと、なんだかほっとします。
 イタリアにもディオゲネスのことを書いた絵本があるんじゃないかと思いますけど、どうでしょうか?今度イタリアに行ったらいろいろな絵本を買いたいと思います。 Ciao!

樽腹しのちゃん:

ディオゲネス、すごい名前が登場しましたね。ローマのシスティーナ礼拝堂にラファエロが描いた壁画の中に階段で寝転んでいるディオゲネスがいますね。金銭欲、物欲を潔く捨てたそうですが
サン・フランチェスコみたいです。また、ダダイストのような感じもします。辻潤みたいに。貧しきものは幸いなり。何故ならあなたは与えられるであろうから。われわれは本来何も持っていなかったし、何も持たずに天に召されるわけですが、にもかかわらず生きているといろんなものを抱え込みそれらを捨てることが難しくなりますね。僕のお腹にもいらない脂肪が・・・・吾樽を知る!

樽腹しのちゃん、:

おっと、大きなミステーク。ディオゲネスが描かれているのは「システィーナ礼拝堂」じゃなくて、ヴヴァティカン宮殿「ラファエロの間」でした。「システィーナ」はもちろん、ミケランジェロですからね。
ええと、ユリウス2世がラファエロに法王の居室の壁画を依頼したのですが、ディオゲネスが描かれているのは「署名の間」、そこの「アテネの学堂」の中に描かれてます。中央にはプラトンとアリストテレスが歩きながら話していて、その下に寝そべっているのがディオゲネスですね。間違いない!プラトンとアリストテレスが歩いているのは、歩行派などと呼ばれたことを象徴していますが、思考は常に歩きながらのほうがよい発想が生まれると勘がられていたからだそうです。哲学も写真もフットワークですね。

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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