ワインを保存する容器と言えば、ガラス瓶ですが、このガラス製の容器が使われ始めたのは15世紀前後。ガラスの製法は10世紀頃からヴェネツィア人がシリアなどから職人を連れてきて、当時は秘法として独占化して製造していましたが、15世紀ごろになるとフランスやドイツ、オランダにも知られていきます。それまで陶器製の容器に入れられたワインもガラス製容器が使われるようになりましたが、当時はまだ壊れ易く、今でも時折見るキャンティのフィアスコ瓶のように藁で編んだ網に入れたりして保護していました。16世紀から17世紀頃にガラス瓶が普及し始めると、その栓としてコルク製の栓が使われるようになりましたが、コルクの栓はすでにローマ時代には使われていたそうです。
コルクはコルク樫という木の表皮から作られますが、この表皮は樹齢が15年から20年ほどのものでないと十分な厚みになりません。また、最初の1,2回に向いた表皮は固く、コルク栓にはむかないので、建築資材などに使われたりします。コルクの表皮が再生するまでには10年から15年は必要です。今日、コルクの生産地としてはポルトガル、スペイン、イタリアのサルデーニャのほか、北アフリカのチュニジアなどが知られていますが、急速なワイン・ブームの影響で需要が高まり、生産が追いつかないほどです。そこで近年はシリコンなどの合成樹脂製のものが登場したり、お酒やウィスキーのキャップのようなスクリュータイプのものが使われ始めていますが、できれば天然コルクの方が、ワインを飲むときの儀式としてもよいのではないかと思います。
ただ、近年の乱獲でコルクの質が低下し、本来は建築資材程度しか使われないようなものまでワインのコルク栓として使われるので、せっかくのワインを台無しにする問題も少なくありません。一番多い問題はカビ臭で、これはコルク樫が育っている土地の土の中に生息するカビなどの影響が大きいです。そこで地面に近い部分は建築資材などに、そして地面から少なくとも1m以上高い部分のものをワインやオリーブオイルなど食品のコルク栓として使うとリスクはかなり少なくなります。この写真はシチリアのスーゲリ・ブーア(Sugheri Bua)というコルク栓製造会社を取材した時に撮影したものですが、世界的に有名なバルバレスコの生産者であるアンジェロ・ガイヤでさえもシチリア産のコルク栓を知りませんでした。この会社を知ったのはヴェローナで毎年開催されるイタリアワインの博覧会場で出会ったモンテ・オリンポというワイナリーのワインが使っているコルクがとても素晴らしいものだったので、そのワイナリーのオーナーを訪ねたときにブーア一家とも出会いました。

収穫したコルク樫の表皮は2年から3年、天日干しされる。
天日干しされたコルクを沸騰したお湯の中で2時間ほど煮沸し、雑菌やアクなどを取り除きます。その後、柔らかくなったコルクを積み重ね2トンの重石を載せて、3日間をかけて水分を搾ると同時に湾曲を修正します。平らな板状になった表皮を適度な大きさにカットしてから栓の形に切り抜きます。

カットされたコルク表皮から切り抜かれたコルク。未使用の状態では直径が26mm前後あり、それを機械で瞬時に縮めてボトルに詰めます。コルクには漂白したものと、してないナチュラルのもの、コルク製造時に穴が多いものは粉砕され合成樹脂で固められて再生されたものなどがありますが、ナチュラルで長いものほど高級品です。ワインの品質を保つ重要なものなので、ワイン生産者は出来る限り高品質のコルクを使用するべきですね。


コメント (2)
お願いします。
ワイン瓶のコルク栓を20~30個求めたいのですが、日本で売っている所はありますでしょうか?
(庭の葡萄が食べきれないので、ワインを 5本位仕込んでみようと思います)
soeda@kss.biglobe.ne.jp
投稿者: 添田 一寿 | 2006年09月11日 18:55
日時: 2006年09月11日 18:55
添田さま、こんにちは。
ワインの事、いろいろと研究されているご様子。近々にまたゆっくりとお話したいですね。
コルクですが、このブログで紹介したところのものならサンプルで30個くらいはあるのですが、サイズも質も5~6個づつまちまちです。ご自宅で栽培された葡萄をワインにということであれば、すでに使ったコルクでも大丈夫でしょう。ただし、ワインをボトルに充填するときにボトルの洗浄、できれば瞬時に窒素を詰めて栓をするとかのテクニックは必要かと。また、酸化防止のための二酸化硫黄ですが、これはマッチを使用して、掏って燃える瞬間にボトルないで燃焼させると良いかと思います。問題は葡萄の品種と酵母ですね。では、またメールさせて頂きます。
投稿者: 旅人しのちゃん | 2006年09月26日 10:22
日時: 2006年09月26日 10:22