歴史とみどころ ~ナポリ~

イタリアで好きな町はとこかと聞かれたら、それはローマとヴェネツィアのふたつと真っ先に挙げますが、その次はどこかと言えば迷わずナポリです。この町は昔から貧しいと言われてきました。路地は危ない雰囲気たっぷりだし、今でもカメラなんぞ首や肩から下げてあるいていると、親切な人が立ち止まって注意されたりします。聞くところによるとナポリの町中に住んでいる人がスリやひったくりをするのではなく、町の外や近郊に住んでいる人間がそういう犯罪を犯すことが多いとか。かつては僕も財布を掏られたことがあります。また、聞くところによると日本のツアーなどは危険だからとナポリの町は観光バスの中に乗ったままでガイドさんの説明を聞いて終わるとか。それをナポリの友人に話したら、「俺達はライオンや豹じゃないし、ナポリはサファリ・パークなんかじゃないよ。しかし、それも仕方ないな。俺達だって町中を歩くときには油断できないし、貴重品なんか持ち歩かないから。君もカメラにはくれぐれも気をつけてくれ」言っていました。でも、そんなことにびくびくしていたらこの町の本当の良さは分りませんね。だから、とりあえずは貴重品や大金など、何も持たずに歩けばいいのです。
そしてまずはナポリ湾に突き出たこの写真のお城、「卵城」に行きましょう。なぜ「卵城」と呼ばれるのかと言うと、魔術師ウェルギウスがこの城のどこかに卵を隠したが、その卵が壊れたときナポリも崩壊すると予言したからとか、12世紀にノルマン王、ルッジェーロ二世が建設したときに卵型をしていたからという説があります。メルジェッリーナの方から朝日を浴びてシルエットになる姿もなかなかいいですね。城の左側に降りていくとレストランやピッツェリア、バールなどがあり、夜も人で賑わうところなので、ホテルを向かいのサンラ・ルチアやヴェスヴィオ、エクセルシオールにとれば夜の散歩も比較的安全に楽しめるでしょう。だんだんと町の雰囲気に慣れてきたら、サンタ・キアラ教会やスパッカ・ナポリを歩いてみます。
そうして2,3日でもこの町に滞在したら、もうあなたもナポリの虜になるでしょう。ナポリはけっして泥棒の町ではないのです。もっと、素敵な女性はハートを盗まれないように注意して下さい。日本人は被害に遭いやすいそうですから・・・

ナポリの卵城の向かいに建つサンタ・ルチアホテルとナポリ銀行に挟まれた道のすぐ脇にあるバール・オッフィチーナ。
夜になるとブルーのライトがきれいなモダンな内装の店です。向かいの銀行のところにタクシー乗り場があって、よくドライバーが休憩しています。

バール・オッフィチーナのオーナー、マリオ(Mario Auletta)さん。なかなかインテリで数年前の取材でサンタ・ルチアホテルに1週間ばかり滞在した時に毎晩通って仲良くなりました。彼は98年に「Menu」というタイトルの詩画集を出しましたが、洒落た色使いの水彩画がアイロニカルでユーモアたっぷりの詩に添えられています。いろいろなカクテルを作ってくれますので、ナポリに行ったおりにはぜひ僕の友人だと言って寄ってみてください。

バール・オッフィチーナの主人、マリオ・アウレッタさんが98年に出版した詩集「Menu」は食べ物をテーマにした詩ですが、二重の意味を織り込んであるというその言葉はすべてナポリ方言でかかれているので、僕には読めません。でも、もし日本でこの翻訳本を出してくれる出版社が見つかれば彼は喜んで僕にまかせると言ってました。ちなみに、このレモンが描かれているページの詩は恋人との愛をうたっているようです。
BAR OFFICINA
VIA SANTA LUCIA 169 NAPOLI
TEL:081・7647171

シチリアの第2の首都と言われるカターニアから西へ30分ほど車で走ると“アルカラ”というオレンジ農園のアグリトゥリズモがあります。22ヘクタールの土地には見慣れたブロンド種のオレンジやシチリアならではの中身が赤いタロッコと呼ばれるオレンジの他に、マンダリン、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類を種に栽培している農家です。僕がここを始めて訪れたのは94年の9月でしたが、昨年の8月に久々に訪ねました。季節的にはまだオレンジが熟れて実ってないのですが、レモンの中には夏に実るものもあり、またオレンジとマンダリンを掛け合わせたものなどもあります。
アルカラには4棟のアパートメントがありますが、いずれも自炊できるアパートメント形式です。しかし、時にはここを訪れた観光客の人たちがそれぞれの手料理を持ち寄って、かつてワイン蔵だったところで一緒に食事を楽しむこともあります。
昨年の8月に訪れたときにはすでに実っていた早生種のレモン。以外に甘味があり、果汁を炭酸水で割って飲むと疲れがいっきに消えました。

ドライブインの前で農夫が野菜や果物を売っていました。果物は桃と梨(細長い洋ナシ)と野菜はピーマンに茄子でした。その茄子の大きなこと、赤ちゃんの頭ほどありました。こういう茄子は中が緻密でしっかりしているので、僕は一口大にカットしてオリーブオイルで素揚げして、ペペロンチーノを効かせたパスタに仕上げたり、薄くスライスしてカポナータと交互に重ねて焼いて食べたりします。日本では加茂茄子や米茄子を代用するけど、身の締まりはやっぱりシチリアですね。
ドライブインにあるバールではパンも売っていました。僕はシチリアのパンがイタリアで一番美味しいと思います。それはまず何よりもパン粉がいいからです。グラノ・ドゥーロという硬質小麦と水に塩だけですが、薪を使った石釜で焼き上げます。このパンの表面に白い粒が見えますが、これは白胡麻です。シチリアのパンは表面に胡麻がまぶしてある物が多く、これがまた美味しくしています。胡麻はセサミンという成分が肝臓にもいいのですね。けっこう日持ちもするけど、やっぱり3日位で消費するのがいいとバールのおじさんが言っていました。時間が経って固く乾いたパンは野菜の煮込みなどに入れたりします。
イタリアの旅を始めて以来、最も多く写真を撮ってきたのはヴェネツィアです。ローマ、ナポリ、フィレンツェ、ミラノと並んで語られるイタリアの代表的な都市でありながら、これほど特異な環境を持つところはありません。ラグーナと呼ばれる潟の中に築かれた都市、遠方から見ると水の上に浮かんでいるかのように見える幻想的な光景と町の中を縦横に流れる運河と路地。ヴェネツィア本島は120余りの小さな島が400もの橋で結ばれ、その間を流れる運河は180近くあります。この都市で一番賑わっているのがリアルト橋界隈とサン・マルコ教会の周辺で、それを結ぶ路地の両脇にはブティックやレストランなどがひしめき合ってますが、そこから少し離れて路地に迷い込むとひっそりと静まり返った空間があり、聞こえてくるのは自分の足音とどこかの家の軒先に吊り下げられた鳥かごで鳴くカナリアの声であったり、運河の岸を叩く水音、そして時折、行過ぎるゴンドラの櫂の音に、ゴンドリエ(船頭)が角を曲がるときの「オ~ィ」という掛け声。冬にはカーニバルの時期を除いて観光客も少ないので一段と静けさが町を包みます。そして冬にこの町を包むもうひとつが霧です。
ヴェネツィアの冬は冷えるのでついワインの量が増える。夜は馴染みの居酒屋で0時過ぎまで飲むこともある。千鳥足で宿へ帰る途中の運河で不思議な月を見た。いや、月と思ったのは運河を照らす大きなライト。霧に霞んでいるので光輪が広がる。端の欄干にカメラを固定して息を止める。カメラはコンタックスG2に45mm、絞りはF2.8のAE。こんな写真、やはりヴェネツィアじゃないと撮れない。それも冬に限る。

部屋は20畳くらいある大きさだがシャワーしかない。まあ、慣れればどうということはない。それよりも、見あげるほど大きな窓から外を見下ろせば下には運河と橋が見えて、ヴェネツィアの情緒満点だ。
夜、自分の部屋のある建物を見上げてみた。右側の4つのアーチの並んでいる窓の上に部屋がある。










日本では太陽が明るいうちにアルコール類を飲むのはちょっと気が引けるようですが、ヴェネツィアでは朝から飲むのが当たり前。特に寒い冬はちょっとお酒を入れて、体を温めてから仕事を始めるというのが日常です。
ペルージャ大学の前にあるエトルスコ門を上がっていくチェーザレ通りから見える眺め。石井柏亭はこの下の階段から絵を描いていた。上の写真もこの階段からの撮影。
僕は85年まで画家を志していました。77年に初めてイタリアに行って、ペルージャの町を歩き、期待を裏切られない思いで、帰国後もこんな絵を書いていました。これは79年にペルージャの路地を描いたものです。
でも、しつけはしっかりされていて、シェパードなどいっけん大きくて恐そうなのに案外とおとなしい場合が多いですね。まあ、知り合いのワイナリーにはなんど行っても僕を覚えていなかったり、誰にでも吠えたり、ときには噛んだりするシェパードがいますが、それはちょっとお馬鹿なのでしょう。飼い主の奥さんだけにしか懐いていない様で、いつもキッチンで一緒にいます。いつだったか、そのお母さんが女子サッカーチームのゴールキーパーで試合にでる夜があって、僕が息子達に夕飯を作ってやることになり、そのお母さんのエプロンをしていたら、いつもは僕に寄り付きもしないのが、見るなり嬉しそうな顔をして寄って来たのです。最初はエプロンの匂いでお母さんと思ったのでしょうが、僕が振り向いたらびっくり、そしてなんか間違えた自分が照れくさそうに、そして寂しそうにうなだれて離れていきました。やっぱりアホな犬でした。
犬は飼い主に似ると言われますが、この写真を見るとそう思えますね。街中のスナップでこのようなシーンはよく見かけます。50mm~100mm程度の中望遠のレンズの自然な遠近感で撮るのがいいでしょう。飼い主よりも犬に気づかれないように、素早く、さりげなく撮りましょう。
動きの速い犬を撮影するときには、しばらくその動きを見て、行動のパターンやタイミングを把握してから撮りましょう。フィルムはISO400程度の高感度を使用するとか、絞りをF2.8から4程度でできるだけ早いシャッター速度で撮れるように準備します。露出は真っ白な犬をアップで撮るときにはプラス補正、真っ黒な犬ならマイナス補正です。ただし、アップで撮る場合ならです。背景が暗い場合も若干のマイナス補正、明るい場合はプラス補正です。補正度合いはカメラによって違いますから、事前に試して下さい。

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