
古代ローマ時代の遺跡とサン・ピエトロ大聖堂のあるバチカン市国もある永遠の都、ローマは実は水の都でもあるのです。水の都はヴェネツィアでしょう、と思いますが、あちらは海と運河の水で100万円もらってもその水は飲む気になりませんが、ローマの水は、街のあちらこちらにこんこんと湧き出る泉で、中には飛び切り美味しいと評判の泉の水もあります。レスピーギの交響詩にも「ローマの噴水」という有名な曲がありますね。噴水はイタリア語ではフォンターナ(Fontana)といいます。ミネラル・ウォーターの水を採る泉はソルジェンテ(Sorgente)です。
ローマの噴水と言うと、まず浮かぶのは「トレヴィの泉(Fontana di Trevi)」ですね。右手にコインを持って泉に背を向けて、左の肩越しに投げ入れると、再びローマに戻ることができるとか。ところで、この泉の水はいったいどこから来ているのでしょう。古代ローマ人は水道設備の技術も素晴らしく、アックアドットと呼ばれる水道橋の建設にも歴史に残る偉大な仕事をしていました。「トレヴィの泉」の水は、ローマからナポリ方面へ向かったところ、今では白ワインの特産地として知られるフラスカーティ(Frascati)近くのトゥスコロ(Tuscolo) というところから引かれています。ローマのサン・ジョヴァンニ門のところからトゥスコラーナ通りが伸びていますが、この辺りには、ナポリに向かう列車の車窓からでも壮大な水道橋を見ることができます。
中学生の美術の時間にアグリッパという石膏像のデッサンを勉強した記憶がありますが、そのアグリッパがこのトゥスコロの水道橋工事を監督した人で、ロトンダ広場のところにあるパンテオンもアグリッパが建設したものです。トゥスコロの水道は2本に分かれて引かれていて、1本はユリア水道と呼ばれ、もう1本はヴェルジネ(処女・乙女)水道と呼ばれています。このヴェルジネ水道がピンチョの丘から地下を通ってコルソ通りを横切り、コンドッティ(Condotti)通りの下を流れトレヴィを始めたくさんのローマの泉から溢れ出ているのです。ちなみに、コンドッティとはコンドッタ(水道管)からきた言葉です。「トレヴィの泉」は17世紀に噴水の設計で著名だったジャコモ・デッラ・ポルタやバロック彫刻の巨匠、ベルニーニら天才的な芸術家たちの手によって修復と改修がなされ、18世紀なってクレメンス二世がコンペティションを開催したとき、それに応募したニコラ・サルヴィのデザインが採用され現在の姿に生まれ変わりました。彼は1731年ごろから工事を始めましたが、途中で病に倒れ1751年に他界し、泉が完成されたのは1762年のことです。

サン・ジョヴァンニ門から古代ローマの城壁を出たところにあるクラウディオ水道。今も水道が流れていて、壊れて小さな穴が開いたところから清んだ水が流れて小さな池を作っていたりします。この辺りには羊の牧場などもあります。ローマの町を囲む城壁は同時に水道橋の役目をもったものなのです。
ローマに行ったら、ぜひ夜のライト・アップされた噴水も観賞して下さい。冬の季節は観光客も少なく、とりわけ夜はゆっくりとその美しさを楽しめるでしょう。

アグリッパが建設したパンテオンの向かいにあるロトンダ広場の噴水。17世紀にジャコモ・デッラ・ポルタが設計したが、18世紀の初頭に改変されているそうです。この写真は1980年代の終わりに撮影したものですが、僕にとってはローマの中で一番気に入っている噴水です。イルカの顔がキモカワイイ感じですね。


コメント (7)
篠さん、いつもお世話になります。ローマは、本当に奥が深そうですよね。日本の京都と一緒ですかねー。本当に、何日滞在すれば、ローマは満喫できるんですかね?以前、一泊二日でしか滞在出来ずに、後ろ髪がずーっと引かれたままでした。
投稿者: tetsuro | 2006年02月23日 13:23
日時: 2006年02月23日 13:23
ローマで好きなのはサンタンジェロ城~ナヴォーナ広場~パンテオンのあるロトンダ広場にかけてのコースです。トスカやローマの休日を思い出しながらにぎやかなナヴォーナ広場に向かいジェラートでも食べながら大好きなパンテオンに向かいます。パンテオンの天窓からさしこむ光は息を呑むような神々しさに満ちていて大好きです。アグリッパの石膏像をはじめて見たときはしょぼい中年のおじさんといった感じでしたが、もともとのパンテオンを作ったのが彼だと知ってからは、きりっと結んだ口元やまぶしそうな表情も忠義心に満ちた偉大な将軍に見えて大好きになりました。恋なんてきっとこんなものなんでしょうね。
投稿者: meico | 2006年02月23日 20:02
日時: 2006年02月23日 20:02
tetsuroさん、僕がイタリアで一番好きなのは、ローマとヴェネツィアですよ。ヴェネツィアは愛人、
ローマは本妻、なんちゃってね。ローマは永遠の都ですから。奥深さではどちらもすごいし、3月の
バローロからヴェネツィアまでの旅を一緒に楽しんだら、次はローマや南イタリアを制覇しましょう。
真実は小さきところに宿る。路地裏に隠れたその町の素顔を発見しましょう!
投稿者: ロマーノしのちゃん | 2006年02月24日 09:37
日時: 2006年02月24日 09:37
meicoさん、僕もナヴォーナからパンテオンの界隈は好きですね。それとカンポ・デイ・フィオーリ、
かつてはチャンスがあればここに住みたいとも思ったところです。最近はだいぶ変わりましたけど、その広場にあるカルボナーラというトラットリアの裏手には中世からの集合アパートがほとんどそのまま残っていて、絵葉書にもなっているのですが、路地からアーチをくぐらないと入れないちょっと隠れたところ。次のブログに紹介しますが、「亀の噴水」ある界隈もいいですね。ローマにはなぜかノスタルジアを感じます。路地もいいし、見あげた青空が広くて、やっぱり永遠です。
投稿者: ロマーノしのちゃん | 2006年02月24日 09:43
日時: 2006年02月24日 09:43
篠さん、はじめまして。アグリツーリズモを探しているときに偶然このブログを発見しました。
とても美しい写真がいっぱいでワクワクしますね。4年前に私も3ヶ月ローマにいたので、その時を
思い出しました。私もカンポディフィオーリ大好きです。あとトラステベレも。
この4年の間に結婚し子供ができてだいぶ生活が変わりました。少し落ち着いたので、三月に
家族でイタリア旅行に行ってきます。子供がいるからこその楽しみもあると期待してるのですが。 これからも篠さんの美しい写真楽しみです。
余談ですが、アグリsanto stefanoにメールで予約したんですが一週間以上経っても連絡がないんですが、今の時期ってこんな感じなんですかね?日本語代行の方にお願いした方がいいのかなと思ったりしてマス。(すいません、篠さん旅行会社の方じゃないのに)
投稿者: mamasumi | 2006年02月24日 14:09
日時: 2006年02月24日 14:09
mamasumiさん、コメントを頂き有難うございます。サント・ステファノの件ですが、もしかすると家族でスキーかあるいはトリノに行っているかも知れませんね。冬は蜜蜂も巣箱で越冬しているし。
日本語代行の長谷さんと連絡をとってみて下さい。最近のローマは急速に変化しましたね。90年から5年ばかりローマに本社がある写真誌の特派員をやっていて、ちょくちょくローマに行って友人の家にやっかいになっていた頃と70年代、80年代はさほどの変化はありませんでしたが、90年代中頃からの変化の速さはスゴイですね。ブログでも紹介されているGokutabi ITALIAにはローマも特集されていて、現地在住の方が紹介する最新情報が満載です。お楽しみ下さい。
投稿者: ロマーノしのちゃん | 2006年02月24日 14:40
日時: 2006年02月24日 14:40
お返事ありがとうございます。さっそく長谷さんに連絡してみます。本も明日チェックしますね。
投稿者: mamasumi | 2006年02月25日 01:15
日時: 2006年02月25日 01:15