旅スタBlogをご愛読頂いている皆様、先週の金曜日に無事イタリアから帰国しました。ピエモンテのアスティ近郊のカネッリ、ランゲのバルバレスコ、バローロの葡萄畑を歩き、エミリア・ロマーニャのレッジョ・エミリアとピアチェンツァ、ヴェネトのトレヴィーゾ郊外のワイナリーを訪ね歩き、そしてヴェネツィア、ミラノと正味10日間の急ぎ旅。でも、中身もぎっしり詰まったいい旅でした。帰国後最初のブログは中でも一番のハイライトからスタートします。それは、”イタリア好き”な方ならこの写真のボトルを見ればすぐにおわかりですね?
幻のグラッパ造りの名人と言えば、ピエモンテのネイヴェに住むロマーノ・レーヴィ(Romano Levi)さんです。1928年に生まれましたので、今年で78歳です。彼がグラッパ造りを始めたのは1945年、17歳の時からだったそうです。父親のセラフィーノ・レーヴィさんの後を受け継ぎ今日まで、いまでは珍しい直火の蒸留器で造り続けています。ちなみに、蒸留器はアランビッコ(Alanbicco)と言いますが、発明したのはアラビア人です。他にもアルコールとかアルカリとか”AL”がつく言葉の語源はアラビア語でアラビア人の発明によるものです。
レーヴィさんのグラッパにはいろいろな味わいがあります。70年代、80年代、90年代それぞれのヴィンテージでも味が違いますし、同じ時期でも直火で作るせいか、ボトル1本づつが異なると言われています。僕もこれまでに4、5本はイタリアの友人たちかプレゼントされましたが、自分で開けて飲んだのは1、2回で、ワインは大好きでも度数の強いグラッパはちょっと舐めるか、コーヒーに入れてカッフェ・コレットにしてしまいます。レーヴィさんのグラッパはそんなことをしたらもったいないので、味がよく分る友人にプレゼントしてました。何しろ50度から60度はありますからね。しかし、ワインのための果汁を搾った後の葡萄の皮を発酵させて作るグラッパもそれぞれ葡萄の種類や産地ごとに風味があって、香りだけでも充分に楽しめますね。
これまでにもシチリアのジョーヴィのジョヴァンニ・ファウチやトスカーナの頑固親父、ジョアキーノ・ナンノーニ、フリウリのトゾリーニやノンニーノ家族、バッサーノ・デル・グラッパのナルディーニなど著名なグラッパの造り手たちと会い雑誌に紹介したり、イタリアのワイナリーから頼まれてグラッパ造りのお手伝いもしました。グラッパを造る人はワイン以上にそれぞれに強烈な個性を持った造り手ばかりですが、ロマーノ・レーヴィの名前を一躍世界的なものにしているのは、彼のグラッパもさることながら、そのボトルに貼られた手書きのラベルの魅力にもあるのです。
彼は一日に数本しか売らないと言われています。予約もできないので、直接、彼の家を訪ねるしかありませんが、せっかく遠路遥々来ても、今日はないよと言われることもしばしばとか。それで、「気まぐれおやじ」、「頑固者」とも言われ、それだけにやっと市場に出たボトルにはとてつもないプレミアが付いたりします。ただ、僕も今年の3月にピエモンテのある町に行った時に、そこのエノテカ(酒屋)にボトルが並んでいるのを見て、一緒に行った友人と1本づつ買って来ましたが、その時の値段は50ユーロでした。日本では2万円からヴィンテージ物やめずらしいラベルのものは20万円以上の値段が付いていますね。実はイタリアでも90年代から彼のラベル・コレクションの本が出た/b>りしてすでに伝説的な存在になっていましたので、とても貴重なグラッパになっています。ついでにニセモノも出回るというウワサも聞いてますが、それはあくまでもウワサで、本物とニセモノをちゃんと並べて見たことはありません。 さて、そんな”伝説的”なグラッパ造りの名人、ロマーノ・レーヴィさんと会ってきました。もちろん、今回が初めてで、それも僕の親友で素晴らしいバルバレスコを作っているエリオ・フィリッピーノと彼の奥さんのミリアムとネイヴェを散歩の途中で、エリオが「そうだ、ロマーノ・レーヴィの家にも行ってみるかい?すぐ近くだから」と思いつきで言ったのがきっかけです。晩夏の太陽がまぶしく輝く、とても気持ちのよい日でした。( 次回につづく)


コメント (3)
プランタンでお世話になってます。Aです。
イタリアの最新情報、楽しく拝読しました。
とても貴重なグラッパなのですね。勉強になりました。
次号が楽しみです。
投稿者: bohemian | 2006年09月30日 06:43
日時: 2006年09月30日 06:43
篠さん、
レヴィおじさんの所に行かれたんですね。いいなぁ、羨ましい!僕も「yamachanへ」な
んて名前入れて欲しいなぁ。お宝ですねo(^-^)o。まだ、生産続けそうですか?私
も一度お会いしたいです。本当に優しい絵を描かれますよね。うちには、3月の
旅行の時に篠さんと買った一本があるだけですが飾ってありますよ(^O^)。眺めている
だけで癒されます。
投稿者: ヤマ | 2006年10月03日 04:54
日時: 2006年10月03日 04:54
bohemianさん、ヤマちゃん、昨日アップするはずの「続編」が遅れていてすみません。たぶん、今日か明日には。続編にはロマーノ・レーヴィさんの近況が分る話を書いています。本文が長いので書きませんでしたが、1928年に生まれ、33年、つまり彼が5歳の時に父親のセラフィーノさんが亡くなり、お母さんがその後を受け継ぎグラッパを作っていました。しかし、1945年、そのお母さんも戦禍で亡くなり、彼が受け継いだそうです。その彼も今は78歳。結婚もしていないので、後継ぎも無く・・・という状況であります。芸術作品の運命はいつの世も同じです。ただ、作品は一人歩きするもの、また出来るものでなければいけませんね。人の子も同じです。作者はその後は何も気にすることはないわけです。今、この時に全てがあれば。朝に道を知れば夕べに死すとも可也。
投稿者: 旅人しのちゃん | 2006年10月03日 09:10
日時: 2006年10月03日 09:10