ロビオラ・ロッカヴェラーノ

イタリアの食卓に欠かせないものは、オリーブオイル、ワイン、そしてチーズですね。ワインのように全州にそこの土地ならではのチーズがありますが、原料となるミルクは牛、羊、山羊、水牛から作られます。一番多いのが牛乳で次が羊。水牛はローマ以南のカゼルタやナポリ、サレルノ周辺の特産のモッツァレッラ・ディ・ブーファラが有名ですね。数百の種類があると言われているイタリアのチーズの中でもこのモッツァレッラ・ディ・ブーファラと並んで僕が好きなのがピエモンテのロビオラ・ロッカヴェーラノで、これは山羊のミルクから作られています

(左)出来たてのロビオラ・ロッカヴェラーノ
(右)こんな形はフランスのシェ―ブル・チーズ、ヴァランセみたいですね。

ロビオラという名前の語源はこのチーズが熟成されるに連れ表面に赤みを帯びてくるので、ルビーのイメージでロビオラと呼ばれるようになったという説があります。 昔はそんな風に作られていたのでしょうが、僕がよく見るものは熟成されたものでもオレンジ色ですね。それに青黴と白黴が混ざりながら生えてきたものがなかなか美味しいですね。
熟成させると表面は白からオレンジ色に変わりながら周りが青黴に包まれてきます。

ロビオラ自体はローマ時代から作られていた古いタイプのチーズですが、ロッカヴェラーノで作られるようになったのは1200年頃からとか。山羊は冬に出産するのでそのころから乳を搾ることができますから夏から秋に一番このチーズが作られます。イタリアではワインのD.O.C.と同じようにチーズは生ハムなどに原産地呼称統制があって、チーズの場合はD.O.P.(Denominazione Origine di Protetta)といいます。ロビオラ・ロッカヴェラーノもそれに認定されているチーズですね。ただ、山羊の乳が取れる時期も量も限られているので、必ずしも100%を山羊の乳から採らなくてはならないというわけではありません。季節によっては、つまり冬季、山羊の乳が少ない時期は85%まで牛乳を混ぜてもよいことになっています

3週間くらい熟成させたもの。

幸いに僕が行った9月は100%山羊の乳のものを味わうことが出来ましたし、訪れた二つの農家は100%山羊を使うことにしているようです。ただ、山羊の乳を固めるときには牛から摂った凝固液(イタリア語でカリオ、Caglio)を使うそうです。
ロビオラ・ロッカヴェーラ周辺の風景。ここはヴェッシメ(Vesime)。

このチーズの味わいは出来たばかりでは非常にさっぱりとして、ヨーグルトのような酸味が爽やかで、後味にクリーミィな余韻が残ります。この地方特産のモスカートやドルチェットに合わせるといいですね。そして1,2週間して熟成してくると少し辛味が出て濃厚な風味になり、ワインもバルベーラのようなあまり重過ぎない赤ワインがよいですね。イチジクや柏、葡萄の葉で包んで熟成させたものもあり、それぞれの風味が楽しめます。

僕が最初に訪れたエンリーコさんは共同経営者のマッシモさんとこの仕事を始めてまだ4年目で、以前は農業機械を販売していたとか。山羊の乳を搾るところも貯蔵庫も現代的でとても清潔感に溢れたところで、山羊の糞の臭いなどもさほど気になりませんでした。

チーズ工房を始めて4年目、まだ40代のエンリーコさん。



(左)朝の10時過ぎ、やぎさんたちの散歩が始まり。
(右)名残惜しそうに僕を見つめて動かないヤギさん。

2軒目に訪れたのは典型的な家族経営の農家で規模も大変小さく、山羊の小屋には鶏も一緒で素朴な感じがしました。日本に入ってくると300gほどのチーズが3000円ちかくするのですが、チーズは熟成のタイミングとかなかなか管理に手間隙がかかり、もちろんフレッシュなチーズは空輸ですから仕方ありませんね。特に山羊のチーズは生産量も少ないので、これを好きになった人が情熱を持ってチーズを作り、輸入し、味わう権利を持っているのでしょう。ワインもそうですが、 チーズも一度はまるとなかなか奥が深いようです。

(左)プロリオさんの家。薪がたくさん摘んである壁の内側に山羊とニワトリが同居している。
(右)プロリオさんの家の山羊。こちらはメスばかり。


(左)これは雄の山羊。いかにも精力ありそう。
(右)小さな農家なので30個程度しか作らず全て地元で消費される。


(左)プロリオ氏と奥さんのマッジョリーナさん。      (右)家の壁に色褪せた道印があった。

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コメント (2)

Gina:

はじめまして、篠様。
RupestrのGiorgioに連れられてこちらの工房に行きました!
熟成期間が長くなるにつれ、クリームチーズのようなふわふわとしたものから、
赤ワインの良きお供へと変化していく様を経過だてて試食できたのが、
新鮮な驚きでした。

旅人しのちゃん:

Ginoさま、はじめまして。ジョルジョの郷土愛は素晴らしいですよね。自分のところばかりでなく、むしろ周囲の友人や知り合いをどんどん紹介してくれて、カネッリと、ピエモンテと、イタリアをもっと広めたいという情熱に溢れてますからね。いつか、ルペストルでみんなと会えるといいですね。
では、今後ともよろしくお願いします。

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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