ヴェネツィアのオルガン職人

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職人の世界と一口に言ってもその姿は様々で、必ずしも無から有を生むような物作りの仕事ばかりではありません。もっともっと地道な、“修復”という仕事があり、場合によっては新しい物を作るよりも大事な仕事です天災や戦火などで傷つき、破戒された美術品や歴史的建造物の修復をはじめいろいろな分野で修復技術が必要とされています。

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ヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の裏に小さな工房を持つ、。パスクワーレ・フェッラーリさんは教会の中などにあるパイプ・オルガンの修復師です。パイプ・オルガンは数百から数千本という太さと長さが異なるパイプに空気を送り込み、フルート式やクラリネットのようにリードで音を発生させるのですが、パイプの数と空気の送り方によって無限階とも言える音色を出せます。今日のようなパイプ・オルガンの紀元は紀元1世紀まで遡ると言われていますが、パイプを使った楽器はギリシア神話の牧神が吹く葦笛のように、紀元前数百年も遡ります。複雑な技術を組み合わせたパイプ・オルガンが広まったのはキリスト教の発展にともない教会や修道院が多く建てられたルネサンス、バロック時代ですね。

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現在、パスクワーレ・フェッラーリさんが昨年から修復をしているのはヴェネツィ
アの。サンタ・マリア・フォルモーザ教会のパイプ・オルガンです。建立は639年と言われていますが、1492年にマウロ・コドゥッシという建築家によってルネッサンス様式に改築され、さらに1600年代にはバロック様式の鐘楼が建てられましたこの鐘楼の下にある怪人のレリーフが近くにある。有名な居酒屋、アル・マスカロンの看板になっています。
パスクワーレさんが修復中のオルガンを見せてくれるというので、着いて行きましたが、オルガンのところに上がる階段は高さが3,4mの細く垂直になった階段を上ります。そこにバルコニーのように突き出た台座にオルガンが設置されているのですが、演奏するスペースも人がやっと入れるほどの狭さ。オルガンのパイプが並んでいる内部にも入れるというのですが、パスクワーレさんが横になってやっと入れる程度。そこには2千本以上というパイプが並び、また隅には電子機器も見えます。最近のパイプ・オルガンには電子機器も使われているのですね大きな風力を要するので、昔は尽力だったふいごもモーターで羽根を回転させて風を送り込んでいるので、それらの微調整ができるように電子的な制御が必要なのです。

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サンタ・マリア・フォルモーザ教会のオルガンは今年の4月には修復が終わる予定だそうですから、春からヴェネツィアを訪れる方は、ぜひ立ち寄ってオルガンの音色を聞いてみて下さい。完成したら、定期的にオルガン演奏会も開かれるかもしれません。もちろん、素敵な音色を聞いたら、アル・マスカロンやマスカレータで美味しいワインとヴェネツィア料理も満喫して下さいね。

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コメント (2)

うえがき:

職人の世界って、非常に魅力的です。
篠さんの写真も職人的な部分があるのではと密かに・・・。

職人を訪ねる旅なんて、やはり、言葉が出来ないと難しいですよね。
今年は、ベネチアに行こうと思っています。
ラグーナに出てみたいのですが、船の調達って大変でしょうか。

うえがきさん、お久しぶりです。職人の世界、ほんとうに魅力的ですが、時代の流れで消えていく職も多いですね。鼈甲とか象牙のように資源の問題で続けられない場合もありますし。ところで、ヴェネツィアのラグーナに船で出てみたいのならブラノ島に行ったときに現地の漁師に相談してみたらいいです。僕もなんどか誘われました。無人の島があちこちにありますから、楽しいですよ。ただ、かつてペストが流行ったときに無人になったままという恐い島もありますけどね。

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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