ヴェネツィアの宝飾職人

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宝飾職人、シグフリード・チポラート
Laboratorio Oreficeria SIGFRIDO CIPOLATO Castello, S.Lio Caselleria n.5336 Venezia

ゲットー、この「ユダヤ人居留地」を意味する言葉の発祥地がヴェネツィアだとはあまり知られていません。語源は鋳造という意味のジェッターレから来ていますが、ヴェネツィア本島の端にあるカンナレッジョ地区に今もかつてのゲットの面影を残す一角があり、ユダヤ教会のシナゴーグもあります。


 かのシェイクスピアの名作「ベニスの商人」の主人公がユダヤ人であったように、ヴェネツィアには古くからユダヤ人が住み、その多くの職業が金貸しであったり、貴金属を扱うものでした。現代でもダイアモンド市場の重要な拠点として知られるベルギーのアントワープに行くと多くのユダヤ人が独特の帽子と長い顎鬚姿を見かけますが、ヴェネツィアにもユダヤ人は珍しくなく、宝飾職人も名前を知ればわかるようにユダヤ人です。


 先祖代々からユダヤ人たちが受け継いできた職業のひとつをチポラートも生業として、その卓越した技術はヴェネツィア一番です。その彼を紹介してくれたのが、工房の斜向かいで書店を営む友人のフランコ・フィリッピで、彼はヴェネツィアの生き字引のような男で、NHKの番組にも案内役として登場していました。拙著「イタリア好き」の中でも何人かのヴェネツィアの職人を紹介していますが、時代を越えて受け継がれ、さらに切磋琢磨した職人の仕事は垣間見るだけでも楽しいものです。まあ、高価な宝飾を買うゆとりがあればなおさら楽しいものなのでしょうが、ただ眼の至福を頂けるだけでもよいではありませんか。ヴェネツィアに行ったら、ぜひ、チポラートの工房を訪ね、またフィリッピの書店でヴェネツィアの知られざる知の宇宙を探索してみて下さい。

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机ひとつ、額のルーペの先にチポラートの宇宙がある

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ヴェネツィアの伝統的な宝飾の意匠、ムーア人像とチポラートのオリジナル、骸骨の指輪は「メメントモリ、死を思え」と眼光が睨む

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チポラートの奥さんの七宝作品。米粒と大きさを比べるとその精緻さが分かる


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チポラートを紹介してくれた書店の親友、フランコ・フィリッピ
Libreria Editrice Filippi di Franco Filippi

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拙著「イタリア好き」の310頁には2006年春に撮影したポートレートを掲載したが、9月に再会したときは別人のように痩せていた。さて、来月の再会が楽しみ

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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