2007年11月07日

レース網と色彩の島、ブラノ

愛する水の都、ヴェネツィアを訪れ、一日のゆとりがあるならば必ずや訪れたいの
ブラノ島です。ガラスの島としてしられるムラノ島にはすでに何度も行き、今や
ヴェネツィア本島のどこにも溢れるガラス製品を改めてムラノに出向いてまで見るほ
どの興味は薄れましたが、カラフルな漁師の家並みレースの島 として知られるブラ
ノ島には廃墟のような静かさが漂うトルチェッロ島と同様に、時間がゆるせばやはり
訪れたいと思うしまです。その魅力は、まず色彩豊かな家並みで、秋から春にかけ
て、時には目先さえも見えなくなるほど霧が深くなるヴェネツィアのラグーナ(潟)
漁から帰る漁師が自分の家を見分けやすいようにと、一軒一軒、カラフルに色分け
している
からです。

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(左)ブラノ島の家 (右)ブラノ島の家並み
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水面を反映する建物の色

そして、漁師が海に出ると女性たちは家事の合間に、せっせと
やかなレース網
に勤しんでいるのです。この島を代表するレースの店、エミリアには
技術豊かな職人が今も伝統をまもり、繊細でエレガントなレース作品 を作っていま
す。最近、エミリアはリーヴァローザというレストランを開業しましたが、その窓に
もエミリア自慢のレースが使われ優雅な雰囲気を醸しています。

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(左)ブラノレースを代表するエミリアの店もカラフル (右)エミリアでレース網をする婦人
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(左)トンボラという枕を利用して繊細なレースを編む (右)リストランテ・リーヴァローザ
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路地でレース網に勤しむ婦人たち 
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(左)息子デザインした作品を手にするエミリアさん (左)Rivarosaの窓から 


ブラノ島のレストランと言えば、僕はやはりダ・ロマーノ へ行きます。ここの
ゾット、スカンピやイカ、アサリやムール貝
、またヴェネツィア名物の大きなカニ、
グランキオ
を食べなければブラノ島を訪れる喜びの半分は失われます。サクサクと軽
快で甘みが口に広がる魚介のフリット(から揚げ) もはずせません。店内は驚くほど
広く、そして壁一面に沢山の絵画が掛けられています。
世界の著名な作家がここを訪
れてはプレゼント、あるいは食事代の代わりに置いていった傑作の数々です。マネー
ジャーのジジさんをはじめ、カメリエーレの気さくで気の聞いたサービス もこの店に
通わせる大事なポイントです。
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(左)ヴェネツィアで評判の高いリストランテ、ダ・ロマーノ (右)ダ・ロマーノのリゾットは絶品
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ダ・ロマーノの魚介のフリット

そして、美味しい料理とワインに満喫したら店を出て
すぐ左手にある広場にでます。鐘楼が傾いた教会を背にすると、広場の中央に胸像が
見えます。バルダッサーレ・ガルッピ 、ヴィヴァルディについで、ヴェネツィアを代
表する18世紀の作曲家
です。彼の曲を始めて聞いたのは日本人のピアノの名手、関
孝弘さんのピアノ・ソナタ集
です。驚くなかれ、モーツァルトを彷彿とさせる旋律が
かしこに現れる
のです。関さんの研究によればモーツァルトは2曲をガルッピの作品
から盗作しているそうです。ガルッピはまたヨーロッパ中の作曲家たちに大きな影響
を与えた偉大な作曲家
でした。

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バルダッサーレ・ガルッピ像

11月6日にまた関さんのコンサート東京文化会館 で開かれました。今回はスカ
ルラッティやレスピーギ、ロッシーニなどイタリアの作曲家とショパンの作品だけで
したが、会場ではガルッピのピアノ・ソナタをスタンウェイとベーゼンドルファーの
2台のピアノで弾き比べをしたCD(no.TKCC-15085)も販売されていました。天才
モーツァルトも明らかにヴェネツィアでガルッピの曲を知り、少なからぬ影響を受け
たのではないかと実感します。イタリアに長く学び、伴侶もイタリア人という関さん
のピアノ演奏はまさにイタリア的な明るい響きと軽妙かつエレガントな音色 で、あた
かもヴェネツィアの島々を散策しているような心持 になります。


 ヴェネツィア本島の観光客に溢れかえる喧騒に疲れたら、ぜひブラノ島を訪れてみ
て下さい。最近、小さなホテルも開業したそうです。次回はそこに泊まり、浮世離れ
した一夜を過ごしたいと思います。



篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 2004年11月、ヴェネツィアで写真展(www.toshi-shino.com)を開催した。

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