2008年01月23日

「プーリアで猫三昧」 篠

イタリアはどこへ行ってもいろいろな猫ちゃんに出会えますねぇ。 ヴェネツィアなどはかつてはペスト菌をばらまく鼠退治に使われたので、隣町のヴィチェンツァは猫を売りに行って大儲けしたという話があります。日本は逆に猫受難国?「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて小話をごぞんじですか?猫とねずみの関係は世界共通。ところで、欧米にはねずみが主人公の楽しいお話が結構ありますね。ミッキーマウスはその代表中の代表ですが、イタリアにはトッポ・ジージョなんていう、かつて日本でも人気を博したねずみがいます。でも、今日はねずみではなくて猫の写真です。
 

撮影したのはプーリア州のオストゥーニやファサーノなど、アドリア海沿岸に広がるムルジェ高原に点在する都市です。アルベロベッロ、オストゥーニ、ロコロトンド、マルティーナ・フランカ、チステルニーノなど、以前にもこのブログで紹介しましたが海原のように広がるオリーブの森”白亜の都市”が点在する美しいところです。アルベロベッロはおとぎ話に出てくるような三角帽子の屋根でよく知られていますが、他の都市も漆喰で白く塗られた家々が構成する迷路のような街づくりで、いくら歩いても飽きることがありません。夜の街灯や家々の窓に明かりが点ると、その光が白い壁に反射してより幻想的になります。この地方にはマッセリーアという荘園のアグリトゥーリズモも多く、これまでにも何度かこのアグリトゥーリズモを利用したツアーを企画してきましたが、今年も3月24日から4月1日までプーリア各地とバジリカータの世界遺産の都市マテーラを巡る旅を計画、僕も案内人として同行します。(詳しくは「デル・ソーレ・イタリア:電話:03-3401-6130、e-mail:italia@fortuna.ne.jpまでお問い合わせ下さい)

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(左)オストゥーニの昼下がり。白い壁、緑の窓がアクセント。 (右)暑い日は日陰がいいニャン。静かな町で、近づいても安心した表情です。

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ファサーノの野原で。野良猫ならではの精悍な表情がいいですね。

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オリーブ林で。野鼠でも狙っていたのでしょうか。背景にはオリーブの老木。

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マッセリア・サラミーナにて。食べ物に困らないアグリトゥーリズモでのんびり生活。

さて、猫の話に戻りますが、猫はとても臆病な、というかとても慎重な動物なのでしょうね。のんびり暮らせるところでは見知らぬ人が近づいてもそうそう逃げたりしませんが、東京でも谷中とか月島とか、野良猫がよくいる町でもよっぽど可愛がられていないとすぐに警戒し、なかなか写真を撮るのは難しいものです。近年は
デジタル・カメラ
が普及したことにより、ペットの猫や街歩きを楽しむ猫を撮る写真愛好家も増えていますが、その撮影の難しさをよく聞きます。そんな声を反映して、プランタン銀座でも3月16日街を歩きながら猫を撮るという一日講座を開講しますが、さて、いいタイミングで猫ちゃんたちに出会えますでしょうか。かつては東京の街のあちこちで野良猫を見かけましたが、最近はどうも野良には厳しい環境のようで、見かけるのも少なくなりましたし、人の気配を感じるとすぐさま物陰に逃げ込んだりします。僕は野良猫がのんびりと生きられない街は人間にもかなりのストレスを与えているのではないかと思っています。
 

猫の写真を撮るときに一番大事なのは、まず猫を警戒させず、かつ上手に近づくことなのですね。人を怖がらない猫を見つけたら撮影の半分は成就したようなものですね。人生の半分は運次第ですから。よく、幸運を引き寄せるのも才能だとも言いますが、運は神様、天が決めることですから、人間が引き寄せるなんて大欲をかいてはいけません。ただ、天が授けようとしている運を逃がさないように、日頃から心構えと努力を重ねていることですね。写真で言えば、猫を見つけたら素早くカメラをかまえ、とにかく最初の一枚は一瞬で撮れるように日頃から訓練することです。レンズは街歩きに適した28mm前後の広角から100mm前後の中望遠のズーム、もちろん自分のスタイルによって広角、標準、望遠から好みの焦点距離のレンズを選んでもいいですね。むしろ、ズームでどの焦点にするか迷う必要のない単焦点レンズの方が良い結果を生むかも知れません。もっとも、熟練すればズームはより便利な機構なのですが、構図や画面構成を瞬時に判断できる訓練も必要になりますが。でも、それは決して難しいことではないのですね。
 

写真に限りませんが、好きなことなら自分で進んで行動に移せるはずです。少々の失敗も苦にならないでしょう。むしろ、それで勉強ができるわけですから、幸運だけの人生は何もないに等しい、むしろ空しいものかも知れません。例え好いチャンスで猫に逃げられても、「おっ、素早い奴だなぁ」とにっこり笑って見送ってあげましょう。そのうち、きっと猫も逃げず、野良猫さえ近づいて来るようになるでしょう。ただ、やはり環境の影響というのはとても大きなものです。ゆったりと生活できる環境であるものの、南イタリアは、日本ほど経済的な水準は高くはありません。むしろ、イタリアでも貧しいと言われ続けて来ています。しかし、そこに暮らす猫たちは、のんびりとし、時には優雅にさえ見えます。もちろん、そこに暮らす人たちがそういう心で生きているからですね。春のプーリアではどんな猫たちに出会えるか、今から楽しみです。イタリアと猫と写真とそして美味しいものが好きな方、一緒に旅をしませんか?

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イチジクの木の下で。南イタリアでは猫もシエスタがお好きなようで。

2008年01月16日

「ローマの松」

皆様、 新年明けましておめでとうございます。


昨年はこのブログをまとめて「イタリア好き」を発刊することができましたが、夏以降、いろいろと多忙なことが続き、更新が滞りました。今年も忙しさには変わりないのですが、あまり間が空かないように努めますから応援して下さいね。


さて、 今年最初の話題は”ローマの松”です。ローマの松と言いますと、ボローニャ出身の作曲家レスピーギの交響曲がありますね。各楽章ごとに「ボルゲーゼ荘の松」、「カタコンブの松」、「ジャニコロの松」、「アッピア街道の松」とタイトルがつけられた詩情に溢れた作品です。作曲されたのは1924年12月、今から84年前で、レスピーギはこの他にも「ローマの噴水」、「ローマの祭り」とローマをテーマにした交響詩を作曲し「ローマ三部作」として知られています。古代ローマの神話の世界や様々な情景松というシンボリックなテーマから色彩と光に溢れた楽曲に仕上げています。
 

僕が初めてイタリアの大地を踏んだのもローマで、この古代都市のそこかしこに聳え立つ大きな松はとても印象深く、ローマと聞くと何よりもこの松の独特な形が眼に浮かびます。傘松とも呼ばれ、世界に分布する数百の松の種類の中でもイタリア傘松はシチリアから南仏、スペインと地中海沿岸によく見れる松です。僕がローマで一番気に入っているのがフォロ・ロマーノを見下ろすファルネーゼ庭園の上がり淵にある2本の松です。3本の柱が美しいウェスパシアヌス神殿の背景右手にもよく見えるこの松は高さが20メートルはあります。傘松は最高25メートルにもなるそうですから、このフォロ・ロマーノの松もかなり立派なものですね。

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また、トラヤヌス市場の松並木のところにはローマ皇帝、シーザーの像が立っていますが、この彫像もローマの松との組み合わせでよりローマ的な風景を構成していますね。この松のあるローマの風景を見ていると初めてイタリアに行った77年の夏の太陽や風の香まで思い出すことができます。 あの大きな松には父親のような風格がありますし、もしも僕が生まれ変わって次なる命を授かることができるなら、ローマの松になって数百年、数千年をこの永遠の都とともに生きてみたいですね。

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そうそう、この松の松ぼっくりは赤ちゃんの頭くらいに大きくて、種も大きいから、これでジェノヴェーゼ・ソースのパスタを作るととても濃厚で美味しいですね。黒い墨を塗ったような硬い種の殻をかなづちや石で叩いて割ると、中から白い実が出ますからそれをすり潰して、バジリコの葉と一緒にオリーブオイルでペースト状にするわけです。ローマの郊外を歩いているとバジリコやルッコラ(ローマではルゲッタと呼ばれますが)やこれから春先はプンタ・レッラという水菜に似た野草を摘むことができます。イタリアで永住するとしたら、やっぱりローマですかね。


ナポリ民謡には日本で知られる歌がたくさんありますが、ローマにも素敵な歌があります。Roma, non fa la stupida stasera. ローマよ今夜は野暮をしないで、という歌は小野リサさんカンツォーネを歌ったアルバムに入っていて僕のお気に入りです。ローマから日本に帰るときにはいつもArrivederci Roma、ローマよまた会いましょう、と歌いながら空港へ向かいます。もちろん、トレヴィの泉には毎回コインを投げ入れて。


では、みなさん、今年もよろしくお願いします。


篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 2004年11月、ヴェネツィアで写真展(www.toshi-shino.com)を開催した。

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