シチリアの旅 その4


アルキメデ広場

パレルモを出発して西から東へ、地中海沿岸からイオニオ海に沿ってシチリアの都市や小さな村を訪ねて来ましたこの旅は今回で一応完結です。ラグーサからモディカ、ノートとバロック建築美で知られる都市を経由し、あのシチリアを代表する黒葡萄、ネロ・ダヴォラの発祥の地アヴォラを過ぎれば、シラクーサです。紀元前700代からギリシア人が入植し都市建設が始まりました。イオニオ海を望む丘の斜面には当時の古代劇場があります。町の南にはオルティージャという小さな島があり、橋で結ばれています。シラクーサは「アルキメデスの原理」の発見者、アルキメデスの生誕地でオルティージャ島の中心には大きな噴水があるアルキメデス広場や内部に古代ギリシア神殿を内包して建てられた大聖堂、美しいイオニオ海に面したプロムナードや路地など、訪れて期待を裏切られないところですね。映画「マレーナ」の舞台としても知られるようになり、近年はアレトゥーザの泉の側にエトランジェ・エ・ミラマーレという大きなホテルなどが出来たり、街のあちこちに観光客を楽しませる伝統的なパピルスの繊維を使った手漉き紙工房とかブティックが増えています。そうそう、エトランジェ・エ・ミラマーレのホテルには大学時代に日本に留学し、日本語が上手な従業員もいました。


シラクーサのドゥオーモ広場

夏は海のリゾートとして賑わうオルティージャ. 路地からイオニオ海の水平線が見える.

シラクーサを出発してさらに海岸線を東へ進むと、シチリアのもうひとつの州都とも言われる大都市、カターニアがあります。エトナ山の噴火で流れ出た溶岩の大地に築かれた都市で、町は大理石の白と溶岩を建材とした黒とがいかにもシチリアの強烈な太陽がもたらす光と影のようなコントラストを感じさせます。聖アガタを祀ったドゥオーモのファサードはまさにその石の白と黒とが組み合わされた18世紀バロックの傑作ですね。広場には溶岩で造られた黒い象を台にしたオベリスクも立っています。カターニアでもうひとつの見どころは市場ですね。山盛りにしたウニや大きなカジキまぐろをさばく魚屋や肉屋の店先には羊の頭部、牛や豚の内臓などギョッとするものも並んでいますが、インドのいちぢじくと呼ばれるサボテンの実やオレンジ、パキーノのドライ・トマトやアーモンド、ピスタチオなどシチリア特産の美味しいものが溢れています。帰りの空港はこのカターニャにあります。


レ・アンティケ・シラクーセ

グラン・カフェ・コルシーノでレモンの生絞りジュース

レ・アンティケ・シラクーセ内のエノテカ


この地方の観光地として外せないのはタオルミーナですね。素潜りで深度を競う男の戦いと友情がテーマになった映画「グラン・ブルー」の舞台としても知られていますが、イオニオ海からタウロ山の中腹にかけてギリシア人が築いた都市で、エトナ山とイオニオ海を背景にしたギリシア劇場は現存する古代ギリシア劇場の中でも最も美しいものと言えるでしょう。小さな町でメインストリートの往復には歩くだけなら30分程度ですが、夏のハイ・シーズンには軽井沢を思わせる賑わいですね。旅の最終地にふさわしく、お土産を買ったりする店もいろいろとあり、また美味しいレストランやワイン・バーなどグルメも嬉しい町です。僕がいつも行く店は町の東の門を出てすぐのアルコ・デイ・カプチーニで、新鮮な魚介を使った料理とワインリストも充実しています。値段もリーズナブルで一押しの店です。もうひとつはメイン・ストリーの中ほどの路地を入り細い階段を上がったところにあるヴィーコロ・ストレット(店の名前もそのまま”細い路地”)。3年前の取材で行ったのですが、店内に入ると想像以上に広く、屋上にもテラス席があり、春から秋のハイ・シーズンなら最高ですね。料理もすこぶる美味しいです。

シラクーサの路地 オルティージャの猫


タオルミーナの古代ギリシア劇場

タオルミーナの海岸

タオルミーナのナウマキア小路にある八百屋さん

カターニャやタオルミーナでワインを選ぶならエトナ・ロッソ、ネレッロ・マスカレーゼから造られる赤ワインはネロ・ダヴォラの男性的な力強さとは対照的なエレガントな味わいがあります。カッリカンテから造られる白もきりっとしまった味わいでマグロのカルパッチョやウニのパスタにはぴったりでしょう。さて、美しい海や田園の風景と芸術的な建築美の教会やギリシア、アラブ、ノルマンなどさまざまな文化の名残を今も感じさせる町並みと市民生活、そしてどこを訪ねても美味しいものに満ち溢れたシチリアの旅、いかがでしたか?ブログでは1%くらいの紹介でしたが、いつか読者の皆さんと一緒にシチリアの友人たちを訪ねながらこの島の魅力を存分に味わいたいですね。Ciao!


タオルミーナの画家とモデル

リストランテ・アルコ・デッリ・カプチーニ.

マグロのカルパッチョ

ウニのパスタ

スカンピのシチリア風香草焼き


カターニャの名ワイナリー、ベナンティの酒蔵


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コメント (2)

よしの:

初めまして。
4月に両親(66歳、61歳)と姉(35歳)を連れて日本からイタリア旅行へ行く31歳の主婦です。
シチリアへ12日から19日まで行く予定なのですがここだけは見ておいた方が良いという都市、お薦めの食事処、アグリツーリズモ等がございましたら是非教えて下さい。
また、レンタカーで島を周ろうと思っているのですがパレルモinパレルモoutでお薦めのコースがございましたらご提案をお願い致します。
かなり平均年齢の高い家族旅行なのでのんびりゆったりしたいと思っております。

よしの様、
4月のシチリア、とてもいいですね。お薦めの場所は、チェファルー、エリチェ、セリヌンテ、アグリジェント、
もしも足を伸ばせればラグーサですね。通常、ゆっくりと回るには少なくとも10日から2週間は必要な大きな島です。
このブログの昨年の11月にお薦めコースのシチリアを紹介していますので、参考になさって下さい。私も明後日から4月上旬はイタリアです。では、Buon Viaggio!

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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