ヴェネツィアのアックア・アルタ

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11月30日のタオルミーナ

11月末、10日間ちょっとですが、シチリアからミラノ、ヴェネツィア、そしてマルケの名ワイン、ロッソ・コーネロの郷を回って来ました。シチリアは前々回に紹介したコースで、1日だけ、シロッコが吹き荒れた大風と翌日は集中豪雨に見舞われました、全体的には素晴らしい晴天に恵まれました。その報告はまた改めてしますが、そのシチリアのタオルミーナを月30日に発ち、夕方にミラノに着いたときにはみぞれ混じりの冷たい雨。タオルミーナでは気温が23度で、日向では25,6度にもなるほどだったのに、ミラノでは8度、その気温差はなんと15度以上。ミラノは1泊で、翌日の昼にはピエモンテのネイヴェでバルバレスコを作っている友人、エリオ・フィリッピーノ夫妻とヴェネツィアに行く予定でしたが、その日も朝から小雨模様で吐息が白くなる寒さ。車で走行中のラジオのニュースでヴェネツィアではアックア・アルタ(高潮)が記録的な高さだと聞いて、エリオの奥さんのミリアムがヴェネツィアに入れるのかと心配顔。途中、パドヴァのカフェ、ペドロッキでお茶をして休憩しているうちに、外はだいぶ暗くなり午後7時近くに漸くヴェネツィアに到着。 アックア・アルタは引き潮とともにすでになくなっていましたが、定宿であるアックア・アルタ書店のルイジ・フリッツォの家に着くまでの道のあちこちには浸水で駄目になった物が積まれ、ミリアムがこれじゃまるでナポリだわとびっくり。翌朝、サン・マルコからリアルト界隈を歩いたのですが、朝、サイレンがなりまたもやアックア・アルタ警報がありましたが、この日は前日ほどではなく、既に冬の名物として知られている洪水を初めて体験するエリオもミリアムも面白がっていました。リアルトはリーヴォ・アルタ、高い岸と昔から呼ばれて洪水の被害にはあいにくいところだからこそ、ヴェネツィアの中心として発展してきたのですが、昨日ほどではないといっても、そのリアルトの大運河に沿ったワイン河岸はすっかり水に覆われています。もちろん、洪水で歩けなくなったところは歩行用の台を並べて歩道を作るので、動きが取れなくなるという心配はありませんが、回り道などは仕方ないし、もしこれが大きな荷物を持っていたりすればさぞかし不自由なことだと思います。

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11月30日の夜のミラノ

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アックア・アルタのサン・マルコ広場

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リアルトのワイン河岸

今回のアックア・アルタは一番高いところでは1メートル60センチにもなったと聞きます。1966年に記録的な高潮で大被害がありましたが、今回もそれに匹敵するほどの高さだったそうで、翌日、12月1日の新聞でもサン・マルコ広場をボートで移動するシーンなどが載っていました。実は僕も思わぬ被害を受けたのです。というのも、8月に出した新刊の「ヴェネツィア」をルイジの書店に預けてあったのですが、それが全て水没してしまいました。取材をさせてもらった80件ほどのオステリアやショップの皆さんにお礼かたがた本を届けるつもりで当初は80冊を1度に送るつもりでしたが、結局は1冊づつここに送り、住所が定かではなかったところの6冊分だけを預けておいたのが被害を受けたので、不幸中の幸いと言えるかも知れませんね。それにしても、ルイジの書店にはゴンドラやカヌーを置いてその上に本を積んで相当な重さだったのにもかかわらず、それらが上がった水で浮き上がり転覆したそうで、水というのは予期せぬ被害をもたらすものです。アックア・アルタに慣れているはずのヴェネツィアっ子もさすがに今回はその後始末でへとへとになっていました。地球の温暖化でシロッコやアックア・アルタなどもこれまで以上に強烈なものになりがちです。これからイタリア旅行を予定している方は気をつけて下さいね。といっても、何をどう気をつければいいのか分からないので、とりあえずは雨具や防寒具通常の旅支度どおりにして、肝心なのは何か突発的な事が起こっても、慌てず、騒がず、冷静に、そうすれば、シロッコの強風もアックア・アルタの洪水も日本にいては体験できない面白い現象として楽しめ、良い想い出になるはずです。

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66年の記録的な水位を示す書店のルイジ

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浸水で大混乱のルイジの書店内

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書店内のカヌーの上に積んであった拙著「ヴェネツィア」も全滅

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2008年12月1日の朝刊には156cmを記録したと報道された

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コメント (2)

佐々木無宇:

初めまして。先月19日〜24日とベネチアに行きまして、その際に篠さんのベネチア本を大変活用させていただきました。
つたない英語で話ができたお店紹介の箇所に、店長のサインをいただくといった、スタンプラリー的な使い方をしていました(滞在期間が短かったので、4点程しかいただけませんでしたが・・・)。

あの本がなければ、「ド・モーリ」のフラゴリーノに出会うこともありませんでした(ボトル売りのを買い損ねて残念無念)。大変感謝しています。またいつかベネチアに行った際には、他の紹介箇所もたくさん埋めていきたい、と思っております。

佐々木様、コメントありがとうございます。この「ヴェネツィア」の本を持ってたくさんの方々がヴェネツィアと私の友人たちを訪れているようで、私にとってもこの上ない喜びです。前作「イタリア好き」にはヴェネツィア以外にも興味深いところ、小さな町や村を紹介しています。また、このブログでも先月旅したシチリア旅行を報告しますので、どうぞお楽しみに。

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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