忘れえぬ日の出の思い出

読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。皆様は新年の朝をどこで迎えましたか?海外で向かえた方も多いと思いますが、僕はいつも日本で迎えています。今年は鎌倉で初日の出を見ました。日の出の時刻は6時50分頃、鎌倉の由比ガ浜に着くとすでに大勢の人たちが砂浜を埋め尽くしていました。昨年は何かと厳しい社会状況でしたから、やはり、新年、元日に初日の出を見ることで特別な思いを込めて新年をスタートさせたいという人たちが例年以上に多かったようです。

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Buon Anno 2009

新年にかかわらず旅先で朝日を見ると、その日の晴天を約束されたようで嬉しくなります。僕はたいがい窓のカーテンは開けたまま眠ります。東京にいると真夜中でも外が明るかったりしますが、イタリアではローマやミラノでもほとんど真っ暗になりますから、窓のカーテンを開けて、夜明けの太陽の光が窓から差し込んでくる明るさで目覚めることにしています。前日、かなりワインを飲んで遅く寝ても、朝の光、鳥の囀りで目覚めると気持ちが良いものです。
昨年の暮れに近い11月末に1週間ほどシチリアを旅して来ましたが、タオルミーナのエクセルシオール・ホテルの海を臨む窓から眺めた夜明けの様子は忘れられません。この旅では途中、メンフィという町の郊外にあるアグリトゥリズモに宿泊しましたが、その時に見た朝日は重く立ち込めた上空の雲の彼方から、あたかもギリシアのアポロンの馬車が放つ輝きのように日が昇り、草原を照らして行きました。

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タオルミーナの夜明け

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朝日に染まるエトナ山

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メンフィの朝

南イタリアで体験した日の出で忘れられないのは4年前にナポリからソレント半島を巡った時、アマルフィに滞在した時の朝日です。また、昨年の4月にバジリカータのマテーラに宿泊した時にもちょうど日の出が見える部屋でしたので、マテーラの町を一望しながら、まだ星や三日月がはっきりと見える暗い内から日の出を楽しみにしていました。ただ、あまりにも晴天で雲ひとつ無いと、太陽が地平から現れたとたんに明るすぎて、写真としてはあまり面白いものにはなりませんね。人生にも多少の陰りがあったほうが、喜怒哀楽を体験できるように、朝日もまた雲のありようで様々な変化を楽しめます。

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アマルフィの夜明け

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アマルフィの朝日

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朝日に染まるアマルフィ海岸

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マテーラの夜明け

もっとも感動したのが10年以上も前に北イタリアのマジョーレ湖から旅を始めた時の日の出ですが、朝の5時に窓の明るさで目覚めた時、対岸の山の稜線がうっすらと赤みを帯びていたので、そのまま起きてカメラを用意して眺めていると、あれよあれよと思ううちに空一面が真っ赤な朝焼けとなり、それがまた湖面に反射して、それは息を呑むほどでした。光は紅、紫、黄金と様々な色彩の変化を見せながら太陽が昇りきるまでの一時間あまり素晴らしい光のドラマを見せてくれました。

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マジョーレ湖の朝焼け 1

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マジョーレ湖の朝焼け 2

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マジョーレ湖の朝焼け 3

そして、イタリアで一番多く見て来たのはヴェネツィアのサン・マルコから大運河を望みつつ上る朝日です。四季折々、日の昇る位置や時間を変えながらも、対岸に浮かぶサン・ジョルジョ・マジョーレや日が昇る方向にあるジャルディーノの木々が闇の中から徐々に浮かび上がり、そしてサン・マルコ広場に差し込んでくる朝日の中に浮かび上がるドゥカーレ宮殿の列柱や聖テオドロと翼のあるライオンを載せた2本の柱のシルエット、やがて小広場の石畳をオレンジ色に染めながら、まさにオリエントから届けられた至上の宝物のような輝きで太陽が現れます。東洋と西欧の文化を結ぶ担い手となったヴェネツィアらしい夜明けのシーンは何度見ても飽きることはありません。ことに今頃、冬の季節に霧が立ち込めた朝などはより幻想的な雰囲気を醸し出します。

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ヴェネツィアの夜明

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ヴェネツィアの朝日

かつてヘミングウェイの作品を読んでいたときに「太陽は陽に向かって歩む者の前にのみ昇る」という言葉ありました。どんな厳しい状況や時代であっても、太陽に向かって歩む気持ちを忘れないでいたいですね。

では、皆さん、今年もよろしくお願いいたします。

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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