鳩のいる風景

1月も半ばを過ぎると、お正月気分もすっかり消えますね。特に今年は昨年から続くあまり喜ばしくない社会状況のせいか、お正月すら慌しく過ぎた感があります。イスラエルのパレスチナ攻撃ばかりでなく、どことなくキナ臭い、不穏な空気が地球を覆い始めているような予感さえします。
平和ボケとよくいいますが、良いことが続くと人間は緊張感を失い、判断力や危機感が薄れるということでしょうか。鳩が平和のシンボルとなったのも、洪水が終わり、ノアの箱舟から放たれた鳩がオリーブの枝をくわえて戻ったので、地上に再び平和が訪れたことを知ったというエピソードに由来しますが、やはり世界が常に戦火にあり、人々が平和を望んでいたからだったのでしょうね。

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サン・マルコ広場の鐘楼と鳩

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サン・マルコ広場で鳩の豆を売るマリーノさん

最近は鳩と言うと教会や家の窓辺や遺跡を汚したり、広場に溢れる鳩が飛び立つと思わず口を押さえたくなるような鬱陶しさを覚える人もいると思います。 しかし、街を歩き、ふと気がついてみると、僕は案外に鳩を入れて撮っています。猫の写真も多いのですが、ちょっと思いついて集めてみるとすぐに10や20の鳩がいるシーンの写真がまとまります。まあ、それだけ身近にいつでもいるし、雀やカラスみたいにカメラを向けてもすぐに逃げ出したりしないから撮り易いということもありますが、同時に飛翔する姿など絵になる形にも惹かれます。
これまでに撮った写真の中でも一番気に入っているのが3番目に掲載している、冬のサン・マルコ広場で朝霧の中を飛ぶ鳩のシルエットです。同じく、サン・マルコ広場がアックア・アルタで水が溢れ出してきた時に飛び立つ鳩の群れです。それぞれの鳩の翼の動きが、一羽の鳩を連続して撮ったように並んでいます。この広場ではマリーノさんという鳩の豆売りの友人がいます。僕の顔を見ると、プロセッコを飲もうとカフェ・ラヴェーナに誘ってくれます。
ヴェネツィアは鳩が多いので、中には鳩に行方を遮られて渋い顔で歩く人もいれば、子供たちが鳩を追い回すシーンは良く見かけます。しかし、鳩はやはり平和のシンボルと言われるだけあって愛されてもいるのでしょう。鳩も愛情深いのか、雨のヴェネツィアで運河を眺めながら雌鳩を見つめる雄鳩に思わずシャッターを切りました。鳩がやたら増えるのが繁殖力も強いからですね。

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冬のヴェネツィア、サン・マルコの朝霧の鳩

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ヴェネツィア、サン・マルコからカナル・グランデを眺めつつ

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ヴェネツィア、S.Aponal運河の夫婦鳩

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好きな鳩

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嫌いな鳩

昨年末、シチリアのエリチェを訪ねたとき、マトリーチェ教会の美しい薔薇窓のところに白い鳩がいて、これぞまさに平和のシンボルと思いました。南イタリア、プーリア州のロコロトンドの路地を歩いていたら、家の中から女性が出てきたと思ったらそこに群がっていた鳩がいっせいに飛び立ったのですが、その女性は感動のあまり、両手を広げて喜んでいました。
もうひとつ、お気に入りはアッシージのサンタ・キアラ教会前の噴水で撮った写真です。噴水の水の上がり方はちょっと不満ですが、全体の雰囲気と飛び立つ鳩がいいですね。これはデジカメでしたから、ブルーに発色するようにWBをタングステンに合わせて撮ったのですが、朝の空気を感じさせるものになりました。
ええ、鳩を愛する人にはもうしわけありませんが、実はイタリアでは鳩の料理も多いのです。いつだったか、コルトーナで鳩料理のフル・コースに招待されたことがありました。ちょっと、食べ切れなかったですね。鴨料理は大好きですが。

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シチリア、エリチェのマトリーチェ(母)教会の薔薇窓の白鳩

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ロコロトンドの街で

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アッシージのサンタ・キアラ教会前の噴水

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コメント (1)

YOKO:

幻想的だったり、リズム感があったり、どれもすごい瞬間!
先生の写真は、いつも音楽が聞こえてきそうなものばかり♪

「サン・マルコの朝霧の鳩」「カナル・グランデ」「好きな鳩」「ロコロトンドの街で」が特に大好きです。
って、お気に入りをひとつ挙げようと思ったのですが、どれも素敵で絞れませんでした。

いつか私も・・・

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篠 利幸

1977年初渡欧、画家としてしばらく活動後、イタリアの写真を撮り始める。書籍、雑誌等で写真と文筆の両面で活動、「田園のイタリアへ!アグリトゥリズモの旅」(NTT出版)、「トスカーナの青い空」(東京書籍)など著書多数。 新ブログスタートしました→http://blogs.yahoo.co.jp/fotombra

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