ベルガモ・アルタの田園風景
毎年、4月はヴェローナで開催されるイタリアワインの博覧会ヴィニタリー(VinItaly)に行きます。1990年からほぼ毎年行っています。イタリア各地を旅していると必然、美味しい料理と一緒に美味しいワインに出会います。するとそのワインを造っている人にも会いたくなり、トスカーナやシチリア、ピエモンテと各地のワイナリーを訪ね歩くことになり、まだ日本に輸入されていないと自分がまず飲みたいから日本のインポーターに紹介したりして、今では30社あまりのワイナリーを紹介してきました。最近、日本では農業に対する関心が高まっているのか、農業をテーマにした雑誌の特集が目立ちますが、農業は常に自然との対話が大切で、自然と上手にコミュニケーションがとれないと期待通りに農産物は誕生しません。
ベルガモのヴェッキオ広場
ベルガモ・アルタのエノテカ コッツィ

ヴェローナ市内を流れるアディジェ川
近年は自然環境破壊などの影響で天候が不順で、人間がどんなに努力をしても自然にそっぽを向かれたらだめですね。特にこの10年あまり豪雨や旱魃など極端な気候変動があり、たとえば2002年は雨が多く、翌年はイタリア全体で猛暑、旱魃となりブドウ畑の半分が収穫不能になったワイナリーもありました。しかし、そうした中でも葡萄を厳選し、その持ち味を活かしたり、幸いに大きな被害を受けなかったワイナリーからは素晴らしいワインが誕生しているのです。「葡萄は自分で勝手に育つ。人間ができることはその葡萄が育つ環境を整え、あとはイタリアの太陽に祈るだけさ」とはかつてトスカーナのワイン生産者が語った言葉です。ワインとその造り手たちの人柄に惹かれいつのまにかワインにどっぷりと浸かり、出来るだけ多くのワイン生産者に出会いたいと今年もヴェローナに出かけます。

ヴェローナの古代ローマ劇場、アレーナ
ヴィニタリー会場

ヴィチェンツァのロトンダ
イタリアがいちばん美しいと感じる季節は春から初夏の頃でしょうか。毎年、ヴィニタリーの前後にツアーを企画してイタリア各地のアグリトゥリズモに泊まったり、ワイナリーを訪ねたりしますが、今年は4月後半にもピエモンテ取材の予定があるので、ツアーの企画は5月31日から6月第1週にヴェネトを巡ることにしました。この旅のハイライトはやはりヴェネツィアで後半に4連泊もする贅沢な日程です。スタートはミラノ、マルペンサ空港からベルガモ・アルタに泊まります。ベルガモはヴェネツィア共和国の傭兵隊長だったコッレオーニの生誕地でロンバルディア州にありながら、丘の上のアルタの町並みはヴェネツィアを思わせる佇まいです。
テアトロ・オリンピコ
アーゾロ
アーゾロの居酒屋
アーゾロのパン屋さん。昔ながらの薪の石窯で焼く
それからロミオとジュリエットの物語の舞台になったヴェローナを寄り、ルネッサンス時代の建築家パッラーディオとその弟子たちの傑作が世界遺産となっているヴィチェンツァに泊まり、英国の詩人ブラウニングやアメリカの作家ヘミングウェイが愛した小邑アーゾロや蒸留酒のグラッパで知られるバッサーノ・デル・グラッパなど訪ねます。バッサーノは春の味覚白アスパラガスの特産地としても知られていますが、この町を流れるブレンタ川に架かるヴェッキオ橋、別名アルピーニ橋もパッラーディオの設計で、屋根のある広い橋の袂にはナルディーニというグラッパ蒸留所が経営する老舗のバールがあります。このバールはヘミングウェイの小説にも紹介され、彼がしばしば通ったところです。 グラッパはワインを造るために葡萄を搾った後の皮などを発酵させ蒸留したアルコールを精製水で割ったものですが、当然、この周辺にはワイナリーが沢山ありこの旅でも1軒は訪ねる予定です。

バッサーノ・デル・グラッパのアルピーニ橋、パッラーディオの傑作のひとつ

ナルディーニのバール

ナルディーニのグラッパ
そしてヴェネツィアに入る前に大学町として知られるパドヴァに寄り、スタンダールが絶賛したカフェ・ペドロッキで優雅な雰囲気を味わいます。パドヴァはヴェネツィアが衰退するまでヴェネツィアに忠誠を示したところで、オーストリア支配に対抗する蜂起があったり、それがまた1861年のイタリア統一の意識を高めた歴史があります。ここからヴェネツィアまで列車でも30分ほどで着きますが、僕のツアーでは専用バスでそのままヴェネツィアのローマ広場に到着します。

15)バッサーノ特産の白アスパラガス

春の味覚、白アスパラガス

トレヴィーゾ近郊のワイナリー、ルイジ・グレゴレット

パドヴァのプラート・デッレ・ヴァッレ広場

