プーリアの旅・その1、マッセリア・サラミーナ

マッセリア・サラミーナ
日本ではまだ肌寒く、そろそろ桜が咲き始めた頃、南イタリアのアドリア海沿岸の州、プーリアのツアーに行ってきました。料理が好きな人、美味しいものを食べるのが好きな人、ワインとお酒が好きな人、写真が好きな人など、まさに僕の企画したツアーにぴったりのメンバーです。
成田からアリタリア機でローマを経由してバーリ空港へ。到着すると旅の間をずっとバスで案内してくれる運転手のアレッサンドロが待っていました。僕も初対面、でも旅を楽しくするにはまず運転手さんと仲良くすること。シチリアのパレルモ出身でマルケのペーザロに住んでいるというアレッサンドロを荷物を積み込んでバスに乗り込むとすぐに皆さんに紹介。 旅の間も一緒に食事したり、とにかくまめなコミュニケーションで全工程順調でした。日本に帰国したら留守電にアレッサンドロからありがとうメッセージ、秋のシチリアも一緒に行こうと挨拶が入っていました。


(左)樹齢2千年のオリーブの木の前で (右)アドリア海がすぐ目の前に
アグリトゥリズモの記事を初めて発表したのは94年12月に当時、新潮社から出ていた月刊誌「SINRA」でした。その時は別のアグリトゥズモを紹介しましたが、98年にその時の取材をベースに「イタリアの田舎に泊まる」という本にまとめるときに、新たにイタリア中を歩いて紹介する箇所を増やしました。サラミーナはこの時に紹介し、さらに2003年に「田園のイタリアへ!アグリトゥズモの旅」(NTT出版)を 出したときにも紹介しました。


(左)アドリア海を望むプールに立つオーナー (右)サラミーナのシェフにより料理講習会
サラミーナの魅力はお城のような立派な建物、オリーブの林に囲まれ海を臨む自然環境、そして何よりもここのレストランの料理の美味しさです。オーガニックで生産される自家製のオリーブオイルもとっとも美味しく、現地で買えば7ユーロです。この価格、良質なオリーブオイルの現地価格としてはとてもリーズナブルですね。


(左)キターラを作ってます (右)キターラの出来上がり


(左)ラヴィオリの中身はほうれん草とリコッタチーズ (右)プーリアのパスタ、オレキエッテ
プーリアと言えば、オレキエッテという耳たぶの形と言われるパスタが有名ですが、ツアーの翌朝、さっそくシェフから料理の講習会でオレキエッテをはじめギターの弦を張ったような器具で平らに伸ばした面を切って作るキターラ、棒状にした面をナイフの先でくるりとひねり回して作るオレキエッテやラザーニャなどを作りました。通常、庶民のパスタには卵は使わないそうです。だから、オレキエッテも小麦粉と水だけ。キターラには卵を入れましたが、かつての貧しい農民には卵も貴重な食料で、特別な祝いや祭りの日の食べ物だったそうです。10時にスターとした講習会ですが、およそ2時間くらいで十数人分の料理が出来上がり、12時からランチを皆で楽しんで、午後はオストゥーニの町へ出かけました。(続く)


(左)僕が作ったオレキエッテ、ちょっといびつ (右)ラザーニャを作ります。


(左)講習会で出来上がった料理の数々 (右)友人の娘、ネネちゃんと一緒に


ピサあるいはリボルノからフィレンツェ方面へ小1時間ほど走ると、広々とした小麦やヒマワリ、トウモロコシ畑の間にオリーブの林と糸杉の立ち並ぶ典型的なトスカーナの田園風景の中に入ります。ヴォルテッラの道路標識が見えたら右折してしばらくすると右手にペッチョリの町が見え、左手には目指すアグリツーリズム、"TENUTA DI PRATELLO"

宿泊料金はローシーズンでツイン1泊朝夕食付き120ユーロ、ハイシーズンで180ユーロです。これが一週間単位だとローシーズンで720ユーロ、ハイシーズンで1,080ユーロ。


テヌータ・ディ・プラテッロの一番の魅力はよく手入れされた庭と各部屋ですね。イタリアのアグリツーリズムを知らない方が初めて来たら、これが農家の宿かと思うでしょう。もっとも、イタリアのアグリツーリズムにはピンからキリまでいろいろあって、けっこうゴージャスな居住空間のところも少なくありません。これが我が家だったらいいのになぁ・・・と、まあ、たまにはこんなところで1,2週間をのんびり過ごすのはいかがでしょう。マネージングを任されているClaudia(クラウディア)さんもとっても気さくでいい感じです。 



面白かったのはいつもプール・サイドにいる3匹の犬たちで、誰かが水に飛び込むとけたたましく吠えながらプールの周りをくるくると駆け回るのです。それを見ているだけでも可愛くて滑稽でした。 









シチリアの第2の首都と言われるカターニアから西へ30分ほど車で走ると“アルカラ”というオレンジ農園のアグリトゥリズモがあります。22ヘクタールの土地には見慣れたブロンド種のオレンジやシチリアならではの中身が赤いタロッコと呼ばれるオレンジの他に、マンダリン、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類を種に栽培している農家です。僕がここを始めて訪れたのは94年の9月でしたが、昨年の8月に久々に訪ねました。季節的にはまだオレンジが熟れて実ってないのですが、レモンの中には夏に実るものもあり、またオレンジとマンダリンを掛け合わせたものなどもあります。
アルカラには4棟のアパートメントがありますが、いずれも自炊できるアパートメント形式です。しかし、時にはここを訪れた観光客の人たちがそれぞれの手料理を持ち寄って、かつてワイン蔵だったところで一緒に食事を楽しむこともあります。
昨年の8月に訪れたときにはすでに実っていた早生種のレモン。以外に甘味があり、果汁を炭酸水で割って飲むと疲れがいっきに消えました。








イタリアでもトップランクのオリーブオイル。オリーブオイルの品質の高さを示す目安となる総合酸度が0.10%以下という驚異的な数字です。殺虫剤など農薬を使用しないオリーブ園は標高300mの丘陵にあり、11月までに収穫され、48時間以内に搾油されます。非常に繊細でエレガントな味わいながら1,2年を経過しても風味が変わらないのは酸度が低いからこその高品質だからです。
サンタ・ヴィットリアが生産するワインの代表的存在、グレケット種で作られる白ワイン。その他の白ワインにはトレッビアーノ、マルヴァジアがあります。赤ワインにはサンジョヴェーゼ種、カベルネ・ソーヴィニョン種、メルロ種、ネロ・ダヴォラ種を使用した赤ワインがあり、いずれも秀逸です。
「ワインと食」のところで、フィレンツェ郊外にあるカステッロ・デル・トレッビオを紹介しましたが、ここでは素敵なアグリトゥリズモも運営しています。イタリア語でアパルタメントと呼ばれる一軒やをまるまる借りて自分の別荘のように数日間、あるいは数週間を過ごします。欧米ではバカンスと言えば最低1~2週間、長ければ1ヶ月以上も休暇を楽しむことができます。そんなわけで、アグリトゥリズモのほとんどは1週間単位で予約することを基本条件にしているところが多いのですが、週末の金土日なら3泊でもOKという場合もあります。 

それから言葉が心配と言う方も多いと思いますが、ほとんどのアグリトゥリズモでは英語を話せる人がいます。カステッロ・デル・トレッビオでも問題ありません。ぜひ、次回の休暇はトスカーナの田園の中で過ごしてみてください。詳細はサイトでどうぞ。
イタリアの魅力はローマやフィレンツェ、ミラノといった大都市ばかりではありません。むしろ、その大都市の周辺に広がる田園やそこに点在する小さな町や村にこそ、イタリアのほんとうの味わいがあるのだと言えます。そうした田園の魅力や郷土料理を存分に味わえるのがアグリツーリズムです。
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