ポルトフィーノの朝、カモッリの夕陽
●映画スターや世界の著名人がバカンスを楽しむポルトフィーノ
リグリア海岸はローマ時代からその複雑に入り組んだ入り江が軍港としても重用されていたが、平和な時代には風光明媚な観光地として内外の旅行者の関心を惹きつけてきた。近年、世界遺産に認定される場所が注目を浴びるようになり、リグリアでもポルトヴェネレやチンクエテッレに憧れる観光客が急増しているが、その昔はポルトフィーノが憧れの海浜リゾートであった。ローマ人は「ポルトゥス・デルフィーニ、イルカの港」と呼び、今はポルトフィーノと変わったが、その名前の響きからして美しい場所を想像させるではないか。カンツォーネに歌われ、映画の舞台となり、世界中の著名人がここに別荘を持ち、あるいは優雅な長期バカンスを過ごした。シーズンともなれば所狭しと湾内には豪華なヨットやクルーザーが係留され、岸辺にはブティックや画廊が並び、お洒落な観光客たちが幸せに満ちた笑顔で散歩する。
耳を澄ますと、英語、フランス語、ドイツ語がイタリア語と同じくらい聞こえてくる。フィレンツェやミラノと違って日本人を見かけるのは極めて稀。ヨーロッパから近いので、日本人のハワイ旅行的な感覚でドイツ人もフランス人も訪れるのだろう。ローマ時代、中世、近世そして現代へとこの港の支配者が変わり、第二次世界大戦後はイタリアで一番リッチで華やかなリゾートになったが、現在ではサルデーニャやスペインなどに人気が移っているらしい。それでも、この町を歩くと優雅な気分になる。もしも1日しか予定がなくここを訪れるのなら日が翳る午後ではなく午前中が良いだろう。昔も今もイタリアや外国からの訪問客が絶えない港町である。

ブラウン城の窓から見下ろすポルトフィーノの入り江

あいにくの雨天であったが、カラフルな家並みの港には明るさがある

1993年に撮影した写真。現在も大きな変化はない

16世紀に建てられたブラウン城。城の中にはこれといって目ぼしい陳列物があるわけではないが、壁面のあちこちに飾られた往年の映画スターや著名人の写真を見て歩くのは楽しい


ブラウン城の階段の壁面はカラフルな装飾タイル貼り

いつの時代かの説明もない祭壇画

古い箪笥

1958年7月14日、ポルトフィーノの岸を歩くマルチェッロ・マストロヤンニ

サンタ・マルゲリータ・リグレのホテルのソフィア・ローレン

ジェノヴァ港に立つアーネスト・ヘミングウェイ

港からブラウン城を見上げる

浜から眺めた家並み

バカンスシーズにはまだ少し早いが観光客は少なくない
■漁師町の生活感に親しみを感じる高級リゾート、カモッリ

カモッリの町の入口にあった絵タイルの地図
●リグリア沿岸の町で一番好きな街はどこかと聞かれたらカモッリと応えるだろう。ポルトフィーノよりも生活観があり、サンタ・マルゲリータ・リグレよりこじんまりとして密集した感じがヴェネツィアの路地を歩く雰囲気にも似ている。海岸線から街の中に入ったり出たり、いろいろな表情を見せてくれるので写真や絵画のモチーフとしても楽しい街だ。
地名の語源の一説にはカモッリは「カーサ・ディ・モッリエ」即ち「妻の家」の意味で、漁師が港へ戻るときに色とりどりに塗り分けれた家々を見て、自分の妻が待つ家を目印にしているという、これもヴェネツィアのブラーノ島などでも聞いたような話と同じ話がある。また、ギリシア植民地時代にギリシア人が「“cam”=低い、“gi”=土地、すなわち“低い土地”」と呼んでいたのが語源とする説もある。
土地の歴史を辿れば先史時代まで遡るそうだが、ギリシア人やローマ人に支配された時代以降の流れはポルトフィーノやサンタ・マルゲリータ・リグレと同様の歩みを辿っている。20世紀の初頭までは鄙びた漁村であったようで、徐々に海岸線に沿って住宅群が建設され、道路整備や航海学校や船員施設が建設されるなど都市機能が改善され、マルゲリータ王妃や著名な文学者のダンヌンツィオが滞在するようなホテルも生まれた。現在ではポルトフィーノやサンタ・マルゲリータ・リグレに並ぶリゾートに発展しているが、港周辺を歩けば親しみのある市民的な空気が漂い、漁村の素朴な味わいもあり、スノッブなポルトフィーノなどより親近感が持てる街である。

1990年に撮影したカモッリの港

網籠越しに港風景を撮る

2010年4月撮影の港

13年前に撮影した時は網籠だったが昨年はこんな網になっていた

湾に沿ってこんなアーケードの道もある。街の構造の変化も面白い

港の防波堤の上には赤錆びた昔の大砲らしきものに網や漁の道具が結び付けられていた

以前来たときに食べたことがあるトラットリア“da Paolo”が移転して開業したばかりの場所に出会った

左の写真を貼った壁紙の部分、実は“da Paolo”のトイレ。広くはないが居心地は良い空間だ

カモッリも漁港だけにどの店でも魚介料理にハズレはないだろう

イカ墨を練りこんだスカンピのパスタをサーヴするパオロの奥さん

ムール貝やアサリ、海老など魚介がふんだんに入った海の幸パスタ

アンティパストも鰯のマリネやから揚げ、蛸のマリネなどが美味しいのは当たり前だが、この真っ赤な完熟トマトが更に美味しさをアップさせた

毎年5月に開催される漁師祭りで振舞われる魚介のから揚げを作る大きなフライパン。これはかつて使われていたもの。カモッリの観光振興会情報によると横浜にこれをコピーしたものがあるそうだ。自分はまだ見たことはないが

海岸は玉砂利。奥にサンタ・マリア・アッスンタなどの教区の建物が見える。

晴れていれば夕陽が美しいスポットだが、昨年の訪問時は小雨だった。それでも子供たちはサッカーに興じていた

晴れていればこんなに素敵な夕陽が楽しめるカモッリ

真冬でもカモッリの夕陽は恋人たちを熱く包み込む







































































































































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