ティキに守られる家


ハワイアン夫の実家はティキ像だらけ、というところまで、前回はお話しました。今回はその続きを少し……。

夫のハワイアン叔父は、米本土の大学ではマジメな彫刻を教える教授でしたが、趣味の世界では、もっぱらティキ像を彫っていたようです。ハワイ州庁舎やハワイ大学でもティキ展? を開いたりして、ティキに燃えた彫刻家だったよう。ハワイ滞在中はハワイ大学でもクラスを持っていたので、主人のハワイアン母もそのクラスを手伝いながら、ティキ像を彫るようになりました。

そのため、それを見ていた夫も、子供時代、庭で3つも4つもティキ像を作ったそうです。変な子供ですよネ! 子供がティキを彫っているシーンって、ちょっと怖かったりして……。

そんなワケで、主人の実家はティキ像に溢れています。高さ2mはありそうな大作(上の写真)、30センチほどのティキなど大小のティキがその辺にゴロゴロ(あ、ゴロゴロ……なんて言ったら罰が当たりますね!)。食器棚の中にも、陶器のミッキーマウスやサンタさんと並んで、高さ10センチほどのミニチュア・ティキが並んでいるという具合です。

初めてそのティキたちを見た時は、「わ~、素敵!」と思った私。そのうち、「でもちょっと怖くない? ティキに埋もれた家なんて」……なんて感じたりして。でも、夫の家族にとっては、ティキはあくまでも守り神。カウチポテトで、居間のソファーでいつも寝ている義兄なんて、ソファーの横に佇むティキを、「このティキなんて、僕の友だちって感じサ」と語っていました。どうも本気のようです……。

夫の叔父の手によるティキは、どれももう古いものばかりですが、見る人にはちゃんと価値がわかるようです。たとえば……家のガレージに、槍のようなスティックの先に付いたティキが、何体か置いてあります。ニスが剥げてしまって古~く見えますが(下の写真)、細部を見るととても美しいんです。そのためある日、家にやってきた水道工事の業者さんが、工事を終えると言いました。


「代金は、このティキで払ってくれてもいいんだヨ」

ハワイアン母が、きっぱり断ったのは言うまでもありません。

ちなみに、(話は唐突に変わりますが)ビショップ博物館にも、多数のティキが展示されてますネ。その説明書きを読むと、「○○の洞窟から発見された」とか「△△の地中奥深く埋まっていた」「××の溶岩平原で見つかった」といったものがすごく多いんです。ようするに、ある時期から大切に隠されていたというわけ。

……カメハメハ大王の死後、政治の実権を握った妻のカアフマヌ女王は1819年、女性差別も含む多様なタブーで社会を仕切っていたハワイの原始宗教を否定すべく、ハワイ全島にヘイアウ(神殿)やティキの破壊令を出しました(その後ハワイは悪い意味で激動の時代に入り、白人勢力に乗っ取られていくのですが)。その際、神官カフナや庶民が、大切なティキを隠し、保護したお陰で、ごく一部のティキが生き延びたというわけです。今度ビショップ博物館に行ったら、皆さんもこうした古代のティキを、じっくり見てきてくださいね。こうして何とか生き延びたティキがあるお陰で、ティキ文化?が未来へと続くわけですから、機転を利かせてティキを守った昔々の人々に、深く深く感謝です!

コメント (6)

ぴんくうさぎ:

桜子さん!こんにちわ。

私はビショップミュージーアムには行った事はありますが、正直ティキのことは覚えていません。今回こちらのプログを読まなければきっと北海道のニポポと同じ・・・と勘違いしたままでした。

では、また来ますね♪

ホクラニ桜子:

ピンクうさぎさん、初めまして!
ビショップ博物館の展示物は時期により変わりますが、木彫りのもの、石のもの、羽でできたもの……といったティキが展示されてます。あそこもマリタイムセンターのように、日本語の解説テープをヘッドフォンで聞きながら回れたら、さらに楽しいんですけどね~。
でも日本人ガイドさんによる無料ツアーも、結構内容がまとまっていてオススメ。まだでしたら、一度参加してみてはいかがでしょうか?

みなみ:

はじめまして。

陶芸(「みなみの陶芸」というHPをやってます。よければ見てください。)で
「ティキを作ろう」と思って色々探しているうちに、ここにたどり着きました。

また、ティキの詳しいお話やティキの色々な画像楽しみにしてます。

ホクラニ桜子:

みなみさん、初めまして! 陶芸家の方なんですね。
ティキにもいろいろなタイプがありますよね。なんか頭の上の部分が長~いのや、人間の髪を植えてある怖~いのやら……。研究中の方がいると知っていたら、もっと実家で写真を撮ってくればよかったです。
みなみさんも、今度ハワイに実物を見に来てくださいね~。 

makena:

JUNさんはオアフ島で美しいティキ像を購入出来る場所、Master Carver(s)を
ご存じないでしょうか ?

私はマウイ島キへイ市で仕事をされているMaster Carver、Tevita Lotoaatu氏の
ファンでマウイ島へ行くたびに氏のティキ像を入手して来ます。

氏の手によるティキ像は細部の美しさ、というよりは全体的に流線的な美しさが
あるように思います。

JUN:

マケナさん、ALOHA!
オアフで本物のティキを買える店、正直言ってよく知らないのです。
観光チックなのはよく見るのですが…。
アーティストによるティキ、恥ずかしながら知識がありません。
お役に立てずごめんなさい!
何かわかったら、逆に教えてくださいませ。お願いします。

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ハワイ在住15年目。ネイティブ・ハワイアンの夫と小学生の息子&娘の4人家族。何よりもハワイアンカルチャー、ハワイの不思議世界が好き。

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