続ハワイの豚の神って?

まず初めに訂正から……。ハワイの豚の神について書いた前回、文末に「1999年前の日曜日にこの滝で起きた惨事」ウンヌンと書いたのですが、スミマセン! 1999年前でなく、7年前の1999年に起こった出来事を言いたかったのでした。そんな大昔に何が起こったの? と思った方も多かったでしょうネ。訂正してお詫びします。

今日はその続き。(いよいよ)1999年5月9日、母の日の日曜日に起こった惨事についてお話しましょう。

豚の神様カマプアアの本拠地である聖地セイクリッド・フォールズは、現在ハワイ州立公園になっています。雄大な滝を中心にした緑深い渓谷は、人気のハイキングコース。地元の人々はもとより観光客多数も、セイクリッド・フォールズをよく訪れていました。

そんな滝の周辺が約100人のハイキング客で賑わっていた、1999年5月9日午後2時半のことです。のんびりくつろいでいたハイキング客の頭上で突如轟音が鳴り響き、無数の巨岩が渓谷を転がり始めました。落石です! 高さ150メートルもの石場から、時速100キロ以上のスピードでたくさんの岩が転がり落ちてきたのですから、これはたまりません。滝壷の周りには身を隠す場もなく、人々は悲鳴をあげて逃げ惑ったそうです。結局8人が死亡し、50人以上が負傷。中には大きな岩の下敷きになり、何日も遺体が見つからなかった女性もいました。

この日は母の日のパーティがあったので、ハワイアン夫の実家にいた私たち。夕方のTVニュースでこの事故を知り、一同、大ショックを受けたことを覚えています。美しく晴れた日曜日、それもハッピーな日であるはずの母の日に、聖地でこんな事故があるなんて……。

事故以来、州立公園は閉鎖され、今も立ち入り禁止が続いています。その後「落石の可能性を察知し、しかるべき処置を取らなかった」という理由で、ハワイ州に対する集団訴訟も起こされました。ハワイ州が被害者と遺族に850万ドルを払うことで決着したのは、数年後のことでした。

ハワイ州がこの裁判であっけなく負けたのには、こんなわけが……。実はセイクリッド・フォールズは、古来、落石の多いことで知られていたのだそうです(私は知りませんでしたが)。一部のカマプアア伝説にすら、その事実が登場するとか。前回、「大昔は渓谷の入り口に見張り番が立っていて、女人禁制。足を踏み入れた女性は死刑になった」と書いたばかりなのですが、渓谷の入り口に見張りが立っていたのは、何も神聖な土地だったからという理由ばかりではなさそう。落石の危険があったから入場を規制していたのだ、と解釈する人もいるそうです。

それなのに。ハワイ州政府は(渓谷を保護しようという目的があったのでしょうが)ここを州立公園として定め……つまり人々の憩いの場やリクリエーション地区として渓谷を開放し、結果的に大惨事を招いてしまったことになるわけで。う~ん、やはりハワイ州に過失があったと言われても、仕方なさそうですよネ。

今もセイクリッド・フォールズ州立公園の再開放を求めて政府に働きかける人はいるようなのですが、やはりここは古代ハワイの例にならって、何人も足を踏み入れないほうがよさそう……。セイクリッド・フォールズが聖地ならなおさら、カマプアアをはじめとする多くの神々が、「そっとしておいてくれよ」と願っているのかもしれませんからネ。落石事故も神々が起こしたのだ、というつもりは毛頭ありませんが……。

コメント (10)

BIG-JIN:

はじめまして。ハワイ島在住のBIG-JINと申します。毎回楽しくブログを拝見させてもらっています。ハワイの歴史、神話をディープに知る事ができ、普段ガイド業をしている僕にとってすごく勉強になります。今回の記事も続きが見たく、深夜、ツアーから帰ってきた後も覗いてしまいました。ところで、フムフムヌクヌクアプアアの件ですが、以前僕はカラエ(サウスポイント)で釣り上げた事がありますが、「ブーブー」と鳴いていましたよ。ではでは、これからもちょくちょく覗かせていただきます。

ホクラニ桜子:

ビッグ・ジンさん、こちらこそ初めまして!
いつも読んでいただいてるなんて、恐縮です~。ビッグ・ジンさんのハワイ島ネタも、楽しく拝見させていただいてますよ。これからもよろしくお願いします。
さてさて、ビッグ・ジンさんはフムフム…を釣り上げたことがあるのですかぁ? そしてホントにブーブーと鳴いていたと? こ、これは驚きです! ちょっと恐ろしい気もします……。フムフムに鳴かれたら、釣ったほうも困っちゃいますよねえ?
実は先週日帰りでハワイ島に行ったとき、プナのロミロミ・スペシャリストのデイン・シルヴァさんに会い、ビッグ・ジンさんの話になりました! 偶然ですね。

ひろ:

シークレット・フォールでの事故やその後の動きについては、今でも時々報道されていますね。行ってみたい気もしますが、聖地はそっとしておくのが我々にも神さまにもいいのかもしれませんね。それにハイキングは苦手ですので、オープンしても行けないかもしれないし(苦笑)。

SONOKO:

手をつけてはいけないところだから危険なのか、危険だから手をつけてはいけないのか、どちらも正しいのでしょうね。神聖な場所は踏み入ることの出来ない場所にあって当然ですもの。日本の屋久島や白神山地は木に包まれたい私には憧れの地。どちらもその気になればすぐにでも行くことができる所ですが、躊躇するの。とても神聖な気がして行きたいけれど行けない。ホテルもあるしガイドの用意もある、でもず~っと迷っています。謙虚な気持ちに誰もがなる木の下、その木が古代から生き続ける場所に立つって何だか申し訳なくて「ごめんなさい」な感じなの。桜子さんにお話を聞いたハワイの神聖な場所はそこに立つことなく少しだけ近くからそっと感じさせて戴ければと思いますね。そ~っとそ~っとの旅をしたいと思ってます。

COZY:

神聖な場所として祭れば他の人が極力入らず、余計な命が失われることが無くなる事を古代ハワイアンたちは知っていたのかもしれないですね。
しかし、記事を読んで神様がそっとしておいてよとお考えになった解釈するのはあながち外れじゃないんじゃないかと思います。
色々なものが進歩、発展し今までいけなかった場所や地域に人が踏み込んでいくことが必ずしも全て良いことじゃないと思えるんです。
自然のまま触れずに取っておくべきもの、大事にして行かなきゃならないものもこの世にはたくさん有りますね。
それを全て掌に乗せたぞと言う様な考えは明らかに人間のおごりだと思います。神が怒ったとしてもなんら不思議は無いと思うのは私だけでしょうか?

ホクラニ桜子:

ひろさん、こんにちは~。
やはりあの事故は、ハワイ住民にとって衝撃的でしたよね。
そういえばハワイ住民の被害者は出たのでしたっけ? 出なかった?
今後オープンしても、私も行かないでしょうね……。
古来落石の多い場所なら、これからもそういうことがあるでしょうからね!

ホクラニ桜子:

そのこさん、ALOHA!
数百年も数千年もそこにあるものの前に出ると、畏怖を感じますよね。
そのこさんもブログで書いてらしたように、江戸時代からずっとそこにある石などもその例ですね。
そういったものにも、きっと、敬意を持って接する分にはいいのでしょうが、
「征服した!」なんて神を恐れぬことを考えたとたんに、罰とかがあたったりして?
でもそのこさんのように自然を敬い、おのれの立場を知る人間なら、きっと自然も歓迎してくれそう。ハワイの霊場、聖地にしてもしかり、だと思いますよ。
屋久島の巨木、私も一度見てみたいです。

ホクラニ桜子:

コージーさん、こんにちは!
そうですか、コージーさんも「神の怒り説」を支持なさるのですね?
亡くなった方々に何の罪はないけれど……こういう天災って、やはり、天罰の要素があるかもしれません。
だからこそハワイアンは、見張りを置いてまで、渓谷を守ったのかも?ですね。
人類未踏とか、一番乗りとかっていう表現は、もうそれだけですごく驕りの響きがあるのかも。
やはりこの世には短気な神様だっていますからね!
時々ガツーン!とやりたくなるのかもしれません。

tiki:

桜子さんALOHA!
みなさんのコメントに納得です。実はワークショップでペレに会いに行くという事で
スカイホールまで旅をしたのですが、足を踏み入れる前に先生より注意があり、
「神聖なところへ足を踏み入れる時や儀式を行なう時、流血に見舞われることが
よくあります。失礼のないように、そして感謝とリスペクトを誓いながら心してお邪魔
するように」と。

この旅はわたしたちとって「イニシエーション」の要素をはらむものでした。
まずハレマウマウでフラやオリ、ペレの好きなジンなどの供物を奉納し
旅にでましたが、「女性の日」に突然なった人や転んで流血した人などが
続出でした。私も転んで手首を切り、流血。

こんな出来事も合わせて考えてみると、そうそう簡単に聖地に立ち入っては
いけないのだな~と思います。

ホクラニ桜子:

ティキさん、こんにちは~。
ティキさんの体験談、怖いです! 神聖な場所で流血アクシデントがよくあるとのこと。
「ペレを怒らせたカメラマン」で書いたようなことが、しょっちゅう怒っているんですねえ。
こうなると、キラウエアに子連れで行くのが怖くなったりして……。
聖地は、やはり聖地。気を引き締めて出かけましょうね。

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ハワイ在住15年目。ネイティブ・ハワイアンの夫と小学生の息子&娘の4人家族。何よりもハワイアンカルチャー、ハワイの不思議世界が好き。

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