
古代ハワイアンが文字を持たなかったのは、皆さんもご存知ですよネ。「初めてハワイアンが文字を持った日」で書いたとおり、ハワイアンは歴史や天変地異などすべて重要な出来事を、チャント(詠唱)に盛りこんで後世に伝えてきたわけで。特に王族一族に関しては、家系図をはじめさまざまな事実が、しっかり記録されていたようです。
18世紀のハワイアン歴史家カマカウによれば、王族の生まれた日や場所はもちろん、どこでへその緒が切られ、どこに隠されたか。胎盤はどこに捨てられたか。そして王族が死ねば、どこに埋葬されたのか。こと細かくチャントに残されたのだそうです。ハワイ諸島のなかでもオアフ島とマウイ島は、王族一族に関する歴史的事実がしっかり残されていることで有名なのだそうです。
そういえば17世紀のオアフの大酋長、カクヒヘヴァについての古いチャントにも、その出世の地としてオアフ島ワヒアワのクーカニロコ(産みの苦しみを和らげるとされる岩があり、王族女性がここで出産しました)の名が謳われていましたっけ! カクヒヘヴァに限らずそれぞれの王族について、こうした人生の重要な出来事が数百年も後世へと伝えられているなんて…。口承伝承を続けてきた昔の人々というのは、ホント、すさまじい記憶力の持ち主だったんですねえ!
…これはハワイの例ではなくて恐縮なのですが。先日メラネシアのバヌアツ共和国(旧ニューヘブリデス)について読んでいた時、面白い事実にぶつかりました。バヌアツもハワイ同様、大昔は文字を持たず、口承で文化・歴史が伝えられてきた島です。バヌアツにはロイマタという偉大な酋長がいたとされ、1265年頃亡くなり、ある無人島に埋葬されたという言い伝えがありました。
そして1967年。フランス人考古学者がロイマタが実在の人物だったかどうかを知るため、無人島で墓を調査したいと申し出、許可されました。すぐに考古学者は墓を発見。それもロイマタだけでなく、伝説で伝えられたのと全く同じ、47人の遺体が発見されたのです! 伝説はロイマタとともに「46人の会葬者が同じ場所に生き埋めにされた」と伝えていました。それが正しかったわけですね!
しかも放射線炭素によって、それらの遺骨が埋められたのは、1250年から1300年にかけてだったことも判明。つまり、700年も前の口承伝承の内容が、きわめて正確だったということになります。
日本人は常に文字により故事を学んできたので、口承伝承ってどんなもの? 口づてで何世代も歴史を伝えるのは不可能、電報ゲームのように内容が変わってしまうんじゃない? と思いがちだと思うのですが。バヌアツの伝説が示すように、どうやらそうとも言いきれないようですね! きっとハワイのチャントに伝わる歴史も、まるで古い書物を紐解くように詳しく古代の生活を伝えてくれているのだ、と私は思います。
こんなことを考えると、「いつかハワイ語を勉強したいな~」という夢が再びムクムクと頭をもたげるのですが…。古代ハワイアンが残した言葉そのままで歴史を学ぶというのは、シェークスピアの文学を原書で楽しむようなもので、もしできたら素晴らしいことですよね! さあ、その夢はいつ、実現するのでしょーか?


コメント (4)
こんにちは!
チャントは、何時どんな時に何処で詠われるのですか?やはり教会なのでしょうか?
口承伝承というと、今では伝統芸能など、芸術分野しか思いつきませんが、そういえば身近な生活の知恵として「はじめチョロチョロ中パッパ、赤子が泣いても蓋取るな」とかも、その中に入るのかな?(笑)
投稿者: マーサ | 2007年01月22日 16:54
日時: 2007年01月22日 16:54
マーサさん、こんにちは~。
現代ではチャントは、宗教的な儀式や王族にまつわる集まりなど、さまざまなセレモニーで披露されている感じです。またパーティでゲストを歓迎する時や、イベントがスタートする時などにも。まさにお祈りを捧げる感じですね。
古典フラも、チャントに合わせて踊られるものですし…。
ですが、逆に教会のなかでチャントを聞くのは少ないかな?
投稿者: ホクラニ桜子 | 2007年01月23日 07:33
日時: 2007年01月23日 07:33
桜子さんALOHA! 私ものすごくチャントが好きなんです。チャントやオリを聞くと
よく涙が出ます。メリーモナークのDVDなんかは泣きながら見てます(笑)
ちょっと前にはじめてオリをやりましたが、簡単なものでも覚えるのが大変でした。
クムフラともなると何種類も覚えなければならないでしょうから、ハンパなく大変
でしょうね。想いのこもった言葉って感動しますね(^^)
投稿者: tiki | 2007年01月25日 19:23
日時: 2007年01月25日 19:23
ティキさん、こんにちは~。
チャント、聞くとなんか鳥肌が立ちますよね! 声に力、艶のある方のチャントが、私は好きです。
自分でチャントを勉強する…難しそうすぎて、想像もつきません(笑)。
クムフラだって実はハワイ語堪能でない人が多いようですから、さぞさぞ皆、苦労して学んでいくのでしょうね。言霊がこもるレベルにまで達するのは、並み大抵の苦労ではないでしょうネ。
投稿者: ホクラニ桜子 | 2007年01月26日 04:47
日時: 2007年01月26日 04:47