ヤシの木のお伽話

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先日訪れたハワイ島ヒロのファーマーズ・マーケットでは、ヤシの木の実(採れたて?)もどっさり。お値段はひとつ$2。初めてヤシのジュースを飲んだ息子は、ムム? とちょっと複雑な表情でしたけれど、少しこってりとしてほんのり甘いそのジュース、私はけっこう好きでしたヨ!


ハワイ語でヤシの木はNiuニウと言います。ポリネシア、いえ、あらゆる南洋の国々で珍重されてきた「命の木」であり、飲料&食物としてはもとより建築材料、薬にと、生活全般で活躍してきました。あるスリランカ出身の女性も、「私の国では、子どもがひとり生まれるたび、親が庭にヤシを1本植えるのヨ」なんて言っていましたっけ。


そんなこともあって、世界各地にヤシの木に関わる伝説が実にたくさんあります。たとえばトンガには「ヤシの実はこうしてトンガにやってきた」というお伽話があり、グアムには「グアムにはなぜこんなに多数のヤシの木があるか」、クック・アイランドには「この世初のヤシの実はこうして誕生した」という伝説があるといった具合。伝説をざっと見ていくだけで、各島でいかにヤシの木が大切にされているか、なんとなくわかる気がしますネ。


もちろん、ハワイでもヤシの木の伝説はいろいろ。有名なものとしては、天国まで届く魔法のヤシの木の伝説があります。あるボウルの下に、ヤシの木が隠されていました。ある時ハワイの女王がボウルをヒョイとのけると…あら、不思議! ヤシの木はぐんぐんと伸びて行き、天国にまで届いてしまいました。そこで女王は木を伝って天国に行き、亡き祖父と楽しく会話した…というお話です。


天国ではなく、タヒチまでグングンと伸びていったヤシの木の話もありますよ。ある日ハワイの女神ヒナと神クーの間に男の子が生まれました。クーはその後、故郷のタヒチに帰っていましたが、男の子はどうしてもお父さんに会いたい、と母に懇願。すると母は彼らの祖先であるとされる、タヒチのヤシの木に祈り、チャント(詠唱)しました。


「私たちの先祖であるヤシの木、タヒチの命の源であるヤシの木よ。どうか助けてください」


するとふたりの前の地面から、緑の若芽が吹き出し、木になりました。それはヤシの木でした。ヒナは息子に木に登るように告げると、さらにチャントを続けました。ヤシの木はそのままグングンと伸びていき、ついにはタヒチへ。息子は木に伝ってタヒチに渡り、無事、父に会うことができたのだそうです。


ちなみにヤシの木は一般に高さ30メートルにもなり、寿命は70年ほど。なかには数百年生きるヤシもあるそう。ヒョロリとしているけれど空に届きそうなほどに成長するヤシの木を見て、ハワイアンはいろいろと夢想したんですネ。「ヤシの木に登って神の国まで行けたなら」とか「祖先の地であるタヒチまで行けたなら」などなど…。


この事実もまた、ハワイアンにとってのヤシの重要性を示しているようで、ユニークですね!


古代ハワイでのヤシの役割ですが、ヤシの木は1本丸ごとムダが出ないほど、さまざまな用途で用いられてきました。


その果肉はもちろん食糧に。若いヤシの果肉はカスタードクリーム状、次第にチーズ状、最終的には固くなりますが、ハワイアンは各段階の果肉とも大好きでした。


加えてヤシの実はハワイアンに、無菌で子どもにとっても100%安全なジュースも提供してくれます。海の民であるハワイアンにとり、航海中に清潔な水分を確保できることは大切ですから、ヤシはまさにハワイアンの命綱でもあったわけですね。うちの息子だって、もしも遠洋航海中に喉が渇いたら、ヤシの木のジュースに飛びついたハズです!


さらにはその葉でハワイアンは籠を編んだり、家の屋根を葺いたり。葉の茎の部分は紐代わりに。そしてヤシの実の殻は器として大活躍。小さな花がたくさん集まった枝は、熊手のようにも使われました。幹は大小の太鼓の材料にも。


ハワイにこれだけヤシの木が生えているのも、なにも島に南国情緒を与えるためではなく、昔はそれだけの理由はあったわけですね~。ヤシの木バンザイ!

コメント (8)

ヤシの木はハワイに限らず南の島々の風景・生活には欠かせない植物だと思いますが、楽しい伝説があるのですね。
ハワイの場合は民族移動の際にもたらされたのかな、それ以前から自生していたとしても不思議ではないですが。

JUN:

ひろさん、ALOHA!
どうもヤシの木は、マルケサスの人々が最初にハワイに移住した際に、もたらされたようですヨ。
島崎藤村の詩にもあるように、ヤシの木はプカプカ海に浮かぶのであちこちの島に自然に流れ着きそうなものですが、南海の孤島?ハワイは、ほかの島から距離がありすぎて、ヤシの木がサバイバルできないであろう、というのが通説のようです。
とはいえ、本当のところはわからないですけどね~。

SONOKO:

「ジャックと椰子の木」フフ、登ってみたい。天国に着いたら誰に会おうかと考えるのも楽しいですね~無菌のジュース、正しいな~。その場所にあったものを口に入れていれることが一番自然なのでしょうね。子どもにも安心な椰子のジュース、一人で感動しています。

JUN:

そのこさん、こんにちは~。
ジャックとヤシの木なんて、うまい!
このお伽話は、まさにその通りですね。お盆には逆に、あの世からハワイアンの先祖がヤシの木を伝って降りてきたりして…。
そのこさんもハワイでぜひ、ヤシの木のジュースをご賞味くださいませ!

tiki:


古代のハワイアンにとって「天」とこの世は
ものすごく身近でいつも傍らに寄り添っている感じ
だったのでしょうね。故人とも気軽に交信できると
いうような。本来あるべき姿なのでしょうね。
ヤシのジュースやカバはまだいただいたことが
ありません。日本ではヤシジュースが中華街で
売られている時期がありますけどね。やはりいただく
ならハワイでいただきたいです。

JUN:

ティキさん、こんにちは~。
あの世とこの世が近かった、なんて素敵ですねえ。古代のハワイアンは、「幽霊見た!」なんて飛び上がって驚かなかったのかも? 
ヤシのジュース、中華街で買えるのですか? 私は横浜出身なのですが、やはり中華街でのヤシ経験はなし。
やはりハワイで初体験してよかったです~。

COZY:

2ドルかぁ。
年末、おせちの買出しに行った時に近所のスーパーで見っけて買ったヤシのみは
600円でしたから倍以上ですね。
ハワイで飲んだ時、売ってる人が簡単に剥いて中の実に鉈で割れ目を入れて出して
貰ったのでそのつもりで自分で剥いたら、まぁ、剥けない、剥けない!
真冬なのに大汗かいて剥きました。
中には1L近いココナッツジュースが入っていまして、独特のちょっと青臭い
ほんのり甘いジュースを楽しみました。
さすがに正月の支度で賑わってるスーパーで大きなヤシの実を抱えて
ニコニコしながら歩いてるおっさんは皆さんの目には奇異に映ったでしょうねぇ。

JUN:

コージーさん、ALOHA!
日本で600円なら、けっして悪くないですよね?
というのは15年ほど前、ハワイアン夫初来日の際(?)、
高級デパートで1万円で売られていたヤシの実を見て、仰天したことがあったからです。
ヤシの実には1リットルもの水が入っているのですかあ。
一度冷やして飲んでみたいものです!

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ハワイ在住15年目。ネイティブ・ハワイアンの夫と小学生の息子&娘の4人家族。何よりもハワイアンカルチャー、ハワイの不思議世界が好き。

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