続ビショップ博物館の石像

今回は、「ビショップ博物館の石像」第2弾。前回カネイコカラの石像がいかにしてハワイ島で発見されたかまで、お話しましたね。今日はいよいよこのカネイコカラが、博物館の改装工事をどう妨げたか。その顛末を説明しましょう!


ビショップ博物館の大がかりな改装工事では、もちろん様々な展示物が、一時的にほかの安全な場所に移されることになっていました。カネイコカラも当然、運び出されることになっていたのですが…。博物館スタッフも驚いたことに、カネイコカラは、なんとセメントで博物館の床に固定されていたのだそうです。


話は前後しますが、カネイコカラは魚の神の像と信じられており、当然、大変尊いものです。それが100年前のこととはいえ、神像をセメントで固定してしまうとは…。博物館らしくもないその無神経な石像の扱いに、呆気にとられたスタッフも多かったといいます。


いずれにしろ、人々は工事を前にセメントを崩してカネイコカラを掘り出そうとしたわけですが、驚いたことに、掘っても掘っても石像の底に突き当たらなかったとか…。しかも石像自体が大変な重さで、どうしても石像を動かすことができなかったそうです。


掘っても掘っても…といっても、100年前に博物館の床に埋められたものなんですよね。現代の技術をもってすれば、石像を動かせないわけがないのですが…。実際、どこまで掘ってもキリがなく、スタッフは「このまま掘り続ければ、地球の果てに行き着いてしまうのではないか?」とまで思ったそう。まさかあ、と思われる方もいるかもしれませんが、くだんの博物館季刊誌には、そう記されております…。


「もしかして、この魚の神は現在の場所から動きたくないのでは?」


…そんな意見も出て、困り果ててしまった博物館スタッフは、長老スタッフなどに相談。その結果、ついに石像を移動することを断念! 逆に、現在の場所でしっかり石像を保護して、改装工事を進めることに決定したのだそうです。う~ん。石像の意志が、現代のテクノロジーを負かしてしまったというわけですね~。不思議ですが、本当の話。


ちなみに季刊誌の記事には、この石像に絡んだ日本人女性の逸話も紹介されていたので、ついでにご紹介しましょう。


1972年のこと。タケマスウサミさんという日本人女性が、ビショップ博物館を訪れました。タケマスさんのご主人は漁業従事者。漁船のオーナーだそうで、博物館の説明書きを見て、この石像に目を留めたタケマスさん。大漁を祈って、日本酒をお供えしていったのだそうです。


その後、ご主人の漁船には大変な大漁が続いたのだそう。そこでタケマスさんはそれから毎年5月、日本酒を持って石像を訪問。すると必ず、ご主人の漁船は前年よりも素晴らしい業績を達成したのだそうです。


ところで、皆さんは「篠遠先生のハイビスカス」でご紹介した、篠遠喜彦先生を覚えていますか? …ある年のことです。あの篠遠先生が石像前でタケマスさんといろいろお話をしたついでに、聞いたそうです。「お供えの酒はどうすればよいですか?」。すると、「お供えの役割を果たした後の酒は、どうぞ飲んでください」とタケマスさん。そこでタケマスさんの酒は毎年、篠遠先生のオフィスに届けられていたとか。もっとも7、8年前から、タケマスさんのハワイ訪問はストップしているとのことでしたが…。


こういう話を聞くと、やはりカネイコカラは、神聖な魚の神様だったんだなあ、とつくづく納得。確かに発見の経緯からして、ずいぶんと不思議でしたからネ。それを「なんだか不気味」だなんて思っていた私。ずいぶん罪深いですよね! 今、大反省しております。


そんなわけで2009年にハワイアンホールがオープンした暁には。皆さんもゆっくりと、カネイコカラをお参りしてくださいませ。特に漁業従事者の方には、オススメします!

コメント (10)

kino:

やっぱり!!
それは根が伸びたのですよ。岩だって根が伸びることもあるでしょう(笑)

魚の神様だったのですね。かわいいですね。
漁師じゃないので、美味しいお魚に恵まれますようにお願いしましょうか。
ハワイの不思議な話、いかにもポリネシアンらしい優しさで満ちていて、日本の昔話の傘地蔵なんかに共通した愛を感じます。
ハワイの水のお茶を飲みながら、優しい気持ちになれました。

mac:

JUNさん、はじめまして。

いつも興味深く読まさせていただいております。

当時よほどの理由があって、苦労の末、セメント(コンクリート?)で固定したのでは?

海の見えないところに魚の神をまつるのは無理がありそうですし。

でも、お神酒で気を良くしてくれるなんて、日本の八百万の神々に通じるものがありますね。太平洋でつながっているからな〜。また、ハワイの不思議話を教えてください。

JUN:

キノさん、こんにちは~。
魚の神の像ってハワイには多いんですよ。
ビショップ博物館の庭にもいくつか。
なんでも、魚っぽい形の石、岩は神として崇められることが多かったとか…。
島国ハワイで、いかに魚とのお付き合いが重要視されていたか、わかるような気がしますね。
ハワイの水のお茶、おいしいですか?

JUN:

マックさん、初めまして!
なるほどォ! 100年前、なにか理由があってセメントで固定されたのかもしれませんね?
そうしないと絶対倒れちゃうとか、逃げていってしまうとか?
でも前回の写真の右上に、小さくて見えないかと思うのですが、誰かの庭でハワイアン男性の横に立っているカネイコカラの像の写真があるので、倒れるということではなさそう…。
いったい、どんな秘密があるのでしょーか!(と、決めつける)
ともあれ、今後ともよろしくお願い致しま~す。

COZY:

なんだかそこに居る事に意味があり、それがカネイコカラの像の強い意志のように感じますね。
掘っても掘っても終わりが見えないなんて普通じゃ有り得ない事が起こってるのがそんな風に感じます。
礼をつくした方にはご利益っていいですね。信じて敬う方にはそれなりのご褒美があるということですね。
でも、ちょっと気になるのはハワイ訪問がストップしてるタケマスさん、お元気なんでしょうかね?

huhu ole *wahine*:

kinoさんの発想いい!
石から根がはえたなんて考え方、大好きです!!
根が頑張って、動かないようにしてたんですよ~
神秘的じゃないですか。根っこが生えた、に一票!(笑)

junさんも好きじゃないですか?こういう発想(笑)


今回のお話で、ビショップの季刊誌があることを知りました。
そんな素敵なものがおうちに届くなんて、うらやましいです~

JUN:

コージーさん、ALOHA!
そうですねえ。きっとカネイコカラは、ハワイアンホールの主のような存在になっていたのかもしれませんね。
ほかにもティキ像だとかたくさんあったから、「主の一人」と言ったほうがいいのかな?
タカマスさんですが、私も同じことを思ったのです。
きっと高齢で、海外に出るのが難しいのかしら…。

JUN:

フフオレワヒネさん、こんにちは~。
カネイコカラ、心霊的な根が生えたのでしょうかねえ。
地球の中心に向かって…。
いつかハワイアンホールが朽ちることがあっても、そこにカネイコカラは残る…なんちゃって。
博物館の季刊誌ですが、ウェブサイトからもダウンロードできますよ!
博物館公式ウェブサイト(英語)で、「Ka `Elele」を探してみてください。それがタイトルで~す。

makena:

100年前のビショップ博物館で地中深くへと大量のセメントが使われていれば、なんらかの記録が残っているはずだと思うのですが...

無いんですよね ?

あと100年前は現在ほど質の良いセメントは無いハズですが、
100年後の今へと石像に同化させるなど不可能だと思います。

JUN:

マケナさん、こんにちは~!
記録、もしかしたら残っているのかもしれませんねえ?
博物館のどこかに…。
記事の著者はそのことに触れていませんでしたが。
そして。100年前のセメントが、そんなにクオリティがよくないのであれば。
カネイコカラが動かないというのはどうしたわけでしょう?
根が生えた? それとも、やはり石像の強い、強い、意志なのでしょーか…。

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ハワイ在住15年目。ネイティブ・ハワイアンの夫と小学生の息子&娘の4人家族。何よりもハワイアンカルチャー、ハワイの不思議世界が好き。

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