カマプアアといえば、ハワイ神話上の半神半人「ハワイの豚の神って?」でも書いたとおり、イノシシの化身でもあるカマプアアは、時にはハンサムな酋長として、またある時はイノシシや、魚のフムフムヌクヌクアプアアとして、人々の前に姿を現す…とハワイでは信じられております。
今日ご紹介するのは、オアフ島在住のあるクムフラ(フラの先生)が経験した、カマプアア絡みの奇妙な話。これを読んでンなバカな…と思う方も多いでしょうが、以下、当のクムフラから直接聞いたお話です。
マラエカハナといえば、オアフ島ノースショアにある美しい白砂のビーチ。ある日クムフラ(ここではNさんと呼びましょうね)がマラエカハナを散歩していた時。幅10センチほどの石を蹴ってしまいました。その石は犬の横顔のように見えましたが、一緒にいたハワイアンのクプナ(シニア)が言ったそうです。
「これはカマプアアよ」
よく見ると、石には鼻や牙もあり、カマプアアの横顔によく似ていました。そこで興味をひかれたNさんは石をポケットに入れ、ヌウアヌの自宅に持ち帰ってしまいました。
自宅でNさんは、なぜか気分が悪くなり、ゾクゾク悪寒までするように。夜もあまり眠れなくなってしまったそうです。ところが。フと気が付いてカマプアア似の石を手にすると、スッと気分が晴れるのでした。そこでその夜ポケットに石を入れて眠ったところ、Nさんは久しぶりにぐっずり眠れたそうです。
数日後のことです。Nさんは、おなかにひっかき傷のようなものがたくさん付いているのに気づきました。それは、まるで牙の跡に見えたそう。怖くなって、マラエカハナのビーチで一緒だったクプナに見せると、彼女は心配そうに言いました。「カマプアアがあなたに恋している。セクシャルな関係を持とうとしているのかも」。Nさんは人妻です。カマプアアに好かれても困るわけで。しかもクプナは「このままだと、嫉妬したカマプアアが、あなたの旦那に危害を与えるかも…」と警告しました。
恐ろしくなったNさん。翌日石を返しに、マラエカハナに戻ることにしました。Nさんはクプナと一緒にお祈りを唱え、また石に語りかけました。「あなたをどう正しく扱えばいいのか、私にはわかりません。どうぞ海に帰ってください。ごめんなさい」。その時、Nさんはひどく泣いてしまったそう。そして石と、鼻と鼻をくっつけるハワイ式のキスを交わし、石を海に投げ入れました。
と、次の瞬間。Nさんは後ろから声をかけられました。「へイ! 一緒に波に乗らないか?」。見ると、背が高くてダークな肌を持った、素晴らしくハンサムなハワイアンの青年がそこに立っていました。快諾して青年とともに海に入り、よい波がきたので一緒に波に乗ったNさん。ハワイアンの好きなボディサーフィンですネ。
Nさんは波に乗ってビーチまで戻り、海から上がったのですが…。不思議なことに、ハンサムなハワイアン青年の姿が見えません。海にもビーチにも、Nさんとクプナ以外は、人っ子一人いないのでした。
いったい、波に乗ったハワイアン青年はどこに行ってしまったのでしょうか? …Nさんは話の最後に言いました。「あれはきっと、カマプアアだったのだと思う。最後のお別れに、人間の姿になって出てきたのじゃないかしら」。そうでした。カマプアアは、ハンサムな酋長としても、この世に現れるのですものネ。
…人によっては、あまりに荒唐無稽な話に聞こえるかもしれません。でも私は、Nさんの話に妙に納得してしまいました。Nさんに残った得体の知れない傷跡といい、石を手放したとたんに現れた、ハワイアン青年といい…。
カマプアアは、今でも時にこうして人前に姿を現し、美しい人間の女性に恋をすることがあるのかもしれませんね。皆さんはどう思いますか?


コメント (14)
JUNさん こんにちは
素敵なお話をありがとうございます。
なんだか、神話に出てくるお話の挿絵で、ペレやカマプアアを版画(作者のお名前がわかりません)が映像のように思い浮かびました。JUNさんの表現は素晴らしい♪
今頃ですが、教えていただいた9月のサニー氏のハラウのパフォーマンス@アラモアナ 見ました~。
前日のワイキキホオラウレアと同じ曲でしたね。
アンティ達の穏やかなフラが素敵でした。
投稿者: mei | 2007年11月21日 14:17
日時: 2007年11月21日 14:17
メイさん、こんにちは~。
写真もない記事だったのに、映像が浮かぶ…と言ってくださって有難うございます!
ホッとしました。
サニーのステージ、アラモアナでご覧になったのですね?
サニーはクプナ・ダンサーを本当に大切にしますよね。
去年見たサニーのハラウのコンサートでも、クプナが一番に登場しました。
余談ですが、私の敬愛するロバート・カジメロ。
彼の弟子のモーゼスさんが、ホノルルからハワイ島に引越した時のことです。
モーゼスさんが受け持っていたクプナのフラ・クラスを引き継いだのがサニーで、それがサニーのハラウの、そもそもの始まりだったそうです。
クプナは、サニーのハラウの原点だったんですね~。
投稿者: JUN | 2007年11月21日 14:43
日時: 2007年11月21日 14:43
JUNさん、アロハ!
ハワイの神様って嫉妬深い神様が多いですよね。
ペレも嫉妬心から色々な事をやってます。ナウパカの悲恋の話やオヒアレフアの話など
嫉妬心からと言うのがすごく多いです。
それだけより人に近い、人から身近に感じられる神様なのかも知れないですね。
しかし、この話は不思議ですねぇ、ハワイならではの話でまさかと思うよりも
有るかもって思ってしまいます。
投稿者: COZY | 2007年11月21日 16:16
日時: 2007年11月21日 16:16
コージーさん、ALOHA!
ペレやカマプアア、そしてカネやロノまでも、ハワイの神様は人間くさいですよネ。
でも神ってそういうものなのかも? 創造のプロセスからして、人間の似姿なのかもしれません。
この話、笑い飛ばさないでいてくださって嬉しいです!
私もこの話、不思議だけどあるかも…と思ってしまいます。
特にあの美しい白砂のビーチを思い出すと…。
投稿者: JUN | 2007年11月21日 16:39
日時: 2007年11月21日 16:39
去年、King Kamehameha Hula Competitionでカマプアアについてのカヒコを踊りました。大会前、猛練習とともにカマプアアについてもリサーチしたのですが、今回のブログの内容もそうですが、とても興味深い話が満載でした。シェアしてくださりありがとうございます。Mahalo nui.
Ke aloha no,
投稿者: st | 2007年11月23日 18:40
日時: 2007年11月23日 18:40
STさん? こんにちは~。
キンカメでカパプアアを踊られた?
してカネ? それともワヒネ?
2日間詰めていたので、STさんの演技も見ているはずですよ、ワタシ。
カマプアア、人間くさいというか…。確かにおもろい伝説がいっぱいですよね~。
投稿者: JUN | 2007年11月24日 07:01
日時: 2007年11月24日 07:01
Junさんこんにちわ。プルです。お久しぶりです!
シドニーからコメントしています。
毎回楽しく拝見させてもらってます。
今回のお話はハワイならではのとても素敵なお話ですね。
確かに映像が頭に浮かび、ハワイの風を感じた気持ちになりました。ありがとうごさいます。
ハワイはやはり、特別な場所ですよね。
先日The Rideという映画を観ました。実際は起こり得ないストーリーですが、ハワイではありえそうな話で、家内もとても感動し、早速ハワイ行きの航空券の料金を調べてました(笑)。
それだけ、ハワイやハワイの神話、逸話には人を惹きつけるパワーがあるような気がします。
これからも、こういう素敵なお話ドンドン紹介してくださいね。楽しみにしています。
投稿者: プル | 2007年11月25日 16:15
日時: 2007年11月25日 16:15
プルさん、ALOHA!
なんと、なんと、お懐かしいのでしょう…。遠くオーストラリアから読んでいてくださったなんて感激です!
4日前ハワイ大学近くで、プルさんにそっくりの方を見かけて、思わず声をかけそうになったのです(もち別人)。
で、その1時間後にカメラマンのKさんからプルさんの噂を聞いて、ビックリ。で、今日また嬉しいビックリでした。
オーストラリアの生活は順調ですか?
帰国はまだ先なのかな~。ハワイ移住とかは…。
また一緒にお仕事できる日を楽しみにしていますね。
投稿者: JUN | 2007年11月25日 17:18
日時: 2007年11月25日 17:18
前回の投稿 とんでもない日本語でしたね!失礼しました(汗
なんとなく読み取って頂いてありがとうございました。
サニー氏の小ネタ。これまたいい話ですね~♪
アンティ達がアンティらしい自然体でありながらとても素敵に踊ってるの見て、年相応に年を重ねる事の大切さを感じました。
投稿者: mei | 2007年11月26日 13:48
日時: 2007年11月26日 13:48
メイさん、こんにちは~。
サニーのハラウは、本当に年齢層が広いですよネ。
ケイキにも若い女性にもクプナにも、違った魅力がある…。
個人的には、年をとってイキイキ、というのが一番素敵だな~。
フラダンサーに限らず…。
投稿者: JUN | 2007年11月27日 02:30
日時: 2007年11月27日 02:30
プルさん、横からコメント失礼します。
The Ride,私はDVDで見ました。確かに有り得ない話ですがハワイなら有りかも?と私も感じました。
あの胸を張ったライディングスタイル、Dukeに良く似てますねぇ。変な所を感心したりもしました。
ハワイ好きにはお薦めの映画ですね。
投稿者: COZY | 2007年11月27日 19:26
日時: 2007年11月27日 19:26
コージーさん、プルさん、私も横から失礼します。
The Rideという映画について、すっ飛ばしてお返事してしまいましたね。
この映画、知らないな~。外国暮らしで、コアな情報がストンと抜けていたりする私です。
さっそくサーファーであるハワイアン夫に聞いて、見てみましょう。
面白そうですねえ。
投稿者: JUN | 2007年11月28日 07:06
日時: 2007年11月28日 07:06
信じます信じます!
ワクワクして読ませていただきました!今回もっ(興奮)
石はやたらと動かしてはいけないとよく聞きますが、
こうゆう事もあるのですねえ・・
先日、大磯でカヒコで使うイリイリ何個か拾ってきましたが、
誰もお腹を引っかいてくれませんでした。
日本の美しいKANEはどこに・・・(笑)
カマプアアはPELEの御主人でもありましたよね。
ノースでナンパとは(笑)
投稿者: huhu ole *wahine* | 2007年12月01日 13:38
日時: 2007年12月01日 13:38
フフオレワヒネさん、こんにちは~。
フフオレワヒネさんは大磯でしたっけ? 鎌倉?
…大磯には、好色な神様が住みついた石が落ちてなかったのですねえ(あ、罰が当たりそうなこと、言っちゃいました)。
カマプアア伝説の本拠地、セイクレッドフォールもノースショアですから、こんなことがあるのでしょうか…。
その日、ハワイ島のキラウエアが大爆発しなかったことに、感謝いたします!
投稿者: JUN | 2007年12月01日 15:07
日時: 2007年12月01日 15:07