ハワイの小鳥とイギリス人の過去

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先日、「ケ・カニカウ・ノ・ナ・キア・マヌ」という題名の古代フラを観る機会がありました。私にとっては、そのチャントを聞くのも、フラを観るのも初めて。男性ダンサーの踊ったそのフラは、スピード感があって見応えあるフラだったのですが…実はそのチャントの内容が大変興味深く、いろいろ考えさせられてしまいました!


というのは、チャントの内容はこうなんです。ハンターが森にやってきて、オオという鳥を撃ちまくり…。ハワイの森から鳥がいなくなった…という悲しい内容で。「森に走れ! 走れ!」「撃て、撃て!」「ああ、鳥たちがハンターに撃たれた」「鬱蒼とした森から鳥たちが消えた」などなど、けっこう衝撃的な言葉に溢れ、ティーリーフの衣装をつけて鳥に扮したダンサーが「ああ~! ああ~!」と嘆く場面もあり、見ていて悲しくなってしまうフラでした。


ちなみにチャントに出てくるオオというのは、ハワイ原生の小鳥です。ハワイは古来、オオをはじめとする小鳥の羽根を使った工芸に優れ、王族男性は羽毛のマントやヘルメットをつけたし、王族女性は羽毛のレイ(フェザーレイ)やヘッドバンドをつけることがありました。つまり羽毛の装飾品は王族の象徴だったわけですね。


特に男性のマントは神聖な儀式か戦場でのみ着られる特別なものでした。位が高くなるほど長いマント、低くなるほど短いマントをまとったそうです。ほんの小さな羽根を1枚1枚縫って大きなマントを作るのですから、それは気の遠くなるような作業だったハズ。


最も著名な羽毛のマントといえば、ビショップ博物館所蔵の、カメハメハ大王のマントです。大王のマントは、マモという小鳥の羽根45万枚を使って作られたもので、キア・マヌと呼ばれたハワイのバード・キャッチャー、つまり鳥を捕まえる専門職人が数世代にわたり、なんと8万羽ものマモから集めた羽でできたものだそうです。


あ、鳥を捕まえる…といっても、キア・マヌは鳥を殺すハンターではありませんヨ。キア・マヌは鳥もちで鳥を捕らえ、美しい羽を数枚抜き取ったあとは、鳥を放すのが常でした。たとえばオオは黒い鳥で、尾の近くにほんの数枚、鮮やかな黄色の羽を持っていました。キア・マヌは鳥を捕まえると数枚の美しい羽だけを抜き、そのままオオを放したわけです。もちろん資源保護のために。


では、冒頭で語ったチャントに出てくるハンターというのは、誰のことでしょうか? …これはイギリスからやってきたプロのハンターのことなのですって。…18世紀にキャプテン・クックがハワイ諸島を発見し、ハワイの見事な工芸品が初めてヨーロッパにも紹介されることになりました。


クック自身、見事な羽毛のマントを献呈され、日誌の中で、マントを「それは最も厚みがあり上質なベルベットのようだ」と記していますし、多数のフェザーレイも持ち帰ったそうです。またハワイの王族女性がヨーロッパを訪問するようになり、そのフェザーレイの美しさに目を留めた人々も多かったそう。


そんな経緯で、ヴィクトリア時代のイギリス人は自分達も美しい鳥の羽を手に入れようと、ハワイにプロのハンターを送ったそう。そして…あとはもうおわかりですね。ハワイアンのように羽だけを抜き取るなんて器用なことはせずに、あちこちの森でズドン、ズドンと鳥を撃ちまくった、というわけです。ほんの数枚の羽のために、希少なハワイ原生の小鳥たちを殺してしまったんですね。そのため、1880年代に、オオやマモ、ホアといった小鳥たちは、絶滅してしまったのでした。


私もこれらの希少な鳥が絶滅したのは聞いていましたが、その理由がイギリスから送られたハンターだったなんて! ちっとも知りませんでした。このフラを観るまで。


やはりフラには、歴史や物語など、意味深い知識や事実が秘められているんですね。それにしても…罪深いハンターたち!

コメント (12)

huhu wahine:

今回はフフワヒネです(怒)

「古代のハワイアンは粘着性のある鳥にも安全な植物を鳥もちに使い、
オオを大切に捕獲し、数枚の黄色い羽をとってまた静かに自然に帰す。
でも、野生の鳥は繊細でそれでもショックで生き残れない鳥もいる」と知り、
それだけでも心を痛めていたところでしたが、
工芸品のために?ピストルでバンバン??撃って殺していたなんて!
まったく知りませんでした。junさぁん!ショックです!

悲しい歴史もこうしてメレにしてハワイアンが残してくれていた。
そうでなければ白人さんが書いた本を信じて事実は葬り去られたかも。
オオを絶滅させたのはハワイアンだと信じていました。
junさんがこの曲を取り上げてくれるまで。

ケ・カニカウ・ノ・ナ・キア・マヌ、意味も知らず、フラの技術だけに目を奪われていました。
あの叫び声と動きはオオが逃げまわるリアルな命の叫びだったんですね。
そう思ってまた観てみます。辛そうです。

tiki:

JUNさんこんにちは。
うわ~ん・・そんなことがあったのですね・・。
日本は南国と違って色鮮やかな鳥はあまりいない
ので、命拾いですね。そういえばハワイ島でワーク
ショップを受けていた時、泊まったB&Bの庭に鳥の
えさ場が設けてあって、そこにハイビスカスのような
真赤やまっ黄色のかわいらしい鳥たちが餌をついばんだり
水浴びをしていましたっけ。ずっと見ていても飽きません
でした。きっと昔のハワイアンも鳥たちがたくさんいた
頃はそうやって楽しんでいたのでしょうね。実はすごく
贅沢な楽しみ方かもしれません^^

JUN:

フフワヒネさん、ALOHA!
フフワヒネさんは小鳥たちの味方ですね。
羽を抜くだけで確かに痛いし弱ってしまう鳥もいるでしょうが、ましてや羽目当てに殺されてしまってはたまったものではありませんね。
どうもイギリスの宮廷関係の人たちがハンターを送ったようなのですが…。
なぜハワイの人たちもそれを許したのかな?
それはそうと、あのフラは有名なフラなのですね?
私は知らなかったけれど…。

JUN:

ティキさん、ALOHA!
ハワイには蛇がいないので、鳥天国だ、なんてよく言いますよね。
でも昔、そんなことがあったなんて…。
もしかしてイギリスのアンティークショップとかには、フェザーレイとかがたくさん出ているのでしょうか?
私もハワイで、美しい小鳥たちが日常的に見られるのは素晴らしいと思います。
森や山だけでなく、その辺にフツーに、赤や緑のきれいな鳥がいるこの環境、大切にしなかれば…。

SONOKO:

繋がる糸?お家フラでManu Meleを踊っていました。一休みして、そうそう昨日は少し忙しくてJunさんに会っていないと伺いましたら鳥のお話。
楽園と言われるのにふさわしいハワイは、海や植物や鳥たちそれにそれを大切にする心が集まってできている。世界中がうらやむ場所ですね。その中にあってこその自然を引きちぎって持ち帰るって、どうでしょう。しかも引きちぎられたものは取り返しがつかないのに、そう思うと本当に腹が立ちます。
世界の「大切」はみんなで守ってそっと楽しませていただくのが本当と思いますね。
ここをお尋ねする私たちは大切な場所のいろいろなことをJunさんに教えて戴けるだけでも嬉しいのに。

JUN:

そのこさん、こんにちは~。
不思議ですねえ。以心伝心?
私のほうから「マヌ、マヌ」というメッセージがそのこさんの方に飛んでいったのか、それとも逆か。
真珠湾に関してもそんなことがありましたっけ?
ハワイを、というか貴重な自然美の残る地球上のスポットを、外部からも大切に思ってくださる人がいるのは嬉しいことですね。
もしかしたらハワイの人々以上に…。
このブログを書きながら、私もいろいろ学んでおります。

COZY:

なるほど!マモやオオが絶滅したのにはこんな理由が有ったんですね。
マントを作るのには捕まえた小鳥が弱らぬうちに数本の羽だけを
シェアしてもらい、直ぐに放した為膨大な時間と延べ羽数が掛かったと
聞いてましたので何故絶滅したのかとは思っていました。
あとから来たイギリス人にはハワイアンが持っていた自然との共生の心、
敬う心を持ち合わせてなかったんでしょうね、悲しい事です。

JUN:

コージーさん、ALOHA!
ハワイの小鳥たちの話(鳥もちのことや絶滅の事実など)、皆さん周知の事実なのですね。
私が日本にいた頃は、知りませんでしたが…。
ともあれ、イギリスも一応島国なのに、資源の保護や自然との共存には関心がなかったのですね。
あ、そうか!
狩猟は、かの国のロイヤル・スポーツ。
ハワイアンとは根本的に、民族性が違うということなのでしょう。

KINO:

JUNさんアロハ。
昨日は雪の節分でした。鳥の絶滅の話は初耳です。
よく調べていただきました。驚きました。

狩猟が種の絶滅という神の創造した命の伝承を消滅させたということは恐ろしいことですね。
私も中学の時に空気銃で無防備な鳥を撃ちました。
落ちた小鳥が手の中で、トクトクと血を流しながらまぶたが少しずつ閉じていくのを見ました。今でも忘れません。
スズメだから撃ってもいいと思って撃った結果がとんでもないことになったと、自分が生き物を殺した罪を感じました。
お墓を作って謝りました。そんな罪を犯して初めて殺すことはどんなひどいことか体得できました。

同じように鳥類が釣り糸で事故にあっています。
一切の釣り糸は自然界で溶ける素材に規制すべきだと思います。絶滅までにはいたる問題ではありませんが、人間が自分の狩猟本能を満足させるために罪のない鳥たちに被害を与えていることも考えてほしいと思っています。

JUN:

キノさん、こんにちは~。
キノさんは、命あるものの守護者なのですね。
何度鳥を撃っても、キノさんのように学ぶ人ばかりではないと思います。
ましてや一度きりの殺生のなかで悟りを開いたキノさんのような人は少ないでしょう。
釣り糸や魚網の害も大問題ですよね。
鳥、そして魚たち、ひいては大いなる海が被害を受けていますから…。
自分勝手な行いが増えていますが、やはりこれも教育の問題?
それはそうと昨日の雪はすごかったようですね!
ハワイも悪天候でしたが、大風邪ひいた私は1日中、じっと家で寝ていましたです。

あろは。はじめまして。
大変興味深く読ませていただきました。

ムネフサハワイミツスイ(`O`o)は、1934年に絶滅しました。(国際自然保護連合レッドデータブック「絶滅種/EX」

現在も多くの在来種が絶滅あるいは絶滅の危機にあります。
私も州から絶滅危惧種指定され保護されてます。
(国際自然保護連合レッドデータブックでは「準絶滅危惧種/NT」)

狩りだけでなく、人が持ち込んだ疫病や蚊の病気(マラリア)などで死んだ仲間も沢山居ます。(マラリアは人が来る前には存在していません)
ペットなどで持ち込まれた外来種による影響も多々あります。(余所者が陣取って住むところがありません!)
保護されている絶滅危惧種でさえ100年後に生き残っている保証が無いのです。

JUN:

イイヴィさん、ALOHA!
イイヴィさんは小鳥さん? 
そしてハワイ州に保護されていらっしゃるのですか~。
そうか、じゃ、イイヴィはまだ、少数ながら生き延びてらっしゃるんのですねえ。
なんと素晴らしいニュースなのでしょうか!
…それにしても、人にいないところにマラリアがないとは、ついぞ知りませんでした!
マラリアはジャングルからこそ広がる病気かと思っていたので…。
いろいろな意味で罪深いですね。人間って。

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ハワイ在住15年目。ネイティブ・ハワイアンの夫と小学生の息子&娘の4人家族。何よりもハワイアンカルチャー、ハワイの不思議世界が好き。

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