
皆さんすでにご存知かと思いますが、偉大なるハワイアンシンガー、アンティ・ジェノア・ケアヴェが、昨日亡くなりました。享年89歳。しばらく体調が芳しくなかったそうですが、昨年11月にはあちこちで、89歳の誕生日を盛大に祝ったばかり。私もなんだか淋しくてなりません。
個人的にアンティ・ジェノアにお目にかかったことはないのですが、ライブを観賞したことは2回あります。一度目は、約4年前。とあるイベントで30分ほどのショーを見て、大感激しました。その時、イベントで個人的に嫌な出来事に遭遇して、ちょっとへこんでいた私。が、アンティ・ジェノアの歌声を聞いて、もうビックリ! …当時の私は、恥ずかしながら、アンティ・ジェノアがそれほど高齢の女性だとは知りませんでした。
で、ステージ上で素晴らしいファルセットを聞かせてくれたアンティに度肝を抜かれ…。あっという間に、憂鬱な気分は霧散してしまったのでした。当時アンティはもう、85歳だったわけですが、あのメリハリとツヤのある声! そして信じられないほどの声量。息継ぎナシで延々と一音を伸ばす名曲「アリカ」ももちろん披露してくれ、観衆を魅了していました。
アンティ・ジェノアの前に登場したのは、ライアテア・ヘルムでした。次世代を担う女性ファルセット・シンガーとして人気を集めるライアテア。「ハワイの歌姫」とも呼ばれる若い彼女ですが、正直、アンティ・ジェノアの前ではすっかり影が薄れてしまいました。高齢のアンティ・ジェノアの声が、あまりに素晴らしかったからです(ライアテア、ゴメンナサイ)。
そして2度目にアンティ・ジェノアを見たのは、昨年11月。イベントの少し前にアンティが車椅子に乗って会場に現れると、貴賓席周辺に座っていた著名クムフラ達(フラの教師)が、一斉に立ち上がりました。アンティの車椅子が通るスペースを作るのと、敬意を示すためです。アンティは貴賓席でフラの大御所ジョージ・ナオペと仲良く並んで座り、ステージを見学していましたっけ。
そしていよいよ、アンティのショーがスタート。1曲目に歌ったのが名フラソング「オールド・プランテーション」でした。この曲は、現在ニール・ブレイズデル・コンサートホールが建つワード・アベニューとキング・ストリート角にあった、今はなき美しい邸宅オールド・プランテーションを歌ったものです。邸宅は1880年に建てられ、ハワイの王族達も出入りする美しいお屋敷だったそう。
アンティの解説によると、アンティは子供の頃、この邸宅の近くに住んでいたのですって! 「その家の周りにいっぱいヤシの木があってね。よくヤシの実を採りに行って、おうちの人に叱られたものよ」とアンティ。アンティが生まれたのが1918年ですから、まだ美しい邸宅の現役時代ですネ。「だから今でも私、この曲を聞くと、涙が止まらなくなることがあるの…」とも言っていましたっけ。
イベント終了後もファンはアンティから離れず、ステージに上ってアンティを囲み、ハッピー・バースデー・トゥ・ユ~と歌いながら祝福していましたっけ。一方、日頃、フラのイベントでは絶大な人気を集めるアンクル・ジョージの回りはガラ~ンとしていて、この日ばかりはさすがのアンクル・ジョージも、すっかりアンティにお株を奪われてしまったよう。
そんなアンクル・ジョージも、アンティの訃報を聞いて、さぞかし悲しんでいるに違いありません。ステージからアンティはアンクル・ジョージに、「ジョージ!」と呼びかけていましたが、アンクル…とかクム…とかミスターとか、何かしらの敬称なしに誰かがフラの神様ジョージ・ナオぺを呼ぶのを聞いたのは、後にも先にもその時だけ。アンクル・ジョージは今、確か77歳?のはず。…あのアンクル・ジョージも、アンティには頭が上がらなかった模様です。アンティ亡き後、アンクル・ジョージをただジョージ! と呼んでくれる人は、もういないのかもしれません。
ともあれ、死の直前まで驚異の歌声で人々を魅了したアンティ・ジェノア・ケアヴェ。17歳で結婚したアンティは12人の子供を持ち、孫は40人、ひ孫は98人、ひひ孫(でいいんですか?)も81人いるそうです! 立派に長寿を全うしたアンティは、今頃、天国でお父さんやお母さん、そしてオールド・プランテーションに一緒にヤシの実を採りに行った幼馴染み達と再会し、昔話に華を咲かせているかもしれませんね。長い間、有難うございました。どうぞ、安らかにお眠りください。


コメント (14)
こんばんわ。
アンティジェノア、とうとう亡くなったんですね。しりませんでした。前回ホノルルに滞在した時、ワイキキマリオットでライブがあるからって(毎週木曜日だった気がします。)、何回か行きました。とってもキュートであたたかい印象でした。にっこりして。あたしも本当にお手本にしなきゃと思う大変素敵なアンティ。もっと積極的にお話すればよかった。心からご冥福をお祈り致します。
投稿者: noriyo | 2008年02月28日 01:39
日時: 2008年02月28日 01:39
のりよさん、こんにちは~。
そうなのですよね。アンティ・ジェノアは、1月末まで、週1回のライブをマリオットでこなしていたそうです。
ああ、私も見てみたかった!
あの頭脳明晰さも、もしかしたら定期的なライブに対する責任感だったのかもしれません。
立派なお手本を200人以上のファミリーに残して行った、素晴らしい人でしたね。
投稿者: JUN | 2008年02月28日 12:45
日時: 2008年02月28日 12:45
JUNさんこんにちは~。やっぱり「温故知新」なのですね。
そして歴史は崩せない。ケアヴェさんが積んできたものは
歌姫と呼ばれるライアテアでもかなわない。
文化を継承して広めていく人たちは私たちにとっては
財産。その財産がまた天に還ってしまったのですね。
きっと今ごろ上では「歌えや、踊れや」の大騒ぎ
でしょうね。このお写真の笑顔とってもチャーミングです。
投稿者: tiki | 2008年02月28日 22:38
日時: 2008年02月28日 22:38
はじめまして。
非常に悲しいです。
確か10年以上前になりますか、ukuleleを通じて知り合ったハワイアン夫婦と初めてhonoluluで食事をしたあと。
ちょっと叔母を紹介するからと連れていかれたhotelにいたのがアンテーでした。
身内は一番最後よと言われ、一番最後にCDにサインをいただき暖かくハグされたのがつ昨日のことのように思えます。
ご冥福をお祈りしたいです。
mahalo
投稿者: アンクルのハワイ一人旅 | 2008年02月28日 22:49
日時: 2008年02月28日 22:49
ティキさん、こんにちは~。
そうでしょ、この写真のアンティ・ジェノア、素敵でしょう?
もう1カット写真を撮ってあり、そちらの方が写真的にはよかったのですが、こちらのアンティの方が断然キュートだったので、紹介しました。
アンティ・ジェノアの歌声は、本当に年輪を感じさせるものでした。
年をとって衰えるものだけでなく、逆に研ぎ澄まされるものもあるんですよね。
ついうっかり、見過ごしがちだけれど…。
投稿者: JUN | 2008年02月29日 15:48
日時: 2008年02月29日 15:48
アンクルのハワイ1人旅さん? ALOHA!
アンクルの…さんはアンティ・ジェノアと面識があるのですねえ! 羨ましい!
そのお知り合いの夫婦は、アンティの甥っ子、姪っ子さん?
あんな偉大~な親戚がいたら、どんなに誇らしいのでしょうか。
200人を超える親戚の方々も、今頃大変悲しんでおられるに違いありませんね。
今日はマリオットで、アンティの追悼コンサートを開いていると聞きました。
投稿者: JUN | 2008年02月29日 15:54
日時: 2008年02月29日 15:54
Aloha Junさん
友人は姪っ子です、旦那さんがnanakuli schoolに勤務してたので友人もWaianaeで仕事をしてます。
アンテイーは昨年の喉の手術後もたまにwaianaeに遊びに来てたそうで、かなり近い親戚関係だと思います。
友人の小さなお店の奥、アンテイー はukuleleを弾いてたそうで。。。。それを見たお客さんは絶句してたそうです(笑)
まさかwaianaeにauntyがいるわけありませんよね!!
3年前の友人の母上の葬儀の時は、aunty Jenoa KeaweやDanny Kaleikiniが会葬され、お別れの歌を披露されたそうです。
Junさんの以前のブログにありましたとおり、ハワイアンの
葬儀って日本とは全然違うんでしょ???
アンテイーもすばらしいお葬式で天国に召されると思います。
mahalo a nui
投稿者: アンクルのハワイ一人旅さん | 2008年02月29日 19:54
日時: 2008年02月29日 19:54
アンクルの一人旅さん、こんにちは~。
店の奥でポロロン…とウクレレを弾くアンティ・ジェノアかあ。
そりゃ、お客さんは驚愕したでしょうねえ!
でもワイアナエってハワイアンの居住率が高いエリアだから、そういうことってたまにあり、なのかも。
著名なミュージシャンとかも、そのままあちら方面に住んでいるようですヨ。
アンティのお葬式は、すごいことになりそうですね。
そもそもハワイ州葬はしないのかしら。
イズラエルのときはあったのですが…。
投稿者: JUN | 2008年03月01日 04:29
日時: 2008年03月01日 04:29
じゅんさん、初めてブログにコメントさせていただきます。
実は私たちのハラウ、アンティ ジェノバの歌声で踊らせていただいたことがあるのです。"Best Buy"のグランドオープニングセレモニーで。生で聴く、しかも私たちのすぐ後ろで唄っているアンティは存在感がありました。私たちジャパニーズママフラチーム、ラッキーですよね。
ところで、じゅんさんの本の発売の頃、ちょうど日本へ行くので、詳細教えてくださいね。
投稿者: BJmama | 2008年03月05日 12:39
日時: 2008年03月05日 12:39
BJママさん、こんにちは~。
なんと! あのアンティの歌声で踊られたのですか?
そ、それはスゴイ~。
存在感があったというのは…うしろからオーラを感じたとか、そういうこと?
それは自慢できる体験でしたね。貴重です!
本の詳細、お待たせしました。すぐ発表いたします。
投稿者: JUN | 2008年03月05日 15:52
日時: 2008年03月05日 15:52
あろは。
古いハワイ音楽が好きな私には、とても残念です。
張りのある歌声にJoe CustinoやBenny Rogersのスティール伴奏がとても心地よいサウンドでした。
そういえば、スラッキーの大御所レイモンド・カーネ氏も亡くなってしまいました...。
PS;
今月16日はリンダ・デラクルーズ(元ハレクラニ・ガールズ)の一周忌です。
投稿者: イィヴィ平野 | 2008年03月06日 22:10
日時: 2008年03月06日 22:10
アンティ・ジェノアはよく、リケリケドライブインでお会いしました。とても気品ある楽しい方でした。あの人柄、歌声にどんなに自分の生活に活気を与えてくれたことか・・・
ご冥福をお祈り致します。
投稿者: 匿名 | 2008年03月07日 02:23
日時: 2008年03月07日 02:23
イイヴィ平野さん、ALOHA!
イイヴィさんのブログ拝見したところ、イイヴィさんはハワイアン音楽に詳しい方なのですね~。
アンティに続きカネ氏も亡くなり…。
今年はそんな訃報が多いような気がします。確かに…。
投稿者: JUN | 2008年03月07日 11:01
日時: 2008年03月07日 11:01
匿名さん? ALOHA!
あの方もリケリケ・ファンだったのですかあ。
私の敬愛するロバート・カジメロさんもよく出没するようですが…。
アンティはたくさんの人の人生に影響を与えた方でしたね。
日本人にもとても親切だったよう…。
ホント、素晴らしい方でした。
投稿者: JUN | 2008年03月07日 11:05
日時: 2008年03月07日 11:05